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第235話 運動会 20 リレー 3

「うおおおおおおおおおー!!」


『おおっと、紅組第四走者が物凄い勢いで追いかけています』


『凄い形相だな、まるで獲物を追いかけているチーターのようだ』


「うおおおおおおおおおー!!」


 彩音が大声を出しながら少しずつ茜に迫っていく。


(バカな、加藤さんがどんどん近づいて来る!?)


 茜は後ろから来る彩音の気迫に冷や汗を流している。


(このわたくしがプレッシャーを感じている?)


「うおおおおおおおおおー!!」


(くっ、前に、前に集中しないと)


 茜は彩音の事など気にせずに行けば良いが彩音の気迫に集中が乱れてしまっていた。

 茜自身は彩音の実力は悪くないと思っていたが真央やミーシャや他のクラブに入っている子達に比べたら大した事ないと思っていた。

 しかし、それがまさかここまでの実力を持っていた事に驚きで信じられず、普段の実力を出そうにもこの現実に対処する方にも意識がいっているので中々集中ができずにいた。


「大丈夫、まだリードしてる!! 次は私の番だから勝てる!!」


 そんな茜の様子を見て弘美が声を出す。


「・・・・・・」


 真央は彩音に特に声を掛けずにただ彩音を見ている。

 彩音は今全力で走り真央にバトンを渡す事に全神経を集中している。

 故にその集中を乱さないために真央は何も声を掛けない。

 やがて茜が来て弘美にバトンを渡す。


「お願いしますわ」


「ええ」


 弘美は走り出す。

 

「うおおおおおおおおおー!!」


 少しして彩音が来る。

 真央は手を出し前に出る。


「真央姉さん、おねがーい!!」


「ああ、任せろ」


 真央は彩音からバトンを受け取り走り出す。

 弘美との差はかなり開いているが真央はその差をどんどん詰めていく。


「真央ちゃん、速い」


「よし、距離が縮まって来た、いけるぞ真央」


「真央さん、頑張ってください」


 真理亜達も真央を応援する。


『紅組がどんどん追い上げていき、あんなに差が開いていた距離がもうほとんど僅かな差にまで縮まっています』


『おおー!!』


 観客達も歓声を上げている。


『さあ、紅組迫っていく、白組逃げ切るか、ゴールまで後少しです』


(ゴールが見えたこのまま逃げ切れば)


 ゴールが目に入った弘美はそのまま全力疾走するが先頭を走っているとゴール前で周りが気になり弘美は隣を見た。


「!!」


 すると隣には真央がすぐ近くにまで迫っていた。


(まさか、あれだけの距離からここまで追いついたの!?)


 弘美は真央の速さに驚愕した。

 そのほんの一瞬の出来事で傍から見れば何も変わらないが、ほんの一瞬だけ走るスピードが落ちてしまい、真央はその一瞬を逃さずラストスパートをかける。

 

『ここで紅組が白組と並んだー!!』


 真央は弘美と並ぶ。

 弘美は真央と並ばれても気にせず前に集中する事にする。

 彼女はもう目の前のゴール以外見えていない。


「真央ちゃーん!! 頑張れー!!」


「行けー!! 真央ー!!」


「真央さーん!!」


「真央姉さん、突っ走れー!!」


 真理亜達の応援が聞こえた真央は笑みを浮かべる。

 そして、真剣な顔になってゴールに向かってさらにスピードを上げていく。


『紅組、白組、両者一歩も引きません!! 果たしてどうなる!?』


 真央も弘美も一歩も引かなかったが、その時は来た。

 真央が一歩先に足を出してやがて二歩、三歩と先に前に出て行った。


『ここで、紅組が白組を抜いて一位に出たー!!』


 真央が弘美を追い抜く。


(まさか、これほどとは)


 真央に抜かれた弘美は悔しさもあったがそれ以上に。


(見事よ、宇界さん)


 真央に対して素直に称賛する気持ちもあった。

 そして真央がゴールテープを切ってゴールする。


『ここで紅組がゴール!! 紅組が一位になった事により、点数は、紅組が逆転、紅組の逆転勝利です!!』


 真央が一位でゴールした事で今年の運動会は紅組の勝利となった。

読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。

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