2ぷに(特殊な仕事シリーズ2)
ぷに助は、駄菓子屋さんでたまに見かける小さなヨーグルト、通称『ヨーグル』を食べる時に使う木の棒で家を建てる仕事をしている。
この工法を専門とする親方の下で働くようになって、もうかれこれ20年。
雨の日も風の日も休むことなく親方の元で建築の何たるかを学んできた。
そうこうするうちに親方が還暦を迎え、最近では腰の曲がった親方に代わって、ぷに助が一軒家を丸々任されたりもする。
ある日、親方からぷに助に電話があった。
「おい、ぷに助。お前の建てた家が、家主の屁の振動で崩れたぞ」
ぷに助は電話の先で、とうとうこの日が来てしまったかと頭を抱えた。
そう、ぷに助は親方に隠れて建築偽装をしていたのである。
本来はヨーグルを食べるために使う木の棒を接着剤で一枚一枚張り合わせて使うところを、ぷに助は、めかぶから出るネバネバを使って張り合わせていたのだ。
この事件は地方紙の一面を飾り、ぷに助はテレビカメラの前で記者会見を開く事を余儀なくされた。
「皆さま、本日はお忙しい中、お集まりいただき・・・」
ぷに助の記者会見は休憩なしの四日間、ぶっ通しで続けられた。
質問をする記者が一人、また一人と倒れ、最後に立っていたのはぷに助、ただ一人だった。
空腹でふらふらしながら、しかし薄れる意識を奮い立たせて、ぷに助はこう呟く。
「ネバーギブアップ」
そう、めかぶから出る液はネバネバしているのである。
この日記、何ぷにですか?
「赦し屋とひこじろう」、「未成年委員会による日本の壊し方」という二つの作品を書いているので、よかったらそっちも読んでみてください