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謎が一緒にご来店  作者: 吉野 慶
2/8

サラダにドレッシングはお付けしますか? 2

すっかり煮上がった玉ねぎをバットに上げていると、テーン、という間の抜けた音が鳴った。

音の鳴る方に顔を向けると、そこには見知った顔があった。

「あれ、越野じゃん。それに沢村と葉風も。いらっしゃい」

「あ、須藤君!ここで働いてたんだね」

「そうなんだよ。…あ、どうぞ、テーブル席をご利用ください」

やだ、須藤君がちゃんとしてるー、とはしゃぎながら、3人はテーブル席に着いた。

「じゃあ、お冷持っていきますね」

そう言って水を持っていく高谷と入れ違いに、宮下がこちらへ向かってきた。

「あの女子高生たち、須藤の知り合い?」

「ああ、クラスメイトですよ。俺の知り合いっていうより、彼女が仲良いみたいで」

「ふーん。…不思議な子たちだね」

「別に、普通の高校生ですよ」

3人とも今時の高校生らしく、髪を巻いたりスカートを短くしている。

そもそも不思議がどうといえば、宮下の方が派手な高校生活だったと聞く。俺と入れ違いに卒業してしまったため詳しくは知らないが、宮下の1つ年下の高谷はよく知っているそうだ。高谷曰く、知らない人はいないほど有名人だったらしい。どう有名だったのかは知らないが、その片鱗は今でも残っていると言えるだろう。今年で20才になるとは思えないほどの童顔で、胸元まで届く髪は少しくすんだ金色。背は標準より少し低めだろうか、俺と並ぶと頭の1つ分高さが違う。

まったく、これで店長代行なのだから恐れ入る。

そんなことを考えていると、注文を取り終えた高谷が戻ってきた。

「オーダー通しますね」

流れてきたオーダーには、牛丼の並が3つとチーズが1つ、それにサラダが1つとあった。チーズとサラダはフロア側から出すので、俺は牛丼を盛るだけだ。

「高谷、ドレッシングは?」

「ごまドレッシングです」

そう言って高谷はトレーにサラダを置いた。その横に宮下がドレッシングを置く。

俺は盛り終えた牛丼をトレーに並べ、その1つに用意されていたチーズをかけた。

「提供しちゃいますね」

楽しそうに提供しにいく高谷とは対照的に、宮下は腕を組んで何かを考えているようだ。

「何かありました?」

聞いてみたが、驚くほど反応がない。完全に自分の世界に入っているようだ。

宮下さん!、と強めに声をかけると、宮下は組んでいた腕をほどき、そのままファイティングポーズの構えをとった。

「な、なにさ。やるのか」

「そんなことしませんって。何か考え込んでる様子なので気になっただけです」

「ああ、うん。まあね…」

何やらはっきりしない返事はいつもの宮下らしくなかった。

すると、ちらりと横目で客人を見て、それから言った。


「いや、何も起きないならいいんだけどね」


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