第165話 彩音の妹登場
いよいよ海に行くのに明後日となったのだが。
「彩音、正直に答えろ、夏休みの宿題どこまで終わった?」
「え? どうしたの? まだ始まったばかりだから手つかずだよ」
「そうか、じゃあ今からお前の家に行って宿題するぞ」
「え? 何で?」
「何でって、去年の事忘れたのか?」
「あ」
彩音は思い出しそして冷や汗をかいている。
「去年の夏休み最後の日にお前が泣きついて夏休みの宿題につき合わされたのは、正直地獄だった」
「ご、ごめん」
「だから今年は早期に終わらせる、だから今からお前の家でやるぞ、ついでに私の宿題もやる、ついでに真央達も呼ぼう」
「そんな、ちょっと待ってよさっちゃん」
「待たない、行くぞ」
沙月に強引に連れて行かれる彩音。
~side 彩音の家~
「彩音ここ間違ってるぞ」
「うう~」
彩音は沙月によって嫌でも宿題をやらされている。
ちなみに真央達は真央達で宿題を黙々と進めている。
「さっちゃん、酷いよ」
「酷いだと? むしろ早く終わらせられて良いだろ? そうすれば夏休みたくさん遊べるぞ?」
「だからって夏休み始まったばかりなのにこんなにたくさんやらなくてもいいじゃん!!」
「これはお前のためでもあるんだ」
「うわ~ん、お母さ~ん!! さっちゃんがいじめるよ~!!」
「そのお母さんにはすでに許可を取っている、徹底的にやってくれとな」
「うわ~ん!! さっちゃんの鬼~!! 鬼畜~!!」
「人聞きの悪い事言うな!! いいからやるぞ!!」
「うわ~ん!!」
それからも彩音は沙月の猛勉強により夏休みの宿題を終わらされるのだった。
「もうダメだよ~」
「まあ結構終わったし、これぐらいで良いだろ」
「やったー!! 地獄から解放されたー!!」
彩音は嬉し泣きしながら歓喜する。
「それにしても、夏休みの宿題帳を半分も終わらせられたのは凄いですね」
「うん、私もいつの間にか半分も終わってた事にびっくりだよ」
「私も驚いているよ、人間その気になれば何でもできると言うのは案外本当なのかもな」
「彩音、トイレはどこだ?」
「あ、トイレなら階段を下りてすぐ隣のドアだよ」
「わかった、ありがとう、ちょっと行ってくる」
「おう、じゃあ私達は何して遊ぶか決めておくよ」
「ああ、わかった」
真央は部屋を出て行く。
「じゃあ、何して遊ぶ?」
「そうだな」
何をして遊ぶかを考えていると部屋が勢いよく開く。
「あや姉!! あそぼー!!」
女の子が彩音に勢いよく抱き着く。
「って、雪音何?」
「あや姉、暇だからあそぼー!!」
雪音と呼ばれた子は彩音に遊んでもらいたいようだ。
彼女の名は加藤雪音。
彩音の二つ下の妹であり、清涼女子学園の小学部二年生である。
「だったら美優ちゃんの所に行けば?」
「美優は今日新しく入った家政婦さんと一緒に買い物に出かけているから無理だぞ、だから、あや姉遊んで!!」
「遊んでって、私も友達が来てるんだよ」
「ん? おお!! まり姉、さつ姉、ゆい姉も来てたんだ」
「雪音ちゃん、こんにちは」
「おう雪音」
「お邪魔してます、雪音さん」
「こんにちは、ねえあや姉、遊ぼうよー」
「えー、もうしょうがないな、皆雪音入るけど良い?」
彩音は皆に問う。
「私は良いよ」
「私も良いぞ」
「私も良いですよ」
「じゃあ、雪音皆に迷惑かけないようにね」
「やったー!!」
遊べるとわかった雪音は両手を上げて喜ぶ。
「じゃあ、後は真央姉さんの意見を聞かないとね」
「何!?」
真央の名前が出た途端驚く雪音。
「まお姉、来てるのか?」
「そりゃ来てるよ、友達だから」
彩音は当然のように答える。
「何ぃ!! だったらまお姉がどんな人か見てやるぞ!!」
「なんだ? 雪音、随分真央に敵意を向けてるな」
「当然だ!! あや姉がいきなり姉さんなんて言うんだ!! どこの馬の骨かわからない奴があや姉のお姉ちゃんだなんて認めないぞ!!」
「アンタ、馬の骨なんて言葉どこで覚えた?」
「魔法少女優香理でそんなセリフ言ってたぞ」
「姉ちゃんかぁ」
「とにかく私の目の黒い内は、まお姉があや姉のお姉ちゃんだなんて認めないぞ!! って、うわっとと」
勢い良く立ち上がって叫ぶが勢い良すぎたのかそのままバランスを崩して後ろに倒れそうになるが。
「・・・・・・あれ? 痛くない?」
「大丈夫か?」
後ろに倒れた雪音をトイレから帰って来た真央が見事に支えて雪音は倒れずに済んだ。
「・・・・・・」
「ん? どうした?」
「・・・・・・カッコいい」
「ん?」
「あや姉!! このカッコいい人は誰だ!?」
「そのカッコいい人が真央姉さんだよ」
「何!? この人がまお姉なのか!?」
雪音は真央だと知り驚く。
「彩音、この子は誰だ?」
「その子は雪音、私の妹だよ」
「妹がいたのか、そう言えばどことなく彩音に似てるな」
「・・・・・・」
雪音は真央をじっと見つめている。
「どうした? 僕の顔に何かついてるか?」
「おおー!! まお姉!!」
雪音は真央に勢い良く抱き着く。
「な、何だ?」
真央は勢い良く来た雪音を受け止める。
「まお姉がこんなにカッコいいなら、あや姉のお姉ちゃんとして認めるぞ!!」
「・・・・・・は?」
真央を敵視していた雪音は速攻で真央にデレたのだった
そして真央は何が何だかわからない様子だった。
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