第120話 真央は、撮られまくる
「良いよ、真央ちゃんとっても似合ってるよ!!」
「・・・・・・」
真央は、沙月の姉卯月によって、色んな衣装を着せられ写真を撮られている。
その理由は、今から十分ぐらい前の出来事である。
~十分前~
「じゃあ、皆私の仕事部屋に入って入って」
卯月に案内され真央達は、仕事部屋に入っていく。
中に入ると、他にも大人の女性達が数人いた。
「皆、待たせたね、とうとう来てくれたわよ、私の求めた理想のクール系小学生が」
「本当ですか?」
「やりましたね、先生」
「その子ですか? 確かに何だかクールっぽいです」
「この人達は?」
「姉ちゃんのアシスタントさん達だよ」
「アシスタント?」
「漫画を作るのにもそれぞれのやるべき事があって、姉ちゃんが指示を出してその部分をやる人達らしい」
「なるほど、サポート要員みたいなものか」
「アンタ凄い例えするけど、まあそんな所だ」
「じゃあ、真央ちゃんさっそくこれに着替えて」
「え?」
「真央、姉ちゃんは、漫画のキャラをより具体的に生み出すためにモデルには、色々な衣装を着てもらってるんだ、私達もそうだった、だから」
「みなまで言うな、すべて理解した僕なら大丈夫だ」
「ありがとう、真央」
そして真央は、着替える。
「ひゃー!! 凄く似合ってるよ真央ちゃん!!」
「・・・・・・」
「じゃあ、写真を撮らせてもらうね、あ、当然ここ以外で見せたりは、しないから安心してね」
「・・・・・・はい」
~そして現在~
真央は、写真を撮られていた。
「じゃあ、真央ちゃん他にも着てもらって良い?」
「あ、はい」
そして。
「ひゅ~!!」
「・・・・・・」
「良いよ良いよ~!!」
「・・・・・・」
「じゃあ、次は、他の人と一緒に撮ろうね、皆手伝って」
そして卯月は、真理亜達にも衣装を着て手伝ってもらう。
「真央ちゃん、真理亜ちゃんの腰に左手を回して、で真理亜ちゃんは、真央ちゃんの首に手を回して顔は、こっちに向けて真央ちゃんも顔は、こっちに向けて手に持っている銃を私に向けて」
卯月に言われた通りのポーズをとる真央と真理亜。
当然持っている銃は、弾が無いおもちゃの銃です。
「良いよ~、じゃあ次いってみよう!!」
「・・・・・・」
その後もいろんな衣装を着させられ写真を撮られまくっている真央。
「真理亜ちゃん、彩音ちゃんに抱き着いて、ほっぺをつけて」
「え!?」
「あ、はい」
真理亜は、言われた通り彩音に抱き着きほっぺたを合わせる。
(ななな、何いいいいいいいいいいいいい!!)
彩音は、目を見開いていた。
「彩音ちゃん良いよ、その驚いた顔」
「・・・・・・」
彩音は、相変わらず目を見開いている、しかしその心境は。
(うおお!! 真理亜ちゃんが近い!! ほっぺた柔らかい!! うおー!!)
内心は、落ち着いていられなかった。
「姉ちゃん、もう良いだろ? 次は?」
沙月は、これ以上は、まずいと思い、姉に次に進むよう促す。
「じゃあ次は、唯ちゃんね」
「はーい」
唯も衣装に着替える。
「良いよ唯ちゃん、でもなんか物足りないな、そうだちょっと他人を見下す笑みをしてみて」
「こんな感じですか」
そう言って唯は、言われた通りの顔をする。
「良いね、ついでに何か言葉で私を見下してみて」
「わかりましたでは・・・・・・全く子供に頼らなければ漫画が描けないなんて、どうしようもないダメな大人ですね」
「ありがとうございます!!」
「これで良いのですか?」
「良いよ、だって次の魔法少女で唯ちゃんをモデルにしたキャラは、マジで怒らせるとそんな感じになるって考えてるから」
「まあ、そうなんですね」
「楽しみにしててね、じゃあ真央ちゃん、はいこれ」
卯月は、真央にある物を手渡す。
「これは?」
「猫耳と尻尾よ、それをつけてにゃあって言って、もちろんポーズも猫の手でお願い」
「・・・・・・はい」
真央は、猫耳と尻尾を着ける。
そして。
「に、にゃー」
どこか恥ずかし気に言うのだった。
「うーん、悪くないけどもっとかわいくできない?」
「か、かわいくですか?」
「そう、普段は、クールぶっているけど一人になると普段のイメージとは、かけ離れたギャップのかわいさが欲しいのよ!!」
「は、はあ」
そう言われてもどうすれば良いのか真央には、わからなかった。
「わからないって顔してるね、じゃあ真理亜ちゃん真央ちゃんに手本を見せて」
「あ、はい」
そして真理亜は、猫耳と尻尾をつけて。
「にゃあ~、猫さんだにゃあ~、かわいがって欲しいにゃあ」
かわいい声でそう言うのだった。
「良いね!! 凄く良いよ!!」
「お姉さん!! 私にもその写真を!!」
「お前は、落ち着け!!」
興奮した彩音の頭に沙月は、チョップをする。
「あらあら」
そして唯は、それを面白そうに見ていた。
「さあ、真央ちゃんこんな感じにやって見て!!」
「・・・・・・」
真央は、沈黙していたそしてしばらくして覚悟を決めたのか。
「にゃあにゃあ、僕は、猫だにゃあ、皆よろしくにゃあ」
普段の彼女とは、到底思えないかわいらしい感じに言うのだった。
「良いよ!! 最高ー!!」
卯月は、そう言って親指を立てて真央にサムズアップする。
「・・・・・・」
そして真央は、何かを失ったような気分になったような、ならなかったような。
「じゃあ、真理亜ちゃんも猫耳と尻尾をつけたままだし、真理亜ちゃんが真央ちゃんを襲う感じに抱き着いて」
「こうですか?」
言われた通りに真理亜は、真央に抱き着く。
「うん、良いよ」
(・・・・・・僕は、一体何をしているのだろう?)
真央は、そう自問自答をしていた。
「真央ちゃん、次お願い」
その後もいろんな衣装を着させられては、写真を撮られる。
(そう言えば、前にもこんなのがあったな、そうゴールデンウィークの服を買いに行ったあの試着の時間だな、あの時より凄いのがあったんだな)
内心で真央は、そんな事を思っていた。
「はあ・・・はあ・・・良い・・・凄く良い」
卯月は、もう完全に乗りに乗った状態だった。
「真央」
「ん?」
「ごめんよ、うちの姉ちゃん、こんなんで」
「・・・・・・」
涙ながらに謝罪する沙月。
そして真央は、何も言わず沙月の頭を優しく撫でるのだった。
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