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「いいの!?」
「うん、これがあれば来れるから」
レイラが手渡してきたのは、杖に付いている物と同じ紅い石だった。鎖が付けられており、ペンダントになっている。
「こっちに来る時は、そのペンダントを着けて、この階段を上って。そうすれば、私の家の前に着く」
「ありがとう!」
ペンダントを着けたディアナは、2人に手を振って歩き出した。
家に着いたディアナは、母親に買い物籠を渡した。
「雨、酷かったでしょう。大丈夫だった?」
「近くの家で雨宿りさせて貰ったから。私と同じくらいの子が独り暮らししてたんだけど」
「運が良かったわね。でも、女の子に雨宿りさせて貰うなんて、"異界の魔女"の話みたい」
母親の洩らした言葉に、ディアナは首をかしげる。
「"異界の魔女"?」
「この街には異界に繋がる場所があって、そこを護る魔女が、お前ぐらいの見た目なんだって。気の良い魔女だから、天気が悪いと家に雨宿りしに来る人がいるそうよ」
「…そうなんだ」
「どうしたの?」
「なんでもない」
ディアナは、服の下のペンダントを押さえて微笑んだ。