第242話 破壊、破滅、首狩り
時は、遡り場所は、レイアの城である。
今、城の前では、レイアの配下達が装備を身に着け武器を取り戦の準備をしていた。
「三つの国が同時に攻めて来るとの事だが、レイア様が不在でも我々だけで対処するのは、十分だろう」
参謀であるドラギオスが構える。
「他の部隊長も今、いないが俺達だけで十分だ」
「ですが、三国には、勇者が一人ずついるとレイア様がおっしゃってましたな」
ライムの言う通り、レイアの領地に攻め入る、三国、ザボーナ、リダヤ、ギドット。
この三国が手を組みレイアの領地に攻め込んで来るのだ。
しかも三国それぞれに勇者が一人ずついるのだ。
「確かに勇者の力がどれほどのものかわからないが、あの三人が来たのなら問題は、ないと思うぞ」
勇者がいたとしてもソウガは、問題ないと言う。
「確かにあの方達なら、問題は、ないだろう」
「むしろ、人間側が心配になりますな」
「人間の軍隊が攻めて来ました」
配下の一人がドラギオス達に知らせる。
「数は?」
「一国およそ、三千は、いるかと」
「かなりの数だな」
「勇者もいますからな一気に攻めて来ると言う事でしょうな」
「準備に掛かるぞ」
ドラギオス達は、準備に掛かるのだった。
「ゼナお母様、前線には、出ないのですか?」
一方こちらは、城の城門前、リゼとゼナが配下達と待ち構えていた。
「今回は、私が出なくとも、あの方達がいるからな、逆に私達がいたら邪魔にしかならない、だから今回私達は、前線に出ず、ここを防衛すれば良い」
「確かに、あの方達がいたらあの数は、準備運動にもなるかわかりませんね」
「そう言う事だ、私達は、ここを守る事を考えていれば良い」
リゼとゼナは、防衛に専念するのだった。
そんなレイア軍の光景を見ている者が他にもいた。
~side ルーグ~
「レイア殿は、いなくても十分だと言っていたがこれで本当に大丈夫なのか?」
レイア軍の状況を見ている配下が持つ監視玉を通して魔王ルーグが見ている。
監視玉とは、魔道具の一つであり、相手が持っている監視玉を通して自身もその監視玉に映った映像を見る事ができるのだ。
さらにその映像を拡大させたりする事も可能である。
(前線には、いつも出ているはずのゼナ殿が今回は、城門を守っているだけと言うのも気になるな)
ルーグは、今回の戦争でいつも前線に出ているゼナが後方の城門を守っていて他の配下達も特に戦場に出ず城門で待機しているのが気になっていた。
だがその答えは、すぐに理解する事になる。
『ルーグ様、レイア様の配下と思われる者が戦場に現れました』
「数は?」
『三人です』
「何? たったの三人だと?」
およそ一万に近い軍勢の中たった三人で行くのは、いくらなんでも敵を舐め過ぎていると思われるがレイアは、どんな相手でも手を抜かない事を知っているルーグは、すぐに監視玉を持っている配下に伝える。
「その三人を映し出せ」
『は!!』
配下は、監視玉をその三人の方に向けルーグは、その映像を拡大させる。
「そう言う事か、通りでたった三人で向かうのかと思ったが、むしろ過剰戦力かもな」
ルーグは、その三人の姿を見て今までの事がいらぬ心配だと思うのだった。
~side ???~
敵の軍勢を見つめる三つの影があった。
「こいつらか、レイア様の言っていた敵とは」
真ん中に立っている威圧感を感じさせる男性が言う。
「レイア様に戦争を挑もうとは、愚かな人間達としか言いようがありませんね、わざわざレイア様が出るまでもないでしょう」
右隣に立つ青年風の男性が答える。
「敵が何であれ我々は、レイア様の命令を確実に遂行する、ただそれだけ」
左隣に立つ女性が凛とした態度で答える。
「レイア様が人間界に行っている間この城は、我々が守る、レイア軍最高戦力、五大幹部の我々がな」
そこに立っている三人は、レイア軍の五大幹部の三人である。
時は、さらに遡り、レイアが帰る前に三人に新たな任務を与える所からである。
「ご苦労だったな、お前達」
「は、レイア様の命令通りに遂行致しました」
五大幹部達は、レイアに跪く。
「帰って来て早々ですまないが次の任務についてほしい」
「は、何なりと」
五大幹部の威圧感を感じさせる男性が答える。
彼の名は、ガドバ。
虫魔族の男性で五大幹部の一人で《破壊のガドバ》と言われ人間達に恐れられている。
普段は、人の姿をしているが本来の姿は、人型のカブトムシの姿をしている。
「僕の領地に今から一月後に人間達が攻め込んで来る、一国じゃなく三国が手を組んで来るそうだ」
「三国ですか、レイア様に戦いを挑むとは、愚かですね」
五大幹部の青年風の男性が答える。
彼の名は、ヴェルト。
飛行魔族の男性で五大幹部の一人で《破滅のヴェルト》と言われ人間達に恐れられている。
普段は、人の姿をしているが本来の姿は、人型のカラスの姿をしている。
「お前達には、その三国の相手をしてもらうが構わないか?」
「レイア様の命令を確実に遂行するのが我々の役目です」
五大幹部の凛とした女性が答える。
彼女の名は、カリヤ。
エルフ族の女性で五大幹部の一人で《首狩りカリヤ》と言われ人間達に恐れられている。
「ちなみに、その三国は、それぞれ勇者がいるが大丈夫か?」
「無用な心配です、我々だけで十分でしょう他の者達は、城門の防衛にあたってもらえれば問題ありません」
「むしろその方が私達も仲間を巻き込む事を気にせずに存分に戦えるでしょう」
「レイア様、敵は、殺せばいいのですか?」
「いや、できるだけ殺すな、二度と歯向かう気が起きないくらいに恐怖を与えて生かして帰せ」
「承知しました」
レイアの答えにカリヤは、頭を下げる。
「後は、任せたぞ」
「「「は!!」」」
「子供の姿になっているとは、聞いていたが、実際に見るまでは、半信半疑だったな」
「ですが、見た目は、子供でもあの圧倒的強さは、全く変わってませんね」
「レイア様は、我々に任せてくださった、なら我々は、それに答えるだけ」
ガドバ達は、レイアが人間界に行って子供の姿になっている事を聞かされていたが、他の者と違いあまりレイアの子供の姿を見ても驚いていなかったようだ。
「敵の姿が見えたな」
「勇者とやらがどれほどのものか見てみましょうか」
「レイア様は、殺さず生かして帰せとおっしゃったのだやりずぎるなよ」
ガドバ達は、戦闘準備をするのだった。
そしてこの戦場を見ていたのは、ルーグだけでは、なく他の魔王達も見ていた。
~side ライオル~
「おいおい、とんでもねえ奴らだな」
~side エリス~
「エリス様、彼女は、もしや」
「腰に添えた二本の双剣、間違いないわ、カリヤよ、まさかレイアの配下になっていたなんて」
~side ゼルア~
「レイアは、こんな奴らも配下にしていたのか恐ろしいな」
~side リーザロッテ~
「さすがマイスイートなのじゃ!! 圧倒的な強さだけでなくそれに見合った配下もおる、一体何度妾を惚れさせれば気がすむのじゃ」
~side ロウキ~
「レイアの嬢ちゃん、とんでもない戦力じゃな」
~side ドラグ~
「これほどの戦力差は、人間が哀れだな」
~side ミューラ~
「・・・・・・レイアを敵にした時点ですでに勝負は、決まっている」
~side シャロ~
「ガリウス見るのだ、さすがレイアなのだ、とんでもない配下がいたのだ」
「ええ、五大幹部、魔王の右腕と言われているシエラ殿以外は、見た事がないのでどのようなものかと思っていましたがいずれの三人も魔王に近い実力を持つ者達ですね、こうなると残りの一人も気になりますね」
「わっはっはぁ!! これなら人間共がいくら大群で来ようとも圧倒的な戦力差で人間の敗北は、決定なのだ!!」
「確かにこの戦力差では、もう人間に勝ち目があるとは、思えませんね」
ガリウスの言う通りこの後ガドバ達は、圧倒的な力で蹂躙し勇者達も子ども扱いするかのように軽くあしらい逆に勇者達は、恐怖から逃げ出す事により兵士達も恐怖し逃げ出すのだった。
ちなみにガドバ達は、レイアの命令通り敵軍に恐怖を与え戦意を喪失させ撤退させたのだった。
これにより自軍も敵軍も一人の犠牲者も出なかった。
読んでいただきありがとうございます。
同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。




