第155話 まさかの・・・・・・
夏は、暑いそれは、当たり前の事だ。
しかし、そんな夏にも厄介な存在がいた。
「しかし、夏は、本当に暑いな」
「そうですね、でも扇風機やクーラーがあってとても涼しいですね」
「これも、人間界の人間が生み出した物だからな、便利な物だ」
「これなら、夜も暑さで寝にくいのも何とかなりますね」
「ああ、そうだな」
レイアとリズが話している途中で奴は、現れた。
プ~ン
「ん?」
「どうしました?」
「いや、何か音がするな」
「音ですか?」
リズは、耳を澄ませて聞く。
プ~ン
「これは、蚊ですね」
「蚊ってあの血を吸う虫か」
「はい、主にメスが子供の栄養のために吸うみたいですね」
「なるほど・・・って」
「レイア様?」
「いつの間にか蚊に刺された、かゆい」
レイアは、蚊に刺された所をかいている。
「う、私もいつの間にか刺されていますね、凄くかゆいです」
リズも刺された所をかく。
「よく見たら他にも刺されてた」
「私もです、この部屋一匹だけじゃありませんね」
プ~ン プ~ン
見ると所々に蚊が飛んでいるのが見える。
「・・・・・・なんか、鬱陶しいな、叩き潰すか?」
「そうですね」
レイアは、蚊の動きを見る。
「フッ!!」
手をパンと叩くが。
プ~ン
蚊は、飛んでいる。
「フッ!! フッ!!」
その後も何度も叩くが蚊には、当たらず飛んでいる。
「何だこいつ、すばしっこい」
「標的が小さいから余計に当てにくいですね」
「って、うわ首がかゆい、いつの間に」
レイアは、首をかいている。
でも。
プ~ン
それでも蚊は、飛んでいる。
「・・・・・・リズ」
「はい」
「隣の部屋に聞こえないように防音の魔法をそしてこの部屋内に強固な結界魔法を僕がちょっと暴れても大丈夫なくらいに強固に」
「承知しました」
レイアの命令でリズは、防音の魔法をそして部屋内にかなり強固な結界魔法を使用する。
「終わりました、レイア様これで少し暴れても問題ありません」
「そうか」
そう言ってレイアは、蚊に手を向け。
「死ねええええええええええー!!」
手に魔力を込めて蚊に向けて放った。
「くたばれええええええええええー!!」
その後も何発も蚊に向けて魔力を放つ。
正直、たかが蚊にここまでする必要があるのだろうか。
「はあー、はあー」
魔力を打ち終える。
結界が張られているので部屋の中は、何ともなく防音によって隣には、何も聞こえていないので、特に問題は、何もないのである。
「ふっ、ふふふ」
レイアは、不敵に笑う。
「たかが虫けら如きが!! 魔王である僕に歯向かうからこうなるんだ!!」
もはや夏の暑さと蚊に対するイライラなのか、レイアは、完全にハイになっている気がする。
普段の冷静な彼女は、どこへやら。
しかし、これだけ魔力を放てば、さすがの奴も跡形もなく消し飛んでるだろう。
ところが。
プ~ン
「な!?」
奴は、元気に飛んでいた。
「馬鹿な!? 当たってなかったのか!?」
「まさか!? いくら手加減しているとは、言え標的が小さいとは、言えレイア様の攻撃を躱したと言うのですか!?」
「こいつ、そこいらの魔物より強いんじゃないのか?」
レイアがそう考えてる間にまた刺されてかゆくなってしまう。
そしたらまたレイアは、意地にでもなったのか、夏の暑さでおかしくなったのか、蚊に対するイライラで冷静さを失ったのか、蚊を何としても潰そうとするがことごとく蚊を潰す事ができない。
そして。
「もうダメだ、勝てない、僕の負けだ」
「レイア様」
レイアは、地面に手を付き自ら敗北を認めた。
そう、最強の魔王は、まさかの敗北を喫したのである。
その相手がまさかの蚊であった。
翌日。
「ありがとうございましたー」
リズは、何かを買って家に帰る。
そして。
「便利ですね、この蚊取り線香」
「面白いように蚊が落ちて来るな、やはり人間界は、便利な物がたくさんあるな」
コンビニで買った蚊取り線香で、蚊が次々と落ちて来る。
その姿を見てレイアとリズは、どこか満足気な顔をしているのだった。
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