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第173話 夏だ!!海だ!! 6 決着

「何だ、その魔力量は?」


 ザイラスはドラギオスの魔力量に驚いている。


「簡単な事さ、魔力量を上げただけの事」


「魔力量を上げただと?」


「君達はこの世界の人間が魔力を持たない事を知っているだろ?」


「それが何だと言うんだ?」


 ザイラスはドラギオスが何を言ってるのか全く理解できていなかった。


「だからこそ魔力に対する耐性がないのさ、だからもし強大な魔力を間近で感じたりしたらこの世界の人間達に害を与えてしまうと思ったからこそ我々も魔力量を抑えていたのさ」


「何だと!?」


「つまり、我々はこの世界の者達への影響を考えて全力を出す事ができなかったのさ、だがその問題も解決したよ」


「解決だと?」


「ああ、我々の仲間がこの辺り一帯を広範囲で認識阻害をしてくれたから、少し本気で暴れてもこの辺り一帯は何も影響を受けないようになった、これで思う存分戦える」


「まさか、お前」


 ザイラスはドラギオスが何を言おうとしているのか理解する。

 そう、ドラギオス達は全力でやれば勝てたのだがその全力の魔力を開放して魔力を持たない人間界の人間達に何かしらの影響を与えてしまう事を避けるためにあえて手を抜いて戦っていたと言う事になる。

 しかし、それもリズとリゼの二人で認識阻害の魔法を広範囲に広げた事である程度本気を出して戦っても人間達には認識されないようにできたため、ドラギオス達も本気を出して戦えるのである。


「君が思う通りで合っているよ、そして我々が押さえていた魔力量は、全体の九割だよ」


「!!」


 ザイラスは冷や汗をかく。

 ドラギオスの言っている事が正しいのなら、彼等は今まで相手の十分の一の力と戦っていたに過ぎないからだ。


「そして、今我々は三割の魔力を開放する事ができる、つまり今までの三倍だ」


 ドラギオスは魔力を開放し全身を覆う。


「一割の力で戦っていたとは言え私を追い込んだ事に代わりはない、だから君に敬意を表し」


 やがて覆った魔力が消えていく。


「本来の姿で相手をしよう」


 そこには人型の黒い竜の姿になったドラギオスがいた。


「黒い竜だと!? そしてドラギオスと言う名、まさか、お前《黒竜(こくりゅう)のドラギオス》か!?」


「ほう、昔の名を知っているのかね?」


「お前達は俺達人間を下等だと思ってるが、人間の中でもお前達魔族の事を調べてる者はいる、いつか後世の者達に伝えるためにな」


「そうか、君はまともな方の人間か、なら我々魔族の力を身を持って知るがいい」


 ドラギオスはザイラスに向けて口から黒い炎を吐く。

 黒い炎がザイラスを襲う。


「ぐうっ!!」


 ザイラスはその炎の中を抜けドラギオスに衝撃波を与える。

 しかし。


「それが全力かね?」


「バカな!?」


 ドラギオスには全く効いていなかった。


「何故だ!?」


「簡単な事さ、君のスキルが私の身体の中に攻撃するなら身体の中に魔力を纏って防御すればいいだけの事」


「身体の中だと? そんな器用な事ができるわけ」


「私もかつてはそう思ったさ、だが現にできている、これが事実だ、では」


 ドラギオスは一瞬でザイラスに接近する。


「そろそろ、終わりにしようか」


 ドラギオスは黒い炎を放つ。


「ぐおおおおおおおおおおおお!!」


 ザイラスは黒い炎に全身を焼かれ、そのまま倒れるのだった。


~side ソウガ~


「今まで手加減して悪かった、詫びのしるしにこの姿で相手をしてやる」


 ソウガは魔力で全身を覆う。

 やがて魔力が消え、そこには鬼の姿をしたソウガがいた。


「鬼の姿でソウガと言う名、《戦鬼(せんき)ソウガ》か!?」


「そう言えば昔は人間にそんな名で呼ばれてたな、まあどうでもいいが、行くぜ」


 ソウガはイールドに接近する。

 先程までと違い猛スピードで接近する。


「ちっ!!」


 イールドは硬化のスキルで強化した土壁を出す。

 ソウガの拳が土壁に当たる。

 凄い衝撃が来たが土壁は何ともない。

 だがソウガは連続で拳を打ち付ける。

 すると土壁にひびが入りやがて砕けた。


「何!?」


「大した奴だ、人間にしてはマシな方だったぞ」


 ソウガはイールドに拳を打つ。


「がはっ!!」


「だが、これで終わりだ」


 ソウガは打撃で怯んだイールドの顔面を鷲掴みしそのまま地面に叩きつける。


「がっ!!」


 地面に叩きつけられたイールドはそのまま倒れるのだった。


~side ゼナ~


「ぬんっ!!」


「遅い」


 ナムールの拳をゼナは軽く受け止める。


「アンタ、肉体強化の魔法を使ってるようだけど、あの速さはそれだけでは説明できないのよね、スキルだったっけ? アンタ達人間が言っている魔法以外の力、それじゃないの?」


「・・・・・・ああ、そうだ」


 ゼナの問いにナムールは答える。


「へえ、で、何て言うスキル?」


「・・・・・・ふん」


 ナムールはその場で消えたかと思ったが次の瞬間ゼナの背後に回っていた。


「《加速(かそく)》だ、目にも止まらぬ速さで移動するスキルだ」


「ほう、目にも止まらぬ速さか、だったら何故私に()()()()()()()()()?」


「なっ!?」


 ナムールは後ろを振り向くとそこにはゼナがいた。

 

「な、何故だ!? 確かに背後を取ったはず!?」


「簡単さ、アンタと同じ肉体強化の魔法を使ったのさ、ただし全身ではなく()()()()()()したのさ」


「足だけだと!?」


 ナムールは理解が追い付いていなかった。

 肉体強化の魔法は全身を強化する魔法である。

 だがゼナは全身ではなく部分的に強化したのだ。

 つまり、腕とか他の部分に回す分の肉体強化を足に回したのだ。

 これによりゼナはナムールの加速と同等の速さを見せたのだ。

 だが、同等と言ってもあくまで三割の魔力で同等なのだ。

 もし全力なら、もはや話にもならないだろう。


「もう終わりにしようか、これ以上長引かせる気もないしな」


 ゼナは魔力を開放する。


「こんな事が・・・・・・ありえないだろ」


「切り刻め」


 そう言いゼナは風属性魔法で作った無数の風の刃が嵐のようにナムールを切り刻む。


「ぐうああああああああああああああー!!」


 ナムールは無数の風の刃に全身を切り刻まれる。

 やがて風の刃の嵐が治まると、そこには全身切り刻まれたナムールが倒れていた。


「ドラギオスとソウガも終わったようだな」


 元冒険者の人間達対魔王レイアの配下達の戦いは魔王レイアの配下達の勝利で決着がついたのだった。










 



読んでいただきありがとうございます。

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