ロングラートの転生者
転生者。
どえらい響きに驚きを隠し通せない。
「正確には、魔法によって引き出された性質の1つに過ぎないんだけれどね」
と、オイドクシアが付け加えている。
「お嬢様、どういう意味ですか?」
と聞いたのは執事だ。
オイドクシアは執事に視線を向けてから、少し悲しそうに目を伏せる。
「オイドクシアの魔法は強大過ぎたわ。赤子には過ぎたるものだった。内臓の1つなんて安い代償では償えない程の、ね」
「……お嬢様?」
「こやつが言いたいのはこうじゃ。赤子時のオイドクシア本人は魂と内臓などを代償に既に死亡しておる、という事だな!」
「「「!!」」」
メイドと執事が動揺する。さっきからこの人達の汗がやばいな。いや、まぁ、うん、とんでもない話ばっかり言っているから仕方ないかもしれないが。
「……言いにくい事をさらっと流してくれて有難う」
「なに、それくらいは察してやるぞ!」
オイドクシアさん、全然有難うって言ってる顔じゃないんですけど……。シャーロット気付いてあげて。自慢げにせずに、オイドクシアの表情を見てあげて。
「……魂までは奪われてはいないのだけどね。なんといったらいいのかしら……性質というか、魂の欠片を持っていかれているの。オイドクシアが死亡しているというのは否定しないわ。私の人格は、ロングラートだった時に形成されたものだから」
はぁ、と溜息を吐いている。かなり辛そうだ。魂すら持っていかれているなら、確かに辛いだろう。
赤子の時に魔法を使い、それでも命を取り留めていたと思ったのは大間違いだったようだ。
「彼女にあの魔法はとめられなかった。私が視るものを選別し、途中で魔法を破棄したの。あまりにも無差別で膨大な魔法だったから、まぁ……右も左も分からないような赤子では仕方なかったのかもしれないけれど」
はぁ、とまた苦しそうに息をして口を開く。
「体内に埋め込まれた魔道具も赤子には耐えられない代物よ。私が制しているから生きているようなものなのよ、これ。こんな不出来な魔道具しか用意できないのも無理はなさそうだけどね」
言い切ったオイドクシアの息遣いだけが部屋に響いている。オイドクシアが苦しそうにしていても、話に頭がついていけないのか、メイドが世話もせずに硬直している。
エルリックも、もちろん私も微動だに出来ない。
オイドクシアは転生者で、いや、ロングラートという者らしいが……これはまた辞書を引く必要があるな。おそらく何かの種族的な何かの名称……かな?
「辛そうだな。人間と言うのは脆弱過ぎる。……ああ、そうだ。この娘と話しをしてみればどうだ?多少おさまりが良くなると思うぞ」
そう言われて、シャーロットにぐいと体を引っ張られてオイドクシアお嬢様のベッドに座らされる。な、何をするっ!と思いつつも、力の強さに抵抗する事も出来なかった。中身はライオンだもんね、抵抗できるわけがないか。
諦め半分で距離が急に近くなったオイドクシアお嬢様と顔を合わせる。
彼女もシャーロットの行動に驚いているのか、目を丸くしている。その驚いた顔だけみると、先程までの言葉が嘘のように幼い子供のように見えるな。だからといって、油断する気はないが。
「……神獣様」
「ああ、あの男が恐ろしいぞ。なぁ、あの犬を止めてくれやしないか?」
低く唸るような声でヴァレールがシャーロットに声をかける。まるで一触即発のような雰囲気だ。毎回雰囲気が悪いが、相性が悪いんだろうか。
犬を止めろと私に言われても……ああ、一応友人ではあるけれど、そこまで親しく話した事はないからな。
とりあえず、今にも飛び掛かりそうなヴァレールを止める為に、右手を上げる。すると、ビクッと震えたヴァレールの足は縛りつけられたかのように止まった。……止まっちゃったよ。
すぐ隣で、シャーロットが喉の奥で笑うような音を出している。ツボに入ってしまったのだろうか。まじで忠犬の如く止まったからこっちの方が驚きだよ。注目されているので、とりあえず言葉を出しておこう。
「……私も、早めにお話しておいた方が都合が良いかと思います」
実際、何かを視ているだろうオイドクシアお嬢様とは、詳しくお話をするべきだとは思う。あまり気のりはしないけれども。
「嬉しいですわ、お姉さまとお話ができるなんて。ならば、人払いをした方が宜しいですわね?」
強い瞳で見つめられて、早まったかと思ってしまったが、後には引けない。人払いが必要という事は、ある程度秘密にすべき事柄を知っているという事なのだろう。
「スティーブ、ニヤ、シュザンヌ、皆出て行って頂戴」
「お、お嬢様?流石にそれは……!」
「あら?私のこと、まだお嬢様だと思ってくれるのね」
「……私達の知っているお嬢様は、ずっと貴方だけですから」
「……甘いのね。知っていたけれど」
執事の言葉に嬉しそうに笑うオイドクシアお嬢様。オイドクシアお嬢様だった人はすでに死亡していると告げるのが、実はかなり勇気がある事だったのかもしれない。いや、普通に勇気がいるのか。ロングラートがどういう存在か全く知らないからなんとも言えないけれど。普通の人間ならそう思うはずだ。
「ありがとうスティーヴ。でも安心して、貴方と同じように、お兄さまも甘々なのよ。私に何かがあるような事はないですよ」
「……何を見たんだ……?」
甘々と言われたエルリックが頭を抱えて小さく唸っている。評判の悪い妹を更生させようと奮起する優しいお兄ちゃんである事は間違えようがないけどな。
甘々発言から再起動したエルリックが顔を上げる。
「我々は妹に危害を加えるような事はしない。これは誓える。安心しろ」
「そ、そうです、よね……」
公爵家の長男の力強い言葉にこれ以上言葉が出ないのか、執事とメイドは大人しく退出する。
「さて、と。私も退出せねばならないのか?オイドクシア」
「……やっぱり甘々ですわね……いてもいいですわ。この別宅を守っているお兄さまが知らないはずがない事情ですもの」
再度甘々と言われて少しだけエルリックが顔を引き攣らせたが、頭を抱える事まではせずにしっかりとオイドクシアを見据えている。
「知らないはずがない事情、か?」
「ええ、お姉さまの事よ」
「……」
「ねぇ、この方は、どこの、誰なの?」
シンと部屋が静まり返る。やはり把握していたか。私がエリカ様じゃないと。
「お姉さまは、もっと我儘で喚き散らして、そして魔法耐性が皆無なの。時空魔法で普通に姿が視えていたのよ?可笑しいと思うでしょう?」
「……なるほど。彼らには聞かせられない事情と言う事で退出させた訳か」
「ええ、困るでしょう?特にスティーヴなんて、隠し事に向いてませんもの」
ああ、とエルリックが納得した声を上げている。隠し事が出来ないタイプの人なのか、あのスティーヴという執事は。まぁ、確かにコロコロと表情が変わってたな。
「……ん?どういう意味だ?」
首を傾げて疑問の声を発したのはシャーロットである。……影武者の件、シャーロットは知らなかったのか。
「ああ、細かい貴族間の事情ですよ、あまり深く考える必要はないです。嫌いでしょう?そういうの。貴方にとって重要なのは目の前の事象だけ、そうでしょう?」
「あー、確かに面倒だな。じゃあ、私は散歩でもしてくるか」
シャーロットは、軽く手を振って出ていく。え、それで出て行くの?
「……ビーストアーネットの性分は時が経っても変わりませんのね……いえ、この場合助かるんですが」
どこか懐かしそうに出ていくシャーロットを眺めているオイドクシア。前世の時にビーストアーネットと知り合いだったのか。ううむ、何者なんだロングラート。
「これで気兼ねせずに話せますね。……お姉さま、いえ、お姉さまの代わりを務めていらっしゃる方。とりあえず、私を抱きしめて貰っても良いですか?」
「……はい?」
なんか凄く唐突な事を言われている。なぜ、そういう流れになっている?普通の4歳児ならば普通に受け入れられるセリフなんだけど……転生したという人に言われると違和感しか浮かばない。
「あはは……突然過ぎました?けれど安心してください。危害なんて加えられませんから。このように病弱ですし……なんというか、お姉さまの近くは呼吸が楽になるんです。頼めますか?」
「……えぇと」
助けを求めるようにエルリックを見ると、エルリックも戸惑ったようだが、頷いた。抱きしめるくらいならばいいだろう、との判断かな?いや、まぁ妹(仮)
を抱きしめるくらい本当に大した事はない。
っていうか、すでにオイドクシアお嬢様はオイドクシアお嬢様じゃなくなっている上に、私もエリカ様じゃないけれど、この場ではたぶん姉妹と言う事なのだ、うん。……いいのか?まぁいいか。
気にしたら負けな気がするので、折れそうな程細いオイドクシアお嬢様を気にしながら弱い力で抱きしめる。すると、胸の中でオイドクシアお嬢様が深呼吸してきた。なんだろうデジャヴ。シャーロットにも同じように匂いを嗅がれたな。匂うのだろうか、そんなばかな。毎日お風呂に入っているのに。
しばらく深呼吸したオイドクシアお嬢様は嬉しそうに顔を上げる。
「ああ、ビーストアーネットは貴方様の為に……」
「……?」
「ああ、いえ……本題は、お姉さまがどこの誰かという事なのですけれど……どうでもいいですわねっ!」
「……えっ」
キラキラした瞳で、楽しそうに唇を三日月型に形作る。
その異常なほどに熱を孕んだ顔に驚く。
「神に感謝を、お姉さまに祝福を、この導きに運命を感じましたわ」
「……え」
興奮気味に私の両手をとって見つめて来る。なんか、変なスイッチが入っているみたいで、若干怖い。いや嘘、物凄くこわいっす。
「この世界の不思議に、奇跡に、感動致しました。こんな事って有り得るのかしら?はぁはぁ、いえ、目の前で起こっているのよね……凄いわぜぇはぁ」
「あの、えっと……」
「あら、すみません。あまりの事に少々興奮してしまってはぁはぁはぁ」
いや、はい。……所で物凄く息が荒いけど大丈夫ですか。私の近くだと呼吸が乱れるんじゃないか。
「ええと、大丈夫か?」
「ええ、お兄さま、大丈夫ですわはぁはぁ、こんなに良い気分は久し振りです!ぜぇはぁ」
全然気分が良さそうに見えないんだけども!?
離れたい、なんだか凄くこの子から離れたいです!
ぞわぞわと鳥肌が立つ。なんかやばいぞこの子。
そう思っていると、急に強い力で後ろに引っ張られて誰かに抱きしめられる。気配も音もなく引き離す事をやってのけるのはヴァレールただ一人である。前門の変態に後門のイケメン。逃げ道がない気がするんだが。
悲鳴を押し殺していると、案外あっさりとヴァレールに解放された。チラッと後ろを見ると、すでに壁際まで下がって俯いている。なんという素早さ……いや、助かりました。
「……!その男……?」
オイドクシアは呆然とヴァレールを見つめている。転生者でも驚くんだ、この気配のなさ。シャーロットがロングラートだと断定していたくらいだし、この世界の転生者ではあるんだろうけど。……早くロングラート調べたいんだけど。全然分からないから判断しようがない。
「話をまとめても宜しいですか?」
ここまで無言を貫いていたルカが話を切り出す。
「ええ、いいですわ。どうぞ」
「それでは遠慮なく。まず、オイドクシアお嬢様は赤子の時に魂の1欠片と内臓を1つを代償に時空魔法の行使を行った。そして意識を奪われた代わりに、ロングラートであった時の記憶が目覚めてしまった。時空魔法によって視た未来により死の確定。死亡回避のため、視えない未来を察知し、ここに訪れた。その際、視ていたエリカ様と大きく違う事に気づき、異分子が彼女である事が分かった。……これで違いありませんか?」
「だいたいそんな感じですわね」
ルカの良く通る声にふんふんと頷くオイドクシアお嬢様。そんなオイドクシアお嬢様の様子を見て、軽く溜息を吐き出したルカは、続きを口にする。
「聞きたい事があります。視えない未来、と言いましたが。彼女に関して視えなかったのですか?それとも、その周辺がすべて視えなくなったのでしょうか」
「そうね、不確定要素も多いけれど、おおよそ彼女が感知できる範囲のモノは視えなかったはずよ」
「つまり、この時点でのこの屋敷内の使用人室は視えていたという事ですか」
「彼女が見る気がないなら、私には視えていたはずよ……使用人室に必要性は感じなかったから、視なかったけれどね」
私が見ている範囲のモノだけ未来視に反映されないって事か。他の事象は視えるのに、そこだけポッカリ穴があいたように視えなくなる。時空魔法がどういうものかははっきりしないが、やはり私が異世界の人間だという事が影響していそうだな。
「それでは、彼女に関しては何も知る事が出来なかった……そういう事で良いですか?」
「そうね、そうなるわ。何せ、何も視えないんだもの。だからこそ……これは言っていいのかしら?」
「……なんです?」
「……いえね。親友は未来視専門にしていたのだけど……1つ事例があるのよ。視えなかった、事例が。それは私が生きていく上で実に有意義なモノなのだけれど……」
そう言ってから言葉を切って、エルリック、私、ルカ、ヴァレールと順に視線を移す。
「……そう、まだ言ってはいけないみたいね。なるほど確かにそう簡単に言えないわ」
「なんの事です?」
勝手に納得しているオイドクシアにルカが尋ねるが、答えが返ってくる事はない。
「いえ、いいわ。時が来れば分かる様なものだし。変に引っ掻き回して死んじゃったら元も子もないもの。勿論真っ先に死ぬのは私だけれど」
クスクスと軽い感じで笑っているが、死という言葉が出て来る時点で内容は物騒みたいだ。
「さて、話はまた今度でいいかしら?私は逃げも隠れも出来ないし、話を流布する気も全くないわ。だから今日の所は休ませて頂戴」
そう言って、オイドクシアはいそいそと横になって、布団をかぶる。言っている通り、顔色は最初に部屋に入ってきた頃よりも悪くなっている。
「最後に1つだけ質問に答えて貰っても?」
「……なぁに?」
「本物のエリカ様の行方を、ご存じで?」
「ああ……それね」
布団をかぶったまま、逡巡する。
「……北よ」
「随分とまた、大雑把な……」
「心配しなくても、ちゃぁんとやってるわ……たぶんね。じゃ、休むわ……眠くて仕方ないの」
「失礼致しました」
大人しく部屋から出て、後の世話をオイドクシア付きのメイド達に任せる事にした。
別室に、エルリック達は集まって大きく溜息をこぼす。
「はぁ、全く……なんて者がきたんですか。もう私の手に負える範囲の相手ではないですよ」
「全くだ……」
「いや、いずれ公爵家を背負う身になるのですから、これくらいは乗り越えていただかないと……」
「ちょ、お前だけ逃げる気か!?」
「私平民ですし……」
「現実逃避をするな!お前も立派に公爵家に努める人間の1人だ!」
「ちょ、やめてください。貴方は高貴な方ですが、私は違うんですからね」
「こういう時だけ俺を持ち上げるのはやめろ!」
エルリックとルカの軽い言葉のやりとりを聞いて、妙にホッとする。得体の知れない人との対話は物凄く疲れた。未来を視るって、え、なに?意味が分からん……そんな気分で話を聞いていた。本では時空魔法で可能とは言われてはいるけれど、実際にやった人に会うのは初めてだ。インチキ占い師とかとは訳が違うしなぁ。
「あの所で、ロングラートってなんですか?」
会話に隙が出来たので、ずっと疑問だった事を口にする。
「ああ、貴方は知りませんか……そうですよね。まだここに来て1月くらいですものね」
「いや、俺も知らん」
ちょ、エルリックさん知らなかったんすか!なんかさらっと流してるから知ってるのかと!
「ちょ……はぁ。まぁいいでしょう、そうそうお目見えできる者ではないですし……ロングラートは神獣ですよ。ビーストアーネットとは毛色が違いますが」
「なるほど、ならば友人がいるというのもおかしな話ではないな……え、神獣?」
あーシャーロットの友人も神獣なのか。なるほど……え!オイドクシアって神獣だったの!?
「はぁ……お2人で似たような反応するのはやめてください」
「す、すまない」
「すみません」
「いや、兄妹としてはいいんですけどね……はぁ」
ルカは、ぐりぐりとこめかみを親指で押さえて溜息を連発している。なんかすみません。あ、いや、私がロングラートを知らないのって仕方ないよね?うん、仕方ない。
「それで、あれはどう処理するとしましょうか?」
「あれって言うな。オイドクシアだぞ」
「これは失礼を。あまりにも面倒で……」
「もうちょっと取り繕え。……とりあえず、報告するつもりだったモノで良いだろう。流石に、洗いざらい報告できまい」
「ま、そうなりますか」
……報告か、どこかに報告するのか?……ああ、フォルジュ公爵様かな?一応この土地を治めている訳だし、報告は必要だろうな。
それにしても、神獣様って貴重だと思ってたけど、そうでもないのかな?ここに来て間もないのにこんなにホイホイ見つかるなんて……いや、どう考えても異常かな。フォルジュ公爵家はどえらいもんを生んでるなぁ。
……そういえば、時空魔法を使える人は皆前世まで思い出すのかな?うーん……2人を見た感じだとそうではない、かな?本来あるべきだったオイドクシアがいなくなってしまったが故に表れたって感じか。
考え事をしていると、目の前に本が差し出される。
ん?と思って顔を上げると、ヴァレールが辞書を持ってきてくれていた。ああ、私が分からないと思って持ってきてくれたのか。それは有難い。
開かれたページを見ると、丁度ロングラートの記述がある所だった。
どこまでも気が利くな。そう思いつつ、まずはロングラートの姿を……わぁ。
……蜘蛛だね。
…………うん、蜘蛛だ。
どこからどうみても見間違えようのないほどの蜘蛛だった。タランチュラ方面の、こう、足が太い感じの蜘蛛だ。
未来視、過去視を行う神獣で、小さな蜘蛛を未来や過去に送って確かめるという。へぇ……これ、嫌いな人が見たらゾッとする光景だね。私も好きな訳ではないから、何とも言えないけれど。
「ロングラートとは、蜘蛛の様態なのか……」
「ええ」
「妹だと割り切ってても鳥肌が立つんだが」
「エルリック様はお嫌いですもんね」
「好きな奴なんていないだろう?」
「まぁ……大抵は。ですが、ロングラートは神にすら仕えるという噂ですからね。普通の蜘蛛とは訳が違いますよ」
「……そうか」
ほぉう……神に仕える神獣……とんでもないな。
「にしても、エリカお嬢様の事、もう少し詳しく知りたかったですね。北、だけでは分かりません」
「いや、南と西と東を探さなくて良くなっただけマシだろう?南に行ってるロベルトを呼び戻しといた方が良いぞ」
「それもそうですかね……それでは魔道具を使用させて頂きます」
「任せよう」
エルリックとルカが立ち上がって退室していくので、私も自室に戻る事とするか。自室と言っても、エリカ様の部屋なんだけど。あの執事やメイド達に知られる訳にはいかないようなので、常に気を張っていないといけないのが辛くなりそうだ。




