表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぷに助日記  作者: 刃下
4/47

4ぷに(SMAP6人目のメンバーぷに助)

2016年12月31日。


この日をもって、SMAPは解散した。


以前より各方面から解散を惜しむ声が上がっていたが、メンバーの意思は固く、その決定が覆る事のないままこの日を迎えた。


そんなSMAPに、6人目のメンバーがいたことを皆さんはご存じだろうか。


そう、森君こと、森ぷに助である。


ぷに助はSMAPの初期メンバーで、数々のヒット曲を5人と共に歌ってきた。


けれど、ぷに助だけ道半ばで彼らと袂を分かつことになる。


月並みな言葉で言えば、音楽性の違い。


今日は、そんなぷに助とSMAPの話を少しだけしようと思う。


1980年代前半。


SMAPのメンバーは、まだジャニーズJrとして先輩アイドルのバックダンサーを務めていた。


その多くが十代の少年である中、ぷに助だけが三十代の壮年期。


しかし周りのJrたちは、そんなぷに助の事を「ぷ(にぃ)!ぷ兄!」と呼び、慕っていた。


1988年4月。


木村、中居、香取、稲垣、チョナン・カン、そしてぷに助がユニットを組み、デビューしたのがSMAPである。


デビュー直後こそコケはしたが、その後は順風満帆。


曲を出せばミリオンヒット、テレビに出れば軒並みその番組は高視聴率。


飛ぶ鳥を落とす勢いとは、まさにこの事だった。


そんな激動の芸能界を生きたSMAPメンバーの中に、ぷに助もいた。


時に厳しく、時に優しく。


ぷに助は、唯一の三十台としてSMAPというグループを背中で引っ張った。


そんなぷに助に、SMAP脱退を決意させた出来事。


それはとあるコンサートで起こった。


2005年1月。


ナゴヤドームで開催されたSMAPツアーファイナルは、SMAPの力強い歌声とファンの歓声で、熱気は最高潮に達しようとしていた。


ファン待望、4年ぶりに決定した全国ツアーは、毎夜大盛況。


全国各地でチケットsold outを出し、最終日を迎えた。


当然最終日の今日も、会場は満員。


ファンたちが叫ぶアンコールの声が、裏に引っ込んだSMAPメンバー全員の耳に届いていた。


「おい、聞こえるか?ファンが俺たちを呼ぶ声だ。まさかへばった奴なんていないだろうな?絶対に疲れたなんて言わせねえぞ。慎吾、剛、吾郎、正広、木村!」


そのぷに助の言葉と共に、ステージ上にSMAPメンバーが舞い戻る。


ぷに助はステージから観客席の方をぐるりと見回した。


ここにいる人たちはSMAPの歌に共感し、一人一人がSMAPを支えてくれている最高のファン。


全員に満足して家路に・・・・・・ん?


ぷに助は、そこでふと気がついた。


ぷに助の名前が入ったうちわだけ、観客席のどこを探しても見当たらないのだ。


慎吾、剛、吾郎、正広、木村。


彼らのうちわはある。


でもぷに助のうちわだけ、ない。


その事実は、四十代最後の年を迎えたぷに助の心を大いに傷付けた。


泣き叫びながらステージを駆け下り、誰にも何も言わずにそっと家に帰った。


カーテンを閉め切った部屋で、ベッドの上に膝を抱え、自問自答を繰り返すぷに助。


俺には何が足りないのか、彼らと何が違うのか。


そうして辿り着いた答えが、こうだった。


「ないんだったら、自分で作るしかない」


2016年12月31日。


ぷに助は現在、うちわ職人を生業としている。


客層はアイドルの追っかけから天狗までと幅広く、わざわざ海外から彼のうちわを取り寄せるセレブもいる。


SMAPを脱退し、事務所を辞めたぷに助は、その後うちわ業界で類まれなる大成功を収め、世界の富豪ランキングで43位まで上り詰めた。


ちなみに一つ下は、あのブラッドピッドである。


そんなぷに助は、今回のSMAP解散についてこうコメントしている。


「解散という事で、彼らの代表番組である鉄腕DASHが終わってしまうのは、ただただ残念。しかし、メンバー全員にお疲れ様でしたと伝えたいですね」


SMAPという国民的アイドルを影から支えたぷに助の事を、どうか皆さんも忘れないでほしい。



この日記、何ぷにですか?


「赦し屋とひこじろう」、「未成年委員会による日本の壊し方」という二つの作品を書いているので、よかったらそっちも読んでみてください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ