番外編 お疲れ様会
本日、二話目の投稿です。
番外編で教師達の話になります。
これは、真央達が休みに入る、前日の清涼女子学園の教師達の話である。
「では、先生方、一学期お疲れ様でした、乾杯」
『乾杯!!』
三上理事長の言葉と共に他の教師達も乾杯をし、ビールを飲んでいた。
「ぷは~、いやこの一杯のために生きている気がするわ」
「柳瀬先生、男みたいな言い方ですよ」
「いや、女らしい言い方なんてあるのか、一条先生?」
「それは、わかりませんけど」
「なら、良いじゃん、じゃんじゃん飲もう飲もう」
「柳瀬先生、上機嫌ですね」
「上機嫌にもなりますよ、理事長」
「ちょっと、柳瀬先生、理事長に失礼ですよ」
柳瀬先生の態度を注意する女性。
彼女の名は、高本早苗、清涼女子学園小学部の教頭先生である。
「まあまあ、高本先生、一学期教頭としてのお仕事お疲れ様です」
「あ、理事長お疲れ様です」
高本教頭は、理事長と一緒にビールの入ったジョッキを当てて乾杯をする。
「それにしても今年は、物騒な事がありましたね」
「そうですね、まさか学園の生徒が誘拐されるとは」
「理事長、教頭申し訳ありません、私が至らないばかりに」
一条先生は、頭を下げて謝罪する。
「一条先生が謝る必要は、ありません、だって学校の外での出来事だったのですから、そうですよね理事長」
「ええ、そうですよ、それにリズ先生によってその生徒は、助かったのですから、そうですよね、リズ先生」
「ええ、結果的にケガもなく無事でしたから、大事にならずに良かったです」
教師達の飲み会なので当然リズも出席しているのだ。
「しかし、リズ先生その綺麗な見た目からは、想像つかない程強いんですね」
「そんな事ありませんよ、柳瀬先生、ただの護身程度ですから」
「護身で、誘拐犯を退治するだけでも、凄いと思うけど」
「そう言えば、リズ先生、宇界さんの運動神経は、凄いですね」
ここで女性がリズに話し掛ける。
彼女の名は、山岡南、清涼女子学園の体育の担当教師である。
「ええ、真央さんは、運動神経も良いですからね」
「それは、もちろんですが私が驚いたのは、宇界さん泳げなかったのに次の水泳の授業では、もう泳げるようになっていて聞いたら友達に泳ぎ方を教わったと言うじゃないですか、教わってもうできるようになるなんて、スポーツとかの才能がありますよ」
「真央さんは、ちゃんと教えればできる子ですからね」
「でも、良かったですね、何も覚えていなかったから、変にトラウマにならずにすみましたし」
「そうですね、親も特に何も文句を言わずに我々教師の責任では、ないと言ってくれましたからね、ありがたい事ですよ」
「まあ、これがモンスターペアレントなら責任とって裁判事にもする親もいるし、こっちは、嫌になっちゃうけどね、まあこの学園の保護者は、そう言う人がいないからその分、楽と言えば楽できるけど」
「柳瀬先生、それ保護者に絶対言っては、ダメですよ」
「教師しかいないから言ってるんじゃないか、一条先生、あ、すいません、ビールおかわりお願いしまーす」
柳瀬先生は、店員にビールのおかわりを頼む。
「もう、飲んだのですか? 早過ぎますよ」
「いや、普通でしょ、一条先生もボーっとしてたら焼き鳥に枝豆全部なくなるよ」
「全く、あなたと言う人は」
「でも、今後不審者とかにも気をつけた方が良いですね」
「教頭先生のおっしゃる通りですね、増田さん警備の方お願いしますね」
「あ、はい、わかりました理事長」
理事長に言われ増田は、返事をする。
彼の名は、増田正、清涼女子学園の警備員をしている男性である。
元野良犬、アルファ、ベータ、ガンマの世話をしていて猫のぽん丸を一日預かったあの警備員さんである。
大柄でちょっと怖い感じの人だがとても優しい男性である。
今回の飲み会で唯一男性は、彼だけなのでいくらか緊張しているようだ。
「あの、無理しないでくださいね、毎日頑張っているのは、知っていますから」
増田の隣に座っていた女性が心配そうに言う。
彼女の名は、桜井伊織、清涼女子学園の国語担当の先生である。
「あ、はい、無理せず頑張ります」
顔を赤くしながら増田は、照れたように言う。
「つーかお二人さんさー、いつ結婚するの?」
「「!!?」」
柳瀬先生の言葉に二人は、顔を赤くしながら驚く。
「な、何を言ってるんですか!! 柳瀬先生!!」
桜井先生は、何かをごまかそうと必死である。
「いや、伊織ちゃんさ、ぶっちゃけここの先生達皆知ってるよ、二人が付き合ってる事、バレてないと思ったの?」
「え、嘘!?」
「嘘では、ないわ桜井先生」
桜井先生の隣に座っていた女性が答える。
彼女の名は、和久井すみれ、清涼女子学園の理科を担当している教師である。
「あなた達、二人の関係を知らないのは、新しく入ったリズ先生くらいだと思うわ、まあでもリズ先生もどことなく気づいてるようだけど」
「そ、そうなのですか?」
「そうだぞ、なあ皆」
柳瀬先生の言葉に教師達が頷いて答える。
「はうう~」
その真実に桜井先生は、顔を赤らめ両手で顔を隠した。
「むしろ恋とは、何なのか凄く気になるわね、理科の先生だからそう言った科学的に説明できない事は、気になってしょうがないのよね」
「まあ、恋は、科学じゃどうにも説明できないからな」
その後も教師達は、ビールを飲んだり酒のつまみを食べたりするのだった。
やがて時間は、過ぎて行き。
「すいませーん、もう一杯ビールおかわりー!!」
「一条先生、いい加減にしてください!! 飲みすぎですよ!!」
教師達は、すっかり酔いが回っていた。
「なあにぃ、一条先生真面目すぎでしょ、前から思ってたけど肩の力抜いた方が良いぞぉ」
「真面目で何が悪いんですか!! 真面目で・・・真面目で・・・」
言っている途中で一条先生の目に涙が溜まっていた。
「真面目で何が悪いんですかー!! 不真面目よりずっとましでしょー!! うわーん!!」
「ああー、ごめんごめんってばー、何か嫌な事あった? ほらそんな時は、ビール飲んで忘れろって」
酔いのせいなのか一条先生は、何かを吐き出すように泣き出し柳瀬先生は、慰めてビールを薦める。
「理事長、私は、私は、最初あなたが理事長で大丈夫なのかと思ってたんですよ」
「はあ、そうですか」
「だってこんな若い理事長ですよ、良いのかって思うじゃないですか、なのにあなたは、頑張っていて立派です!!」
「あ、ありがとうございます」
「あなたは、偉い!! 偉いですよ理事長!! その若さで立派にやっていて私は、もう定年まで理事長について行きますよー!!」
「ええ、よろしくお願いします」
一方こちらでは、酔いが回った教頭先生を理事長が相手をしていた。
「増田さん!! 何で私にもっと来ないんですか!! 私そんなに女としての色気がないですか?」
「いや、そんな事ないです桜井先生は、素敵な女性です」
さらにこちらでは、酔っている桜井先生が増田に対して不満を言っていた。
「だったら何で、わかりました、胸!! 胸ですね!!」
「いや、そんな事は」
「確かに私他の先生に比べたらそんなに大きくないですけど、でも結構形とか良いですよ!! それに私こう見えて意外と大きいって言われてるんですから!! 何だったら今証拠を見せますから、しっかり見てください!! 私の意外と大きな二つの果実を!!」
そう言って、桜井先生は、服を脱ごうとする。
「いや、待ってください!! 桜井先生ここは、ダメです!!」
増田は、慌てて止めに入る。
「でも実際、桜井先生って結構胸あるわよね」
「和久井先生、止めてください!!」
「え、でもなんか面白そうだし」
和久井先生は、そんな二人の行動をただじっと面白そうに見ているのだった。
「リズ先生、宇界さんは、将来スポーツ関係の仕事を薦めた方が良いと思います!!」
「そ、そうですか」
「そうですよ、あの運動神経は、中々ないですよ!! 宇界さんには、スポーツの才能がありますよ!!」
「わかりました、真央さんに今度聞いてみますね」
さらにこっちでは、酔った山岡先生がリズと話していた。
すっかり教師達は、酔いが回って全員がハイな感じになっていた。
そんな中で酔っていないのは、人間では、ないリズと理事長そして警備員の増田の三人だけであった。
(教師って大変なんですね)
こんな状況を見てリズは、そう思うのだった。
そんなこんなでお疲れ様会は、終わり教師達は、二学期に向けて気を引き締めるのであった。
ちなみにこの居酒屋の代金は、全て理事長が払ったのであった。
読んでいただきありがとうございます。
次回からレイアの話に戻り海に行きます。




