98 魔王様は、学校に行くメリットを見いだせなくなった――。①
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その後――本当に学期末には泉体育教師は諸事情により学校を去った。
直ぐに新しい先生は入れられない為、体育実習生である先生も頑張ってくれることになり、ある意味忘れられない実習生活なる事だろう。
悪い体育教師の見本を見れられたんだ。
いい先生になってくれる事を祈る。
そんな平和な学生生活とは言えど問題はある。
いじめ問題は特に根深いものがあり、狙われた生徒はトコトンまで食い尽くされる。
あいつ等暇なのか?
一種の人間の狩りの様子を見ている気分だ。
知能の低い猿どもめ。
そう言うのも、学校という閉鎖された空間だからこそ起こるのだろうか?
イジメられている動物を保護して、そこで暫くするとまたイジメが発生すると言われている。
要は脳が弱い物を見つけたら追い込まずにはいられない本能が人間には備わっている……と言う事だろうか?
我も人間に生まれ変わっているがその感覚は余りない。
故に人間の様子とは不思議だと思う。
とはいえ、我も小学生時代には色々経験してきた方だと思う。
人間とは単純な様で複雑だ。
心なんてほんの一瞬で寝返る。
今日は友でも明日は敵かも知れない。
そんな空間が、学校と言うモノにはあるのだと感じ取る事が出来た。
協調性を学ぶ?
クソ喰らえだ。
そんなものは今、必要ではない。
育てることは大切だが、カーストだのなんだの作っている時点で無駄なモノ。
学校等ない方が良い。
――そう結論が出た途端、我は学校に行くのを辞めた。
成績も優秀だった我が学校に行くのを辞めた事で、両親はとても驚いた。
別にイジメを受けている訳でもなんでもない。
ただ、【行く価値がない】と判断したのだ。
勉強をと言うのなら塾や通信教育があれば事足りる。それなのに何故行かねばならん。
「祐一郎? そんなに学校は嫌い?」
「行くメリットを全く感じなくなりました」
「でも、友達とやる文化祭とか、体育祭とか」
「母さん、一時の思い出としては良いでしょうが、一生の思い出になりますか?」
「祐一郎……。もう、貴方昔から悟っていたけど、変に悟らなくていいのに」
「母さんにも父さんにも悪いとは思っていますが、俺は自分のやりたいことを追求し、その上で通信教育でも勉強をシッカリしています。高校に行くのに無駄な事はしていません」
「そうだけど……だからって、恵くんまで行くのやめる?」
「行くメリットないよ?」
「貴方たち……」
「そもそも学校と言う古臭い時代に取り残された空間で学業等無意味です。時間の無駄です。各自自分の将来の為に調べることを進め、やるべき未来の為に進んでいた方が時間はとても有意義ですが……」
「でもアキラ君もいるじゃない?」
「アキラは学校の様子を私達に伝えに来るという義務があるので残るだけだそうです」
「嘘でしょ!?」
「未来を見据えているのなら、そう言う未来を選ぶと思いますよ? 本当に学校に行ってメリットがあるんですか? 母さんは説明できますか?」
以前話し合いの際、そのメリットを詳しく説明して見ろという具合に問いかけると、流石に両親も祖父母も言葉がなかった。
事実だろうな。
テストは通信教育でも受けられる。
学力テストもだ。
その上で学校に行くメリット?
ストレスばかりを目の当たりにする事がメリットか?
全く馬鹿げている。
もし学校に行かず遊んで暮らしてネット三昧とかならば意味は違ってくるが、我たちは通信教育をしっかり受けてテストもしっかりと点数を取り、尚且つその上で己の為の時間を確保しているだけに過ぎない。
今の世だからこそ、そう言う生き方も出来るのだと我は思う。
個性を大事にと言うのなら、それも一つの個性だろう。
その個性を潰すというのなら、何をもって個性だ? と言う訳だ。
「で、祐一郎のしたい事と言うのが……貴方、何処の道に進むつもり?」
「将来的に寺ご飯と言う本も出版したいですし、燻製料理も極めて行きたいですし、古き良き七輪の良さも広めていきたいですね。昔の生活も不便は多いでしょうが、それはそれで味があるというか」
「現代の日本人は時間がないから時短ばかり言っているのよ?」
「この国は力がありませんからね。他国に行くのも一つの知恵でしょうね」
「祐一郎……」
「俺のような世捨て人は世の中それなりにいると思いますよ。ニッチだとは思いますが」
そう言って今日も薪となる木を伐採して来て乾燥中だ。
松ぼっくりもかなり拾う事が出来た。火種には丁度いい。
自分の人生を豊かにする事が人生の目標ならば、我のような生き方は確かに一つの方向性としてはアリだろう。
学校と言う場に束縛されず、朝はお経を読み、掃除をし、写経し、その上で勉強し、食事の研究に自分の畑、そして古き良き時代の生き方をやってみる。
正に世捨て人と呼ぶには相応しいかも知れんな。
魔法使いはと言うと、児童相談所に勤めるにはどういう資格がいるのか、どういうものが必要になってくるのかを自分の足で聞きに行き、しっかり聞いてから、学校と言う経験をするか、それとも自分が新しいスタイルの一つとして売りに出すか考え、新しい学校を辞めてのスタイルを選んだ。
学校で悩む生徒は多い。
ならば学校に行かないという選択をして、その上で勉強もして、取りたい資格を取っての生活を選んだ。
それも一つの人生としての在り方だと我は思う。
「まぁ、暫くは落ち着くまでそうしてなさい。学校は逃げないから」
「消えてくれても良いですけどね」
「もう、物騒な事言うんだから。反抗期? 大人への一歩なのかしら……」
そう言って母さんは去って行ったが、何だかんだ今日の夕飯を見に来ただけだろう。
別段学校の利点を言って通えというのなら通うが、大人が利点を教えられない時点で学校の存在とはその程度なのだと我は思う。
プールの授業と言うのなら市民プールがある。
体育の授業と言えばある程度は出来るだろう。
規則正しい生活。言われなくてもしている。
学校の利点とは、一体何があるというのだろうな……。
我と魔法使いは、それが全く見いだせないでいたのだった――。
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