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第190話 魔王会議 10 魔王会議 終

「この世界と人間界の空間を繋ぐ転移の魔法と空間の歪みが関係している?」


 レイアの問いにルーグは、疑問の声を上げる。


「可能性としての話だ、魔族と人間の中に転移の魔法で人間界に送られたと言っていた奴がいてな、もしかしたらそいつが転移の魔法ができているかどうかの実験でやっていたのかと思ってな、まあ僕は、その可能性は、低いと思っているがお前達は、どう思う?」


「そもそも、転移の魔法とは、どう言うものなのか見た事がないからわからないのだが、見せては、もらえないだろうか?」


「わかった、リズ」


「はい」


 レイアに言われリズは、転移の魔法を使う。

 リズが手をかざした所に空間が現れた。


「これが転移の魔法です、今は、どこにも繋げていませんが使いこなせれば、別の世界との行き来もできます」


 リズは、転移の魔法についての説明をする。


「これが転移の魔法で作った空間だがどうだ?」


「確かに空間が歪んでいるが関係ないと思うな」


 レイアの問いにルーグが答える。


「その理由は?」


「そうだな、大きく分けて二つあるな、一つは、突然現れた空間の歪みは、現れて吸い込まれたと聞いている、だが今リズ殿に出させてもらった空間は、歪んでいるが吸い込まれる事がないつまり我々が通らなければ、転移できないと言う事だがその点は、どうなんだ?」


「はい、ルーグ様のおっしゃる通り私の出したこの空間は、直接通らない限り

り別の場所に行く事は、ありません、もちろん吸い込む事もありません」


 ルーグの問いにリズは、答える。


「なるほど、二つ目の理由だがレイア殿が先程話したハーフエルフの話になるがエリス殿ハーフエルフと一緒に行動していたエルフ達は、空間が歪んだと言っていたがその時その者達以外にも誰かいたとか言っていなかったか?」


「いいえ、言ってなかったと思うわ」


「と言う事は、誰もいなかったと言う事になる、もし空間の歪みと転移の魔法が関係あるなら、その場所の近くに転移の魔法を使った者がいるはずだ、リズ殿その空間を自分より遠くの場所に出す事は、可能か?」


「いえ、この魔法は、繊細な操作が必要ですので私の近くでないと出せませんね」


「この二つの理由から空間の歪みと転移の魔法は、関係ないと思われるがいかがだろうか?」


 ルーグは、レイアを見て問う。


「なるほど、確かにルーグの言う通り関係ないと見えるな、すまないな、話を変に盛り上げてしまった」


「いや、わずかでも思う事があるなら、遠慮なく言うのがこの会議だからな気にするな」


 レイアの謝罪をルーグは、気にしていないと言う。


「あのー、よろしいですか?」


 ここでキトリーが手を上げて言う。


「どうした? キトリー殿」


「先ほど、レイア様が人間界に来ている魔力持ちの中に転移の魔法で送った者がいると言っていましたよね?」


「ああ」


「その者は、レイラ様の命を奪ったかもしれない者の配下でしかもレイラ様のお子様の命も狙っているんですよね?」


「ああ」


「でしたら、転移の魔法を使えるリズさんがその者の配下の可能性もあるのでは、ないですか?」


「・・・・・・どう言う意味だ?」


 レイアは、鋭い目つきでキトリーに問う。


「・・・・・・ッ!!」


 キトリーは、冷や汗をかく。


「おい、僕の妻をそんな目で睨むなキトリーだって考えなしに言ってるわけじゃないんだから」


「・・・・・・そうだな、すまない、理由を聞こうか」


 レイアは、冷静になりキトリーの話を聞く。


「いえ、私も軽はずみで言って申し訳ありません、理由と申しましては、別の場所にましてや別の世界に移動する魔法は、簡単にできるものでは、ありません、ですのでそれができる者は、限りなく少ないと思われるのです、同じウィッチ族である私もリズさんの才能は、知っています魔法に長けたウィッチ族でも彼女ほどの才能を持った者は、そういません、ですので別の世界に繋げる転移の魔法を使える彼女を疑ったのです」


「なるほど、確かに転移の魔法を使えるリズならそう思っても仕方ないか、それに姉貴を殺したかもしれない奴の配下は、女性だと言っていたしなそれで転移の魔法を使える、つまり魔法に長けた種族で女性と言えば、ウィッチ族が思い浮かびそして転移の魔法が使えてウィッチ族のリズなら、それに該当してもおかしくないとそう言う事だな?」


「はい、その通りです、と言うよりウィッチ族なのですか?」


 レイアの問いにキトリーは、頷いて答えその後驚いたように問う。


「ああ、その可能性が高いと考えている、だが少なくともリズでは、ないと思うがな、もしリズならわざわざ誰かに頼まなくてもいつでも真理亜を自分が殺したと見せかけないように殺すことができるはずだ、それにキトリーお前だって本気でリズがやったとは、思ってないだろ?」


「もちろんです、ですが現状考えるとリズさんが一番疑われると思いましたので」


「なるほど、リズ、キトリー、ウィッチ族であるお前達に問うが転移の魔法もしくは、それに似た魔法を使える才能のある者は、他にいるか?」


「そうですね、私以外だとシエラ様が使えますが」


「あー、あいつは、除外だ天地がひっくり返ってもないと思う」


「でしたら、思い当たりませんね」


「そうか、キトリーは?」


「私も思い当たりません」


 リズとキトリーは、レイアの問いに心当たりは、ないと答える。


「そうか、ゼルア、ウィザード族のお前は、どうだ? ウィザード族ってウィッチ族にやけに執着していただろ?」


「言い方!! もうそんな考えは、古いからやめろ!! 答えは、知らないさもしそんな才能を持っている奴がいたら、古い昔の考えを持った奴は、何が何でも手中に収めるだろうな」


 レイアの問いにゼルアは、知らないと答える。


「そうか、魔法が使えない僕には、よくわからないが簡単には、いないと言う事だな」


「レイア様、可能性として一人いるには、います」


 リズが難しそうな顔で言う。


「ん? 誰だ?」


「直接聞いたわけでは、ありませんが、()()()なら使えてもおかしくないと思います」


「あの方って・・・・・・あいつか? もしかしてあいつの事か?」


「おそらくレイア様が思いついているお方で間違いないかと」


「あー、確かにあいつならできても不思議じゃないよな、でもあいつって誰かの命令に従うか?」


「従いませんね、少なくとも私の中では、一人を除いて、ですので除外と言う事でよろしいでしょうか?」


「そうだな、まあ色々あるけど」


「そうですね、色々ありますけど」


 レイアとリズは、どうにか納得しようとする。


「あの、誰なのですか? そのあの方って?」


 キトリーが問う。


「キトリーさん、あなたならわかるはずです、ウィッチ族の中で唯一、私達同族からも恐れられていたあの人ですよ」


「同族からも・・・・・・あ、もしかしてあの人ですか?」


「そうです、名前を言うのも恐ろしいと思わせた」


「あー」


 リズの説明でキトリーも納得する。


「キトリーあの人って誰なんだ?」


「それは・・・・・・」


 キトリーは、ゼルアに耳打ちして言う。


「・・・・・・なるほど、確かに彼女は、僕達ウィザード族でも手出ししなかったな、昔何人かが彼女に手を出そうとしたらほぼ死んでいる状態で発見されたと聞いた事がある、それ以来彼女だけには、手を出をさないようにしていたとな」


 キトリーからその者の名を聞いたゼルアは、納得する。


「こうして、皆の意見を聞いたが結局謎が深まるばかりだな、これ以上話しても進展は、ないと思うのでこれで魔王会議を終わりにしたいと思うが皆は、どうだろうか?」


 ルーグが他の魔王達に問う。


「そうだな、このまま話してもわからないままだと思うぜ」


「そうね、私も十分だわ、フィオナが生きていた事が知れたのは、思わぬ収穫だったわ」


「僕も、終わりで良いと思うぞ」


「妾は、途中からもう飽きたのじゃ、ただしばらくマイスイートと離れるのは、寂しいのじゃ」


「ワシも言う事は、ないのう」


「皆と同じく」


「私も、特に」


「我も終わりにしたいのだ、ぬお!? ドラヤキが終わってしまったのだ!! レイア、もうないのか?」


「リズ、後でシャロに追加のどら焼きを全部渡してやれ」


「承知しました」


「ルーグ、僕も特にこれ以上言う事は、ないぞ、むしろお前達に話して色々意見が聞けて良かった」


「そうか、では、これにて魔王会議を終了する」


 こうして魔王会議は、終わった。

 魔王達は、それぞれの領地に戻って行く。

 そして、レイアも自分の領地の城に戻るのだった。


「レイア様、お戻りになられたそうです」


「そうか、すぐに僕の所に来てくれ」


 レイアの元に三人の人影が入って来る。


「ご苦労だったな、すまないが早速次の任務についてほしい、その任務とは・・・・・・」


 レイアは、その三人に次の任務を伝え、そしてレイアとリズは、人間界に戻るのだった。



 


  





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