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第194話 魔王のお泊り 3 彩音の家 3

本日三話目です。

「流産って知ってる?」


「聞いた事は、あります確か赤ちゃんが生まれる前に母親のお腹の中で死んでしまう事ですよね?」


 彩音の母の問いに真央は、答える。


「うん、簡単に言うとそうね、私もちゃんとしていたのよ、お腹の子に負担を掛けないように細心の注意を払ったつもりだったのでも、それでもダメだったの」


 彩音の母は、当時の事を思い出したのか悲しそうな顔をしていた。

 それを見た彩音の父は、優しく彩音の母の手に自分の手を重ねるように置く。


「・・・・・・」


 真央もこれに対してどう言えばいいのかわからなかった。


「その時は、本当に辛かったわ、私のせいだって何度も自分を責めてしまったわ、でもそんな私でも支えてくれたのが夫だったのよ、本当に感謝しているわ」


「僕は、君の夫なんだから家族を支えるのは、当然だよ」


「ええ、それからどうにか立ち直れて少ししてからまた妊娠したの今度は、何事もなく元気な子を産む事ができたのそれが彩音よ、それから二年して雪音を妊娠して雪音も無事に産む事ができたの、本当に無事に生まれて来てくれて良かったって思ってるの」


「それは、とても良かったです」


 彩音の母の言葉に真央は、なんとかそう返した。


「でもね、あの子が、私がちゃんと産めなかったあの子が時々夢に現れて来るのそして私に言ってくるの、あの二人は、無事に生まれたのに、どうして自分は、ちゃんと産んでくれなかったのってどうして私を死なせちゃったのって、妊娠した時は、特によく見るようになってくるの、それで思ってしまうのあの子は、私を恨んでいるんだと、だからもしかしたら今私のお腹の中にいるこの子を連れて行ってしまうんじゃないのかって、不安で怖いの彩音の時も雪音の時もそう思っていたから」


「・・・・・・」


 真央は、何かを言いたそうだが何を言えばいいのかわからず無言のままだった。


「だから、あの子は、ちゃんと産んであげられなかった私を恨んでいるかもしれないわね」


「そんな事ないです!!」


 真央は、勢いよく言う。


「そんな事絶対ないですよ、だってしょうがないじゃないですか、流産ってちゃんとしていても起きてしまうって本で読んだ事あるし、それに子供は、親が好きだと思うから、だからあなたの亡くなった子もきっとあなたを恨んでいないと思います、だってもし本当に恨んでたら彩音や雪音だって生まれてないはずだから、だから」


 真央は、そこまで言ってハッと我に返る。


「ごめんなさい、何も知らないのに子供を産んだ事もないのに偉そうにわかったような事を言ってしまって」


 真央は、彩音の母に謝罪をする。


「いいのよ、慰めようとしてくれたんでしょ? ありがとうね」


「・・・・・・」


「でも、大丈夫よ、私は、一人じゃないから夫もいるし、彩音や雪音もいるから、だから大丈夫」


「・・・・・・」


「何だかわからないって顔をしているね」


「え? あ、はい」


 彩音の父の言葉に真央は、素直に答える。


「つまりね、何で妻がこんな話をしたかと言うとね、要するに大人だって不満になったりするって事さ」


「大人でも?」


「うん、正直僕なんて妻が妊娠した時には、何の役にも立たなかったからね、ただどうしたら良いかってあたふたしていたものさ」


「そうよね、そんなあなたの姿を見ていたから逆に冷静になれたわ」


 その時の事を思い出し彩音の母は、苦笑いを浮かべていた。


「それに流産した時も、僕は、どう慰めたら良いのかもわからなかったんだ、僕は、女じゃないからね自分の身体に新しい命を宿すのがわからなくてそれがどれほどの負担になっていたのかも、テレビやネットでしか見た事なかったからただ大変なんだなって思っていたけど、本人からしたら僕が想像できない程の辛さだったんだってその時の妻を見て初めてわかったからね、だから僕は、一生懸命妻を支えようとしたんだ、僕にできる事は、限られた事しかできないと思うけど、それでもできる事をしようってね」


「あなたは、充分やってくれているわ、本当に助かってるんだから、ね、真央ちゃん私だって真央ちゃんよりも大人なのにこうして誰かに頼っているでしょ? だから真央ちゃんが誰かを頼っても文句は、言わないと思うわよ」


「そうだよ、大人になるとね他人を頼るのって簡単にできなくなってしまうんだよ、自分も大人だからそれくらい自分でどうにかしろとか言われてさ、だから真央ちゃん、遠慮なく誰かを頼って良いんだよ、子供の特権だよ大人になんでも頼れるのって、彩音や雪音だって結構頼って来てるしね」


「確かにね、でも彩音の場合は、わがままを言ったりしている事が多いけどね」


「そうなんですか?」


「そうなのよ、最新のゲーム機を買ってとかペットを飼いたいだとか言ってね、でも甘やかすのは、ダメだと思ったからどうにかそれっぽい正論を言って我慢させたけどね、まあ誕生日には、ゲーム機は、買ってあげたけどね」


「彩音らしいですね」


「そうね、でもそんな娘達が愛おしいのよ、だから本当は、あの子達を甘やかしたいって気持ちもあるのよ、あ、この事は、内緒にしてね、あの子知ったら調子に乗りそうだから」


 彩音の母は、人差し指を口に当てて内緒にするように真央に言う。


「はい、でもそのおかげで彩音は、良い子に育ったと思いますよ、真理亜や沙月や唯、それに僕だって彩音に対して少し困る事もあるけど嫌だなって思った事は、ないですし、一緒にいて楽しいですよ」


 真央は、素直に彩音から感じた事を彩音の両親に言う。


「そうなのかい?」


「はい、彩音は、素直な子だと思います、何よりも友達を大切にしたりしていますし、勉強だってちゃんとやればできると思いますよ」


「そうなのよねえ、あの子そんなにバカってわけじゃないのよ」


「そうだね、テストだってそんなに悪い成績じゃないし、ただやる気が出る教科と出ない教科があるって感じかな」


「だから、沙月ちゃんには、厳しくして良いって言ってるのよね」


「でも、彩音は、弱音を吐いてもちゃんと最後までやり通す根性は、ありますよ」


「確かにそうね」


 真央と彩音の両親は、笑い合う。


「まあ、そう言う事だから真央ちゃんも、もしもの時には、誰かに頼るのも良いと思うわよ、大人からのちょっとしたアドバイスよ」


「はい、ありがとうございます」


「これからも、娘と仲良くしてくれると僕達も嬉しいよ」


「もちろんです」


「お母さん、お風呂上がったよ」


「おおー、上がったぞー」


 ここで彩音と雪音がお風呂から上がって来た。


「あれ、真央姉さん、何か話してたの?」


「ちょっとな」


 そう言って真央は、彩音の頭を撫でる。


「ええ!? 真央姉さんどうしたの!?」


 突然の事に彩音は、戸惑う。


「何でもないさ、彩音、お父さんお母さんを大切にしろよ」


「ええー、それは、もちろんだけど、ええ?」


「雪音もだぞ」


「よくわからないけど、もちろんだ、お父さんお母さん大事にするぞ」


「そうか」


 真央は、笑って雪音の頭も撫でる。

 彩音は、今も混乱していて何が何だかわからないと言う顔をしている。

 そんな光景を見て彩音の両親は、笑い合っていた。


 その日の夜、雪音が一緒に寝たいと言ったので彩音と一緒に三人で寝る事になったのだが。


「彩音、雪音って寝相が悪いのか?」


「うん、寝相悪いよ」


 雪音を真ん中で挟んで寝ているが雪音の寝相が悪いようであった。


「よし、彩音僕は、右側を抑えるからお前は、左側を抑えてくれそれで僕達は、安眠できるはずだ」


「了解」


 そう言って二人は、両側から雪音を押さえつけ動けないようにして眠りにつくのだった。

 翌朝、起きた雪音は、何故こうなっているかわからなかったそうな。


読んでいただきありがとうございます。

流産については、全くわからないので何となくテレビやネットで見たものでこんな風に思ってたのかなと言う感じで書かせていただきました。

もし、不快に感じたのなら申し訳ありませんが、作者が描くこの先の展開でどうしても必要な内容だったので広い心で受け止めてくれると嬉しいです。


それでは、また次回をお楽しみにしていてください。

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