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Meeting  作者: 吉四六かぼす
始まり
4/52

4

「ありがとう」



 姿の見えない人にお礼を述べたけど、返事はなかった。



(とにかく光りに向かわなきゃ)



 向き直ると、一歩一歩歩みを進める。暗いから、進んでいるのかわからないけど、光が少しずつだけど大きくなってるから、たぶん近付いてるんだと思う。


 少し行くと光に照らされ、上へとのびる階段が目に映る。


 私はゆっくり、ふみしめながら階段を上った。近付いて来る光。



(もう少し……)



 そう思った瞬間、私は幾つもの光の玉に包まれ、反射的に瞼を閉じた。





 どれくらい目を閉じていたかしら……? 瞼を開いた私の目に、最初に映り込んだのは天井だった。



「…………」



 霞みのかかった頭と、節々の痛む身体を叱咤し、ゆっくりと起き上がった。


 掌に触れる布の手触りと、鼻腔をくすぐる、太陽と石鹸の香り。そしてさえずる雀の鳴き声。


 私が寝かされていたのは座敷の一室で、開け放たれた縁側から、太陽の日差しと、心地よい微風が私の頬を掠めた。



「ここ……どこ?」



 キョロキョロと視線を迷わせていると、縁側の反対側にある障子が、静かに開いた。



「あら、目が覚めたのね?」



 障子の向こうにいたのは、淡い桃色の着物をまとった女性。茶色に近い明るい髪を後ろで一つにまとめ結い、やわらかい微笑みを満面に携え、私に声を掛けてきた。歳は二十歳後半くらいかしら?



「気分はどう? 痛い所とか、ある?」



 横に正座すると、私の額に掌を当てた。ひんやりして気持ち良い。



「ん。熱は下がったみたいね。よかった。貴方ね、三日前にうちの前で倒れてたのよ。覚えてる?」




 少しの間記憶を巡らし、首を左右に振った。


 

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