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第183話 魔王会議 3 レイア、他の魔王達に説明する 2

「他には、そうだなこれなんかどうだ?」


 そう言ってレイアは、別の物を出した。


「レイア、これは?」


 エリスがレイアに問う。


「ああ、シャンプーだよ」


「シャンプー?」


「風呂に入る時頭を洗う時に使う物だ」


「石鹸みたいな物かしら?」


「いや、石鹸は、石鹸で別にあるぞほら」


 レイアは、石鹸を出す。


「形は、私達の世界の石鹸と変わらないわね」


「そうだな、形は、な」


「どう言う事?」


「匂いを嗅いでみな」


 そう言ってレイアは、エリスに石鹸を渡す。

 エリスは、手に取り石鹸の匂いを嗅ぐ。


「何これ!? 凄く良い香りがするわ」


「香りがある石鹸さ香りだけでは、なく肌にも優しいし、この世界の石鹸より肌が艶々に綺麗になったぞ、さらにこのシャンプーは、髪を洗う時に使う物でこれで髪を洗ったら髪も艶がありサラサラになったぞ」


「・・・・・・」


 エリスは、レイアをじーっと見つめる。


(確かに、レイアの髪も肌も随分艶があって綺麗に見えるわね)


「実際に使って見ようか、ルーグ確かこの城には、浴場があって使えたよな?」


「ああ、問題ないぞ」


「なら、実際に使って見ようか、誰か使って見たいと思う者は、いるか? できれば女性をお勧めするが」


 レイアは、魔王達に問う。

 しかし、人間の作った物なのか試したいと思う者がいないようだ。


「まあ、人間の作った物だからな、じゃあ僕の方で勝手に・・・・・・ルキアどうだ?」


「私ですか?」


 ライオルの付き添いで来た女性が反応する。

 彼女の名は、ルキア。

 獣魔族の女性でライオルの妻であり側近でもある。


「おいおい、俺の妻で試すのかよ」


「獣魔族の毛並みとかは、中々だしこれがどれだけ凄いかわかりやすいかと思ってな」


「だからってな」


「強制は、しないさ、ルキアどうする?」


 レイアは、ルキアに問う。


「わかりました、私でよろしければ」


「そうか、リズ一緒に浴場に行ってくれ」


「承知しました、ルキアさん行きましょう」


「はい」


 リズとルキアは、部屋を出て行き浴場へと向かった。

 それから三十分ぐらいして戻って来た。


「レイア様、戻りました」


「そうか、ルキアは?」


「外で待たせています、よろしいですか?」


「ああ、頼む」


「ルキアさん、入ってください」


 リズに言われルキアは、戸を開け部屋に入って来た。

 入って来たルキアは、先程の人の姿に狼と思われる耳と尻尾を生やした本来の姿で現れる。

 よく見ると髪や肌は、綺麗に艶があり尻尾の毛並みも艶があり、さらに顔の肌も綺麗になっていた。


『・・・・・・』


 その場にいた他の魔族達特に女性陣は、ルキアの姿をじっくりと見ていた。


「そ、その、どうですか?」


 照れながらルキアは、問う。


「ライオル、どう思う?」


「え? あ、そ、そうだな」


 レイアに問われライオルは、妻のルキアを見る。


「その、何て言うか凄く綺麗だぞ」


「あ、ありがとうございます」


 夫であるライオルに褒められルキアは、さらに顔を赤らめた。


「どうだ? これが人間界の人間が作った美容道具だ」


「まさかここまでとは、思わなかったわ」


「ちなみに髪を洗ったのは、このシャンプーで、体を洗うのは、石鹸、さらに顔を洗う専用の物や髪を傷めずに滑らかにする物などたくさんあるぞ」


「そ、そんなに」


 レイアの説明にエリスだけでなく他の者達、特に女性陣が驚愕な顔で聞いている。


「ああ、さらにお風呂上りに顔につける化粧水とかもあるぞ」


「けしょうすい?」


「これさ、中身は、ただの液体に見えるがこの液体には、顔の肌を綺麗にする成分が入っているそうだこれを付けてさらに美肌になれるのさ、その結果がこのルキアさ」


「なるほど、確かに動かぬ証拠ね、さっきまでとは、別人じゃないのかと思えるほど綺麗だし」


「そうだろ、ちなみにルキアお前にも聞きたいが、使って見た感想は、どうだ?」


 レイアは、ルキアに感想を聞く。


「正直に申しますと、これは、素晴らしい物だと思います、何故ならこんなに髪がサラサラで肌もこんなに綺麗に潤っていて、それに見てくださいこの尻尾をこんなに艶が出るなんて驚きです、獣魔族にとって尻尾は、敏感な部分でもあり手入れも大変なのですが、これを使えば何も問題なく楽に手入れができます、はっきり申しますとこれほど素晴らしい物を知ってしまったら、もう今まで使っていた石鹸では、物足りなくなります、そしてこれが人間が作った物だと言うのなら、これを作れる人間とは、友好的な関係を持っても良いと思っています」


「そんなになのか?」


「ええ、こんな素晴らしい物が手に入るなら、それを作れるのが下等生物と言われる人間でも友好関係を築くべきです、これは、女性なら絶対に欲しいと思います」


 ライオルの問いにルキアは、自信たっぷりに答える。


「レイア様、これほどの物です、さぞやお高いのでは?」


「いや、これ全部で大体銀貨二枚くらいで買えるぞ」


「そ、そんなに安いのですか!?」


 レイアの答えにルキアは、驚く。

 そしてそれは、他の女性陣も同じだった。


「ああ、これ高級品じゃないからな一般の者達が買っている物だからな」


「これほどの物で一般の物、だとすれば高級な物は、どれほどだと言うのですか」


「それは、わからないなこれでも十分だったからな」


「まあ、確かに私も一般の物でこの効果なら十分ね」


「気に入ったのか?」


 レイアの問いにエリスやリーザロッテ、そしてこの場にいる女性陣が首を縦に振り頷く。

 

「そうか、なら持って来て良かったな」


「え?」


「気に入ったなら、あげようかと思って持って来ていたんだ」


「レイア!! それ本当なの!?」


「マイスイート!! 妾達にそれをくれるのか!?」


 エリスとリーザロッテに続き他の女性陣も身を乗り出す勢いでレイアを見る。


「ああ、と言ってもここにいる者達の分しかないけどな、できれば全員の女性の配下達の分を持って来たかったんだけどな」


「いやいや、そこまで気を遣わなくて良いわよ、むしろ私達が貰えるなんて思わなかったわ」


「マイスイート!! そう言う所なのじゃ、妾がそなたを欲しいと思うのは」


 レイアは、持って来た美容道具をその場にいる女性陣に配った。

 貰った女性陣は、レイアに対しまるで神から貰った物のように深く感謝していた。


「ほら、シャロ、ミューラ」


「ありがとう、レイア」


「おお、食べ物じゃないけど、レイアのプレゼントならありがたく貰うのだ」


 シャロとミューラは、あまり美容については、興味なさそうだったが、レイアからの贈り物は、素直に嬉しいようだ。


「さて、女性陣は、これで人間界の人間が少しは、優れた種族だと認めたと思って良いか?」


「まあ、この世界の人間よりは、優れていると認めても良いわね」


 エリスの言葉に女性陣も頷く。


「そうか、だがまだあるぞ、そうだなロウキこれを見てくれ、リズ」


「はい」


 レイアに言われリズは、何かを取り出す。


「ロウキ、鬼族のお前ならこれが何かわかるだろ?」


「ああ、そいつは、刀じゃろ? レイアの嬢ちゃん」


 ロウキの答えにレイアは、頷く。

 レイアが見せたのは、刀、日本刀である。


「そう、刀さ、だが作りは、全然違うぞ見てみるか?」


「ああ、ぜひ」


「わかった」


 レイアは、ロウキに刀を手渡す。

 そして、ロウキは、その刀を抜いて見る。


「な、なんじゃこれは!? これが刀だと言うのか!? なんと透き通った綺麗な刀じゃ」


「ああ、しかも作りが良ければ、鉄など簡単に斬れてしまうらしいぞ」


「なんと、おいガルザ、この刀どう思う?」


 ロウキは、自分の側近である、ガルザに刀を見せ問う。


「こいつは、見事な出来ですよ」


 ガルザと呼ばれたドワーフは、刀を見て答える。

 ドワーフ族の男性、ガルザ。

 ロウキの側近で武器を作っている鍛冶氏である。


「こんな、刀見た事がない、どうやって作っているんだ?」


「お前さんの目から見てもそう思うか?」


「ええ、こんな出来の良い刀、ワシ等ドワーフでも作れるかどうかと思うくらいの出来ですよ、正に芸術の一品です」


「そこまでか」


「ガルザ、ドワーフのお前ならこれの凄さもわかるはずだ」


 そう言ってレイアは、ガルザに一冊の本を見せる。


「レイア様、これは?」


「人間界の乗り物が描いてある本さ人間界の乗り物も凄いぞ」


「乗り物ですか? この、鉄の塊がですか?」


「そうだ、しかも馬車よりも速い速度だ、しかもそれだけでは、ない海を渡る船も百人以上乗せられる大型の船もあるし、しかも海の底に潜り移動する事ができる潜水艦と呼ばれる乗り物もあるし、何より僕が驚いたのは、その飛行機と言う乗り物だ」


 レイアは、本のページをめくりそれを他の者にも見えるように見せる。


「これも乗り物ですか?」


 ガルザは、レイアに問う。


「ああ、しかもこの乗り物()()()()事ができるんだ」


「な!?」


 レイアの言葉にガルザは、驚きの声を上げる。

 そして他の者達も驚愕していた。


「百人以上乗せて飛ぶことができるのさ、遠くの国に旅行する時に使うらしいい」


「空を飛ぶ乗り物、どんな仕組みなんだ」


「確か、このページに・・・・・・あった、ほらこのページに飛行機の設計図が載ってるぞ、細かい構造とかも出てるぞ」


「なんじゃこの細かい設計図は!? 人間界の文字だから読めぬが図面を見ただけでわかる、これを人間が作ったと言うなら人間界の人間は、天才じゃ!! 少なくとも物づくりの点においては、ワシ等ドワーフ族より圧倒的に優れておる!!」


「そんなにか、設計図があるのに同じのを作れと言われて作れないのか?」


「無理ですな、少なくとも今のワシ等じゃ理解するのにかなりの時間が掛かると思います」


「まあ、そうだろうな、物質の動きとかそう言うのもあるからな」


「物質の動きとは、何だ?」


 気になったのかゼルアが問う。


「人間界の人間は、魔力を持たないから魔法なども使えない、だから動力源とかそう言った物質の仕組みとかがしっかりしてないと動けないんだよ、科学的な物も必要なのさ、この本に科学について書かれているぞ」


 レイアは、ゼルアに科学の本を見せる。


「何て書いてあるんだ?」


「ああ、読むぞ」


 レイアは、科学の本に書かれている内容を読む。

 やがて少しして。


「レイア、もういい十分だ」


 ゼルアは、レイアを止める。


「そうか、ところで人間界の人間の説明の続きだけど」


「もういい、レイア、説明しなくて」


「ん? どうしてだ? 人間界の人間が優れているのをわかってもらいたいんだが」


「いや、ここまで説明してくれれば十分優れているってわかるよ!! 見ろよ!! 他の皆も疲れたような顔をしてるぞ!!」


 ゼルアに言われレイアは、周りを見る。

 確かに他の魔王や側近達も何か疲れたような顔をしている。


「ホントだぜ、ゼル坊の言う通り、俺は、正直途中から何を言ってるのかわからなかったぞ」


「そうね、私もよくわからなくなってきたわ、むしろあなたがこんな凄い世界で過ごしている事を尊敬するわ」


「そうじゃの、妾も人間界の人間は、この世界の人間とは、違い過ぎるとはっきりとわかったのじゃ」


「ワシもじゃな」


「我もレイア殿の話で人間界の人間は、高位なる種族だと思える」


「じゃあ、人間界の人間は、優れた種族だと認めてくれるのか?」


「当然だろ」


 レイアの問いにルーグが答える。


「これほどの知識と技術力があって下等生物だと思う方がおかしいだろ」


 ルーグの言葉で他の者も頷く。


「そうか、それなら良かった、なら僕もお前達に聞きたい事が聞けるな」


「聞きたい事とは?」


 ルーグがレイアに問う。


「それは、最初に話したが真理亜についてだ」


「レイラ殿の娘と言っていたな、人間界の人間との間に生まれた、そしてその子を守るために人間界に行ったと」


「ああ、そうさそしてその人間界で姉貴は、何者かに殺された、そしてその娘の真理亜も何者かに狙われている、だからお前達に聞くから正直に答えろ」


 ここでレイアは、少し間を置く。

 そして。


「まさか、お前達の中に姉貴を殺した事に関わっている奴は、いないだろうな?」


 レイアは、威圧を込めながらそう他の魔王達に問うのだった。






 


 





読んでいただきありがとうございます。

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