第2章 セレクション
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都城からJリーグヘ! そして世界へ!
〜ヴァロール都城セレクションのお知らせ〜
今年から都城地区リーグに参戦するヴァロール都城は、「都城からJリーグへ! そして世界へ!」という夢を目指し、選手募集とセレクションを行います。
われこそはという方は、ぜひご参加ください。
【セレクション日程】
日時:3月31日(日) 13:00〜
会場:都城市・扇山運動公園
【参加費】
1000円(保険料込み)
【資格】
年齢:16〜30歳
【持参するもの】
簡単な履歴書。未成年は保護者の承諾書も
【テスト内容】
ゲーム形式、他
【問合せ先】
電話:(担当 神屋)
メール:
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広告記事は宮崎日々新聞の社会面の下の方に、宮崎放送の春の新番組のPRとともに掲載されていた。拳ぐらいの大きさで、かなり目立っている。
新聞はところどころに客がつけたラーメンのシミがあり、ヨレヨレになっている。
竹宮は顔を上げた。
向かいの席から梅ヶ谷がいった。
「どう、受けてみらんかね」
二人は、店の片隅で、昼飯のギョーザ定食を食べていた。
昼飯はタダだった。それはありがたかったが、アルバイトに出される食事はラーメン定食とギョーザ定食の2種類しかなく、今日はギョーザ定食の日だ。さすがに飽きてきたなと思いながら、竹宮は首を振った。
「オレはちょっと無理ですよ。この前の試合見たでしょう」
「けっこう良かったじゃないか。やるなあと思ったけど」
「でも中学女子に負けたんではね」
あれは屈辱だった。見事にボールを奪われ、シュートまで行かれてしまった。
あのあと、梅ヶ谷から、女子の日本代表候補にもなっているらしいという話を聞いた。父親の仕事の関係で、都城に引っ越してきたらしい。
しかし、女は女で男子とは比較にならない。女子の日本代表チームは、男子高校の強豪チームには敵わない。そういうレベルなのだ。そのレベルの選手に、ああも簡単にボールを奪われるとは。
それにキーパーとしても自分はオソマツすぎた。
この前の試合の2失点は、両方とも自分のせいだ。
つまり負けは全部自分の責任だ。
梅ヶ谷は、試合の翌日も練習試合だから気にしないでくれと言ってきたが、竹宮は聞き流した。その話はしたくなかった。その様子を察して梅ヶ谷は何日か声をかけるのも遠慮していたようだが、今日になっていきなり新聞を差し出してきたのである。
「オレは評価しているけどね」
梅ヶ谷は箸を置き、テーブル上のポットからコップに水を注いだ。
「ブランク開けにしては上出来じゃろ」