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第127話 シエラの学園生活 5 助けた理由

本日、二話目の投稿です。

「・・・・・・」


 樹里は、ブルブルと震えている。

 見ると樹里の主に下の部分に水たまりができている。

 つまりこれは。


「あー、これは、これは」


 シエラに殺されると言う恐怖により、いわゆる失禁と言うものをしてしまったのである。


「う、うう」


 樹里は、涙を流す。

 学園で失禁してしまうなんてまだ子供といえども恥ずかしいものは、恥ずかしいのである。


(これは、どう考えても私のせいですね、少しやりすぎてしまいましたね)


 シエラは、困った顔をしている。

 とここで。


『今、この中から声がしたよね?』


『確か、誰か掃除してたよね』


『閉まってるね、でも鍵は、かかってないから開けて見ようよ』


 外から声が聞こえる。

 このままでは、中に入ってきて樹里の恥ずかしい姿が見られてしまう。

 そうなったら、もう学園には、いられなくなってしまう。


「あ、ああ」


 樹里は、怖くて震えていた。

 だが。


「私のせいですし、仕方ありませんね」


 そう言ってシエラは、水の入ったバケツを倒す。

 そしてシエラは、樹里の上に乗るように倒れる。


「え?」


「私に任せてください」


 そして、体育館倉庫の扉が開きクラスメイトが二、三人入って来る。


「え? 樹里ちゃんとシエラちゃん?」


「何してるの?」


 倒れている樹里にシエラが乗るように倒れている。

 一体何が起きたのかとクラスメイト達は、思った。


「あ、こ、これは、その」


 樹里は、何かを言おうとするが何を言えばいいのかわからない。


「ごめんなさい、私が転びそうになったのを樹里さんが受け止めようとしたのですけど勢いがあってそのままこうして倒れてしまったのです」


 シエラが、この状況の説明をする。


「ああ、なるほど」


 クラスメイト達は、納得する。


「ですが、そのせいでバケツを倒してしまい樹里さんの制服が濡れてしまいましたね」


「あ、ホントだ」


「このままじゃ、風邪ひいちゃうね」


「ええ、ですのでこれから更衣室で着替えさせようと思います、樹里さんもこのままじゃ、濡れていて気持ち悪いですよね?」


 シエラは、樹里に目配せをする。

 それを見た樹里は。


「あ、うん」


 頷くのだった。


「そうだね、じゃあここは、私達が片付けておくよ」


「良いのですか?」


「終わるまで待たせるわけにもいかないしね」


「では、お願いしますね、さあ、樹里さん行きましょう」


「う、うん」


 シエラは、体育倉庫をクラスメイトに任せ樹里を体育の授業に使っている更衣室に連れて行くのだった。






~side 更衣室~


「さあ、着替えましょうか」


 シエラは、樹里を更衣室に連れて行き着替えさせるのだった。


「何でよ?」


「何がですか?」


「何で私を助けたの? アンタをいじめてたのに何で?」


 樹里は、疑問を口にする。

 いじめられていたシエラが何故いじめた自分を助けるような事をしたのか。


「さあ、何ででしょうね、ただあの場合は、私のせいだったので責任を取ったからと言うのもありますが、おや? ちょっと失礼」


「な、何?」


「あー、私の噛んだ跡がありますね、ちょっと血も出てますね」


 そう言ってシエラは、先程噛んだ樹里の首から噛んだ跡だけでなく、そんなに目立たないが少し血が出ていたので、シエラは、そのまま顔を近づけ樹里の首の血を舐めた。


「ひっ!?」


 いきなりの出来事で樹里は、びっくりする。


「女の子に傷跡を残すわけには、いきませんからね」


 そう言ってシエラは、さらに舐め続ける。


「や、やめ、んんっ!」


 樹里は、今まで感じた事のない感覚を感じていた。


「まあ、こんなものですかね」


 シエラは、血が止まったので、舐めるのをやめる。


「はあ、はあ」


 樹里は、少し息を荒げていた。


「そう言えば、先程の話の続きですけど、助けたのは、単にあなたが嫌いでは、ないと思ったからですかね」


「え?」


「だってあなた本当は、こんな事したくは、ないんじゃないのですか?」


「はあ? 何言ってるの? そんなわけないでしょ!! 私は」


 シエラの言葉に必死に反論しようとするが何も言葉が出てこない。


「別にそれでもいいですよ、私の邪魔をしないのならこれ以上何もしませんから、ただこれだけは、言っておきますよ」


 シエラは、少し間を置き。


「あなたこのままだと、本当の友達なんてできませんよ、それだけじゃなく今のままで行くと大人になっても誰も味方になってくれないし、誰も助けては、くれませんよ、このままあなたは、自分のした酷い事で味方が一人もできず、一生、一人ぼっちで生きていく悲しい人生を歩みますからね」


「・・・・・・アンタに何がわかるって言うのよ、本当の友達? そんなのいるわけないじゃない!! 何も知らないくせに偉そうな事言ってムカつくのよ!!」


 樹里は、シエラの言葉に怒声を発していた。


「・・・・・・」


 シエラは、そんな樹里に憐れむような目を向けていた。


「わかりませんよ、あなたが何に悩んでるかなんて、ただこのままだと本当に一人ぼっちで人生を終えますよ」


 そう言ってシエラは、更衣室を出て行く。

 そして。


「言われなくてもわかってるわよ、私が間違ってるって」


 更衣室に一人残った樹里は、独り言のように言っていた。

 その目には、涙が滲んでいた。


 そしてその日の放課後。


「シエラちゃん!!」


 奈津美は、お手洗いに行っていたシエラに急ぎ足で駆け寄って来る。


「おや、奈津美さん、どうしました?」


「ちょっと来て!!」


「?」


 奈津美の様子がおかしいと思ったシエラは、疑問に思う。

 そして奈津美は、説明をする。


「樹里ちゃんがいきなり泣き出して、皆、困ってるのよ、理由を聞いても話してくれないしただ私達に今までしてきた事を謝ってもう何が何だかわからないよ、それでシエラちゃんと掃除の時間で何かあったんじゃないのかって思って」


「なるほど、それで私を呼びに来たのですね、わかりましたすぐに行きましょう」


 そう言ってシエラは、自分のクラスに向かうのだった。




 


 



 



読んでいただきありがとうございます。

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