第17話 リズの報告
「では、食事にしましょうか、と言ってもいつもながらインスタント食品で申し訳ないですが」
「食事まで用意してくれているんだ、文句なんて言わないさ、それに味も旨いしな」
「そうですね、むしろすでにできているものを数分間温めるだけでできてしまうのに驚きですよ」
「そう言っていただけると嬉しいですね」
イゴールはそう言いながら全員の食事を配り終える。
「では、リズ報告を頼む」
「はい」
食事をしながらレイアはリズに調べてもらった事を聞く。
「私が調べた情報ですが、まずはマリア様の現在に至るまでの経緯を話しますね」
「ああ」
「マリア様はレイラ様と人間界で出会った男性との間に生まれ三人で暮らしていましたが父親はマリア様が三歳の時に亡くなり、さらに三年後マリア様が六歳の時にレイラ様が亡くなられました」
「そんな幼い時に両親を亡くされるとは、その時のマリア様の悲しみは我々では計り知れませんね」
リズの説明にイゴールはどこか悲しそうな顔でそんな事を口にする。
そしてレイアも思う事があるのかどこか悲しそうな顔をする。
「それから、どうなったんだ?」
レイアはリズに続きを話すように促す。
「はい、それからマリア様はタカナシという家に養子として引き取られ現在はタカナシマリアの名で生活しています、ちなみに字で書くと高梨真理亜と書きます」
「そうか、ならこっちの方で覚えないとな、ところで真理亜を引き取ったその家の者達は大丈夫なのか?」
レイアはリズに問う。
真理亜を引き取った者達が真理亜に酷い事をしていないかという不満もあったからだ。
「それなら大丈夫です、最初に記憶を見た時に少しだけ見ましたが真理亜様に優しい人達でしたから」
「そうか」
リズの言葉を聞き安心するレイア。
「それから真理亜様は清涼女子学園と言う学園に通われていて初等部の四年生ですね」
「それは良い所に通われてますね」
「知っているのか?」
「ええ、清涼女子学園、通称清女と呼ばれていますがいわゆるお嬢様学校で大学までエスカレーター式で偏差値も高い有名な学校ですよ」
レイアの問いにイゴールは答える。
「真理亜様の家は学校まで歩いて約二十分の所にあります」
その後もリズの集めた情報を聞き今後の事を考える。
「とりあえず、真理亜の家と学校の近くに暮らしたいかな」
「そうですね、ですが希望に沿う場所があるかどうかはイゴール様に調べて貰うしかありませんね」
「わかりました、さっそく調べてみましょう」
そう言ってイゴールは席を立ち調べに向かう。
果たして希望に沿う場所は見つかるのだろうか。
読んでいただきありがとうございます。
今回の話でレイアはマリアの字を覚えたので途中から真理亜と漢字で表記させていただきました。