第233話 運動会 18 リレー
騎馬戦に勝利し点数が逆転した真央達は、このままの勢いで行こうとしていたが、さすがに白組もこのまま黙って負けるわけには、いかないようで競技が進んで行く内にまた白組に逆転されてしまい、逆転するためには、次の最後の競技に勝利するしかなくなった。
『さあ、激戦を繰り広げた運動会もいよいよ最後の競技になりました、最後の競技は、四年生によるリレーです』
『五人一組でバトンを持って最後の一人がゴールしたら勝利です』
『さて、今の点数は、白組の方が僅かにリードしていますが、ここで紅組が一位になれば逆転勝利を狙えますので頑張ってください』
『て言うか、普通の点数なんですね』
『え?』
『いやだって、バラエティーとかだと最後の競技でバカみたいな点数出して今までの勝負は、何だったんだよって言うお約束があるもんだと思ったんですがね』
『いや、運動会にバラエティー要素を持ち込まないでくださいよ!!』
『でも、確かに面白そうですね』
『理事長?』
『来年は、それをやってみるのも面白いですね』
『理事長が、そうおっしゃるなら来年は、バラエティー寄りな競技を用意するのも面白いですね』
『ちょっと、教頭先生まで何言ってるんですか!?』
『じゃあ、来年は、バラエティー寄りの競技で行くと言う事で』
『そんな事で良いのですかー!?』
一条先生達の実況に観客達は、笑い声を上げている。
「何て言うか、このくだり毎年あるよな」
「でも、面白いので毎年の楽しみの一つですね」
「まあ、そんな事より、確かにこの最後の競技で勝てば私達紅組の逆転勝利だ、と言うわけで頼んだぞ、真央、彩音」
沙月は、真央と彩音に向けて言う。
「ああ、任せろ」
「私と真央姉さんが組めば無敵だよ」
「うーん、確かに宇界さんと加藤さんなら勝てる可能性もあると思うけど、おそらく白組には、彼女が出てくると思うよ」
ここで亜子が言う。
「彼女?」
「うん、ほら、あそこにいる子」
亜子が一人の少女を指差す。
「彼女の名は、石原弘美、陸上クラブのエースだよぉ、小学生の陸上日本記録を出している子で陸上界の期待の星とも言われてるよぉ」
亜子が説明をする。
「あの子見た事あるよ」
「うん、凄く足が速かったよ」
実里と花音も彼女の走りが速いと言う。
「それに、彼女も走るようだな、私の記憶が確かなら彼女も速かったはずだ」
梓美が茜を見ながら言う。
「確かに茜も速かったな、去年は、あの二人敵同士だったけど、走ったら陸上の子が勝ったけど茜とは、そんなに大差がなかったんだよな、ほんの一、二歩分の差だったんだ」
「その二人が今年は、同じ白組ですからね」
「正直厳しい戦いかもな」
「問題ないよ、さっちゃん、私と真央姉さんに任せなさい」
彩音が胸を叩いて言う。
「ああ、相手が誰だろうと勝ちに行く、ただそれだけだ」
真央も、全く緊張せずにいつもの調子で答える。
そんな二人を見て皆もどこか安心している。
「そろそろだな、行くぞ彩音」
「合点!!」
「真央ちゃん、彩音ちゃん頑張ってね」
「うん、頑張るよ、真理亜ちゃん!!」
「ああ、任せろ」
真理亜の応援で真央と彩音は、さらにやる気が上がり競技場へと向かうのだった。
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同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。




