表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/459

第10話 魔王は人間界に行く事を女神に伝える

「と言うわけで僕は百年ほど人間界に行く事にしたから」


 配下達に人間界に行く事を伝えたレイアはまだ伝えなければならない相手がいたので今その相手に伝えている。


 その相手とは。


「どうやら本当にレイラの子だったのね」


 女神のアイシスだ。


「急に呼ばれたから何かと思ったけど別に私に言わなくてもよかったんじゃない?」


「そうか? こうして一緒に話し合う仲だしちゃんと言っといた方がいいかなと思ったんだが」


「そ、そう? まあ何も言わずにいなくなるより言ってくれて嬉しかったわ」


 レイアの言葉に照れるような仕草をする。


「それに、お前が教えてくれたから僕はマリアの存在を知る事ができたから感謝している」


「ああ、お礼ならノルンに言って実はその子を見つけたのはノルンだから、ねえノルン」


「は、はい!?」


 ノルンは急に話を振られたので驚いてしまう。


「そうなのか?」


「は、はい、アイシス様が様子を見ている時に一緒に見た事がありまして、その時の魔力に似ていたので気になってアイシス様に伝えたのです」


 レイアの問いに恐る恐る答えるノルン。


「そうか、ありがとう」


「え?」


「お前が見つけてくれたから僕はマリアを守りに行ける、だからありがとう」


「あ、えっと」


 レイアにお礼を言われてまたもや驚くノルン。


「ん? どうしたんだ?」


「いや、えっと、その」


「あー、レイア、ノルンはあの時からアンタからは嫌われていると思っていたのよ、だからお礼を言われるなんて思っていなかったのよ」


「嫌われている? なんで?」


「だからあの時よ、ほら例の勇者の件でアンタにお願いしに行った時にアンタこの子に色々言ったでしょ?」


 アイシスに言われて思い返すレイア。


「ああ、あの時か」


 そして、その時の事を思い出したレイア。

 それはノルンがまだ新人の女神として活動していた時の事、ノルンは女神として仕事をしていた時どこかの国で勇者召喚されていたがその勇者がレイアが言うところのクズ勇者であった。

 しかも魅了のスキルを持っていたためその力を使って片っ端から気に入った女性達を自分の思うように操っていた。

 

 本来なら勇者らしからぬ者が勇者として現れた時召喚した国に忠告するのが女神族の仕事の一つでもある。


 しかしノルンは注意を伝えただけで勇者が魅了スキルを持っているなどと言った明確な理由を伝えていなかったのだ。


 やがてその勇者は、魔王にやられたと同時に魅了スキルが解けたが国中のほとんどの女性達が勇者によって操られていたという事態になっていた。


 特に一番の被害者は勇者と一緒に行動していた女性達だ、彼女達には幼い頃から仲のいい男性がいたが勇者のせいで操られその男性にひどい態度をとってしまい魅了が解けたとしてもその男性は彼女達の話に聞く耳を持たず突き放してしまう。


 さらに彼女達は優れた力を持っていたせいで過酷な場所に行かされてしまいいつ終わるかわからない状況で身も心も完全に壊れていってしまった。

 

 その状況を見たアイシスとノルンはあまりにも酷すぎるのでレイアにどうにかできないかと頼むがそこでレイアはノルンに対してきつい事を言う。

 

 言った内容はノルンがちゃんと明確に伝えていれば少なくとも操られた者達の関係者に真実を伝えられ彼女達もそこまで酷くならずに済んだはずだなどと色々と言いノルンを酷く落ち込ませていた。


 この時の出来事からノルンは自分の仕事に一生懸命になりアイシスがレイアに会いに行く時も自らお供に志願していた。


 その理由はレイアに会う事で自分の失敗を忘れないようにするためにと言う決意でもある。


「あの時の事を僕は言い過ぎたとは思っていない、本来やるべき事をしなかったそっちに非があると思ったからだ」


「まあ、確かにそうだけどね」


 レイア言う事にアイシスも同意する。


「でもそれとこれとは話が違うし何より僕はノルンの事は嫌いではないぞ」


「そうなの?」


「だって僕は注意してそっちも反省したんだろ? だったらそれでその話は終わりだろ? それなのにいつまでも過ぎた事を気にして嫌いに思ってるなんて正直馬鹿だろ?」


「まあ、そうかもね」


「だから僕はノルンの事は嫌いじゃないし仮に嫌いだとしたら顔も見たくないだろ?」


「確かに」


「だから、ノルン」


「は、はい」


 レイアに言われ緊張気味になるノルン。


「僕はお前が嫌いじゃない、だからお前に感謝するありがとう」


「いえ、どういたしまして」


「そう言う事だから、そのなんだ、あんまり怖がらなくてもいいだろ」


 困った顔をしながらそんなことを言うレイア。

 その姿を見てノルンは。


「ふふ」


 思わず笑っていた。


「な、何だ急に?」


「いえ、実はレイアさんはなんでもできる人だと思ってたので、そのような姿は見た事がなかったのでつい」


「だから言ったでしょノルン、レイアはなんだかんだ言いながら優しいって」


「はい、アイシス様」


 アイシスの言葉に笑って答えるノルン。

 その光景にレイアもなんとなく笑っていた。


 そして。


「リズ転移魔法を頼む」


「はい」


 ついに魔王レイアは人間界に行く。








読んでいただきありがとうございます。

いよいよ人間界に行きます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ