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第208話 まだ続くよ、夏休み 4 真の特大デカ盛りラーメン

 偽物のラーメン屋の店主が去って行ったが、結局真央の大食い勝負は決着がついていなかったのである。


「何だそんな事かい、なら簡単じゃろ、なあ、お嬢ちゃんアンタまだ食べられるかい?」


 老婆は真央に問う。


「はい、食べられますけど」


「そうかい、なら、のうラーメン屋の店主、アンタが同じ特大デカ盛りラーメンを作ってやりな」


「俺がですか?」


「ああ、アンタが作った特大デカ盛りラーメンをこのお嬢ちゃんが食べ切ったらお嬢ちゃんの勝ちと言う事でどうじゃ?」


「それは構いませんけど、このお嬢ちゃんはすでに特大デカ盛りラーメンを食べ切ってるんですよ? それでも良いのですか?」


 ラーメン屋の店主が言うのは尤もだ。

 普通なら子供が特大デカ盛りラーメンを一杯食べ切るだけでも無理な話なのにそれをまた食べると言うのだ。

 普通に考えたら食べ切れないだろう。


「別に僕は大丈夫ですよ」


 そう普通ならであるが、真央はその普通に当てはまらないのである。


「よし、マズいラーメンを食べさせたせめてものお詫びだ、俺が最高に旨いラーメンを作ってやる」


 そう言ってラーメン屋の店主は厨房に入りラーメンを作る。

 

「はいよ、お待ち!!」


 しばらくして店主はラーメンを持って来た。


「これが真の特大デカ盛りラーメンだ」


「おお」


 真央はそのラーメンを見て驚く。

 偽店主が作ったラーメンとは比べるまでもなく綺麗に盛りつけられていた。


「ルールはさっきと同じで時間制限はなし、で、このお嬢ちゃんが食べ切れたら勝ちって事で良いかい?」


 老婆は真央と店主に問う。


「ええ、それで良いですよ」


「僕もそれで良いです」


「そうかい、それじゃあ、はじめ!!」


 老婆の掛け声で真央はラーメンを啜る。


「うん、旨い」


 真央はラーメンを次々に啜っていく、先ほどのラーメンとは違って味も最高なので真央は美味しそうにラーメンを口の中に入れていく。

 そして、最後に残ったスープを飲み干し。


「ごちそうさま」


 特大デカ盛りラーメンを完食するのだった。


「驚きましたね、二杯目も完食するとは」


「まあ、何となく予想はできたけどね」


「全く大したお嬢ちゃんだぜ」


 女子高生、会社員の男性、中年くらいの男性が言う。


「で、どうだい? 勝敗は?」


 老婆が店主に問う。


「文句なし、お嬢ちゃんの勝ちだぜ、いや参った」


 店主は真央の勝利を宣言した。


「でだ、勝ったお嬢ちゃんには賞品があるんだが、あいにく用意できる物が何もねえな」


「だったら、僕の友達にあなたの作ったラーメンをタダで食べさせてくれませんか?」


「なるほど、そいつは良いな、よしついでに今この場にいる客全員にタダで食わせてやる」


 店主の言葉で周りの客は喜ぶ。

 それから店主は店にいる客全員にタダでラーメンを作っていく。


「おお!! 凄く旨い!!」


「これは、待った甲斐がありますね」


「うん!! とっても美味しい!!」


「これなら、人気なのもわかるね」


 真理亜達も美味しそうにラーメンを食べている。


「一時はどうなるかと思ったけど、皆が喜んでくれて良かったわ、それにしても本当に美味しいわね」


 翔子もその姿を見て満足している。


「これですよ、この味」


「うん、知っている味だね、いやむしろ前よりも美味しくなってるよ」


「あの偽物とは雲泥の差だな」


 女子高生、会社員の男性、中年くらいの男性も絶賛する。


「さてと、あたしはそろそろ帰るよ」


 ここで老婆が帰る事を伝える。


「あ、会長迷惑を掛けてすいません」


「別に気にする事ないさ、それよりやめさせられた従業員はどうするつもりだい?」


「呼び戻します、あいつらがいないと店が回りませんから、すでに別の場所が決まっていたのなら無理にとは言いませんが」


「そうかい、でこいつらはどうするんだい?」


 老婆は店の従業員を指差して言う。

 

「あの偽物が雇ったのか、おい、俺は結構厳しい方だぞ、それでもここで働きたい奴だけは雇っても良いぞ」


 その言葉に従業員達は喜ぶ。

 てっきり自分達もクビにされるかと思っていたからだ。


「そうかい、まあ好きにしな、アンタが戻ってあの旨いラーメンがさらに旨くなって復活したって事をネットで拡散しておいてやるよ、まあすぐにとは行かないが早いうちにまた繁盛するよ」


「ありがとうございます、会長」


 店主は老婆に頭を下げる。


「それにしても、アンタの事半信半疑だったけど今日の事で確信したよ、アンタは本物だ」


 老婆は真央に言う。


「アンタならこの町の飲食店全てを制覇するかもしれないね、アンタがあたしのとこまで来るのを楽しみにしているよ」


 老婆はそう言って去って行った。


「まさか、会長があんな事を言うなんてな、お嬢ちゃん相当期待されてるみたいだな」


 店主は真央に言う。


「よくわからないけど、勝負するなら相手になるだけだよ」


 真央はそう答えた。

 こうしてラーメン屋の勝負は真央の勝利で決着したのだった。


 そして最後に、最後にこれだけは言わせてもらう。

 

 この物語は大食い勝負がメインではない。




読んでいただきありがとうございます。

同時に投稿している作品「Sランク冒険者の彼女が高ランクの魔物の討伐依頼を受ける理由」もよろしくお願いします。

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