105 魔王様、母からのヘルプの対応をし、少し魔法使いとしんみりする。
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その日はとても寒い夜だった。
滅多に降らない雪が降り、流石にホッカイロがないと指先が冷えるそんな日。
自転車を降り、駐輪場に停めて家に入るとパタパタと母が我の元へと走ってきた。
「祐一郎、とっても困ったことになってるの」
「どうしました?」
「お父さんが貰ってきちゃったんだけど……お母さんじゃ解体が出来なくて」
「解体? 魚ですか?」
「魚……魚? に、入るのかしら?」
「「?」」
「着替えたら台所に来て頂戴! お母さんじゃどうしようも出来ないの」
「分かりました。着替えたら直ぐ向かいます」
「どうしたんだろうね、僕も行くよ」
「ええ、一緒に行きましょう」
こうして二人自室に戻ると制服を脱いで作務衣に着替え、そろそろ晩御飯の準備と言う事もあり割烹着を着てむかったのだが、台所に来て母が何故狼狽えていたのか知った。
何故ならまな板の上に鎮座する【アレ】は……。
「「う……」」
その続きの言葉は決して口に出してならない。
そう、形容したくなる見た目をしているのは間違いないのだ。
食べると美味いが、【ありのままの姿】で見るのは少々勇気がいるアレは――ナマコ。
「ナマコですね……」
「ナマコだね……」
「そうなのよ、お父さんが貰ってきちゃって……綺麗に切って貰って来ればいいのに」
「これ、生きてはいないですね?」
「ええ、内臓も出してるから後は切るだけらしいわ。でも抵抗があって……」
「それで私にと……」
「祐一郎も困るわよね? 今度お父さんにシッカリと貰って来る時は処理してカットして貰ってからにしてって再度言っておくわ」
「お願いします。ですが食材に罪はありません。今回の事は父の分は無しにして私達で美味しく食べましょう」
「そうね。それくらいの罰は必要よね」
そういうとマイ包丁を手に余り触りたくはないソレに手を乗せ食べやすい大きさにカットしていく。
後は切ってポン酢で食べるだけなので無心でカットだ。
「うわ……魔王って遠慮ないね」
「見た目はアレですが切ってしまえばただの食材ですよ」
「いや、そうだけど」
「ですがこれを食べようと思った最初の人に感服致します。普通なら食べようとは思わないでしょう? 大飢饉でもあったのでしょうか」
「ああ、そういう歴史的なそっちに意識がいっちゃう訳だ」
「そう出ないと食べようとは思わない見た目でしょう?」
「確かに」
「何でも食べる隣の国とは違い、我々はそれなりに選んで食べますからね」
「まぁ、猿の脳みそって聞いた時はゾッとしたね」
「昆虫もですよ」
「まぁ……」
そう言ってる間に綺麗にカットが終わり、水にさらしてヌメリを再度取って水切りし、器に入れ込んでポン酢でしめる。
これで何処からどう見ても、たまに食べるナマコ料理の完成だ。
「ナマコって、危険を感じると内臓ぶちまけてくるんですよね」
「うえ……」
「その出した内臓を餌にして逃げるんだそうです。そして内臓が再生するそうです」
「何でそんなに詳しいのさ!!」
「ええ、その手の読み物も好きでして」
「ああ……魔王って変な所そういうとこあるよね」
思わず遠い目をした魔法使いにクスクスと笑うと、美味しく出来上がったナマコは父親分をなしで家族分は用意した。
別に我としては問題はないが、母の心情的に許せないだろう。
夫婦円満の為に父には尊い犠牲になって貰おう。
「そう言えば学期末テスト、どんな感じです?」
「テスト対策はバッチリだよ。魔王は抜かりは無さそうだね」
「憂いなく冬休みを迎えたいですからね」
「しかし、意外と火鉢って温かいもんだね、ジンワリとだけど」
「趣があるでしょう? それに台所って冬場は足が冷えやすいんですよ……」
「そんな女子みたいな」
「身体は労わって差し上げねば」
「ああ、そういう事ね」
どうやらやっと我の意図に気づいたらしい。
母は末端冷え性だ。
だが台所は何かと電化製品が多いのもあって、尚且つ暖房器具なんて電気を食う。
そこで、邪魔にならない位置に火鉢を置いたのだ。
我の心も満たされる、母の足の末端冷え性も多少楽になる。それでいいのだ。
魔王ダグラスの時は母等いなかったが、現世の母は大事にしたい。
寧ろ、いつか嫁に来る聖女の為にも……。
「魔王ってお母さん想いなんだね」
「産んで下さった親ですからね……。彼女の大事な息子を奪ってしまったと言う気持ちもあります」
「魔王……」
「この体も大事にして差し上げねば」
「そうか……そうとも取れるんだよね」
「ええ、我々は皆、罪深いんですよ」
異世界転生――それは一つの命を奪って今存在すると言う事。
それは親にとってどれほど辛い事かは分からぬし、一生気が付かない事だろう。
だが、罪は残る。そう思う……。
「僕もこの体大事にしてあげないとな」
「ええ、そう言えばこの前の女装写真は高値で売れているそうですね」
「マジで? 回収しに行かなきゃ。売り上げの数パーセントを」
「ははは!」
こうしてその夜は自分だけナマコが無いと言う父親に対し、母が文句をブチブチ言っていたので父も小さくなるしかなく、次回からはしっかりと処理して貰ってから貰ってくることを決めたようで安心した。
そんな所でこそ、我も交渉しやすいと言うものよ。
「父さん、春休みの思い出を作りたいのでアキラたちと庭で海鮮バーベキューがしたいんです。もし父さんとお爺様もご一緒するなら資金か食材をご提供ください。子供の分も」
「くっ! 海鮮バーベキューか!」
「日本酒に合う魚をご用意しますよ」
「あ――どうする父さん」
「是非にお願いしよう。数万あれば足りるか?」
「どれだけ買うつもりですか。でも有難いのでよろしくお願いします」
こうして春休みのどこかで海鮮バーベキューが出来る事となり、楽しみが出来たのはいう迄も無く、学年末テストは赤点も取る事なく終わりそのまま春休みへと入って行ったのだが――。
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