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第149話 保護者面談

本日、二話目の投稿です。


「改めまして、私が担任の柳瀬静です、今日は、よろしくお願いします」


「どうも、シエラの父、カリス・ブラドです」


「シエラの母のセイラ・ブラドです」


 カリスとセイラは、柳瀬先生と面談をしている。

 ちなみにブラドと言うのは、魔族には、名前だけで家名がないのでシエラが人間界で暮らすために考えた家名である。

 そのためカリスとセイラも人間界にいる時は、この名前を使っているのだ。


「二人は、遠くの国から来てくれたと言う事ですね」


「その通りです」


「マーリョック国と言いましたっけ? 聞いた事もない国ですね」


「かなり辺境の田舎国のようなものだからな、地図にも載っていないような国だと思ってほしい」


「そうですか、まあ私もすべての国を知っているわけでは、ないのでそう言う国もあると言う事ですね?」


「そう思ってもらえると助かる」


「わかりましたでは、シエラさんの学校生活について教えますね」


 柳瀬先生は、シエラの学校での生活についてカリスとセイラに説明をする。


「簡単に申しますと特に問題は、ないですね授業も真面目に受けてますし成績も悪くないので運動もできますし、友達関係も特に問題ないですね、いじめられてるとかそう言う事も特にないですね」


「そうですか、それは、良かったです、一緒にいられないので心配だったのです」


「家族とは、離れて暮らしているのでしたっけ?」


「ええ、事情があって私達は、ずっとこの国にいるわけには、いかないので」


「代わりに私達が信頼を置いている者に一緒に行ってもらっているからな」


「そうですか、何だか大変な事情みたいですね」


「深くは、追及しないのだな普通は、気になると思われるが」


「それぞれの事情がありますし、お二人だって娘が嫌いで一緒に行かないわけでは、ないって事は、伝わりますので特に問題ないと思いますよ」


「そうか、こちらとしてもあまり深く追及されると答えに困ってしまうので助かる」


「では、何か他に聞きたい事は、ありますか? 私が見た限りの事なら話せますが」


「そうですね、あの子が楽しそうにしているなら特に私達が言う事は、ありません、ただ学校生活が楽しいのかがそこだけが気になっていましたので」


「前の学校、つまり引っ越す前の学校で何かあったと言う事ですね?」


「ああ、詳しく話す事は、できないが色々あって不登校気味になった事があったのでな」


「なるほど、まあ不登校になる理由は、色々ありますからね」


「私達もどうにかしたいと思ったのですが私達では、あの子を正しく導いてあげられなかった、私達がしなければいけなかったのにそれができなかった、そのせいであの子に辛い思いをさせてしまったのです」


 セイラは、その時の事を思い出してるのかどこか悲しそうな顔をしていた。


「でも今は、違うんですよね?」


「ええ、あの子が姉のように慕う方が現れて、その方があの子を正しく導いてくれたおかげで今は、楽しそうにしていて本当に良かったです」


「そうだな、私もそれは、良かったと思っているが本来それは、私達親がしなければいけなかった事なのに私達は、あの子を悲しませるだけであの子に何をしてあげられたのかと思ってしまう事があるがな」


「そうですね」


 過去にあった出来事、カリスとセイラは、娘のシエラに何をしてあげたのか。

 ただ悲しませただけだと悔いているようにも感じる。


「あー、なんか色々と複雑な事情とかがあるのは、わかりましたが私が見て感じた事ですが少なくとも娘さんは、あなた方の事を嫌いでは、ないと思いますよ? むしろ好きだと思いますよ?」


「「?」」


 柳瀬先生の言葉でカリスとセイラは、疑問に思う。


「本当に娘が親を嫌っていたのならわざわざ、参観日がある事を伝えたりしないと思いますよ? それでもあなた方に伝えたのは、来てもらいたいと思ったからじゃないですか? 自分がこの学園での生活を親に見てもらいたいと自分の友達を親に紹介したいと思ったからだと思いますよ、まあ、あくまで私が感じた事ですけど」


「そうか、そうだと良いが」


「それにあなた方も娘の事が気になるから遠い国から来てくれたんですよね? つまりあなた方も娘を好きだと言う事がわかりますよ、だって嫌いならわざわざ遠い国から娘のために来ませんし、ってなんかすみません、関係ない私がこんな偉そうな事言って」


「いや、そう言っていただけるととてもありがたい、あなたにならシエラを安心して任せられる」


「ええ、先生これからもシエラをよろしくお願いします」


「私ができる限りの事は、させていただきます」


 こうして柳瀬先生とカリス、セイラの保護者面談は、終わったのだった。






「お父様、お母様」


「おお、シエラ」


「お待たせ、シエラ」


 放課後シエラは、カリス、セイラと一緒に下校していた。


「シエラ、良い先生に出会えたな」


「柳瀬先生の事ですか?」


「ああ、ちゃんと生徒の事を見て考えてくれる信頼できる先生だな」


「お友達も素直で良い子だし安心したわ」


「柳瀬先生は、いい加減に見えてやる事は、ちゃんとやってくれますからね、樹里さんも奈津美さんも良い子ですしね、ですから心配しなくても大丈夫ですよ」


「ああ、そうだな」


「ええ、そうね」


 カリスとセイラは、微笑んでいた。

 シエラが本当の意味で学校生活を楽しんでくれているからだ。


「ところで今日は、私の住むマンションに泊まるのですか?」


「ああ、せっかくだから人間界の部屋を見て見たくてな」


「見た事ない物ばかりだから、少し見てみたいわね、この服だって素敵だもの」


「お母様その服気に入ったのですね」


「ええ、この服素敵よ、おとなし目だけど生地もしっかりしていて着心地も良いわ、帰る前にもっと買っておきたいわ」


 元の世界の貴族が着る服装では、人間界だとあまりにも目立つので人間界で普通に違和感のない服をカリスとセイラは、着ているがセイラは、どうやら人間界の服を気に入ったようである。


「そうですか、まあ明日は、休日ですから帰る前に買い物をしていきますか?」


「え? 良いのシエラ!?」


「ええ、良いですよ」


「嬉しいわ!! ありがとう」


 嬉しさのあまりセイラは、シエラを抱きしめる。


「お母様、人前ですよ」


「はっはっは、余程楽しみなようだな」


「お父様、止めてくださいよ」


 シエラ達は、その後も楽しく話しながらマンションに着くのだった。






~おまけ~


 カリスとセイラの保護者面談をしていた一方、レイアの保護者代わりであるリズの保護者面談では。


「リズ先生!! 宇界さんを、宇界さんを大切にしてあげてください!!」


「ええ、もちろんそのつもりですよ」


「リズ先生だけが宇界さんにとっての支えですよ!!」


「大丈夫です、私も他の使用人達も真央さんを全力で支えるつもりですから」


「でも、リズ先生も無理は、しないでください!! リズ先生に何かあったらきっと宇界さんは、悲しみますから!!」


「ええ」


「困った事があったら、遠慮なく言ってください!! 何ができるかわかりませんが私頑張りますから!!」


「ええ、ありがとうございます」


 真央の発表を聞いた一条先生は、涙を流しながらリズに言う。

 そしてリズは、反応に困るのであった。



 


 


 

読んでいただきありがとうございます。

 

次回からレイアの方に戻ります。

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