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しばらくして、雨が止んだ。
「さて、行こうか」
レイラが立ち上がって、頭巾らしき物を取り上げた。猫に似た耳が付いているそれを被った彼女は、壁に立て掛けてあった杖を持つ。
そして、ぽかんとしているディアナを見てにやっと笑った。
「この2つが気になる?」
「うん。そっちの被り物は耳があるし、杖は何に使うか分からないし」
「頭巾の耳は、風の声を聴き取って繋ぐべき"道"を見付けるため。杖は、私が力を扱うための道具」
そう言って家を出ていく彼女を追い掛けながら、魔法の道具なのかな、とディアナは思った。
ディアナは、レイラと共に複雑な道のりを歩いていた。途中、謎めいた店を見付けたり、二足歩行の兎や小人とすれ違って、思わず足を止めそうになりながらも、歩き続ける。そして、
「いた!」
レイラが、この暑い中ローブを着込んでいる集団に向かって、走り出した。