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Meeting  作者: 吉四六かぼす
始まり
3/52

3


 気が付くと、私は暗い闇の中立っていた。何も見えない、何も聞こえない、何も感じない。右も左も、前も後ろさえも暗い闇におおわれていた。



「誰かいませんかぁ~っ?」



 前方に向かい、声を掛けてみる。でも返事はない。

 とりあえず歩いてみる。足音はしないけど、歩いているという感覚はちゃんとわかった。


「ねぇ誰か……誰かいないの!?」



 今度は叫びに近い声で呼び掛ける。でもやっぱり返事はない。虚しく私の声が木霊するだけ。



「どこなのよここぉ……」



 へたりと座り込んだ私の目尻にたまる涙。別に怖かったわけじゃない。ただ、ここには誰もいなくて、私一人なんだと思ったら、すごく悲しくなった……。


 たまった涙が、粒となって次々頬を伝った。


 すると、ふと人の声の様な音が聞こえた。ハッキリ聞こえないけれど、囁く様な……呟く様な声で。



──大丈夫




「え……?」



 下に向けていた視線を、上へと向ける。言葉は続く。




──大丈夫。しっかり前を見てごらん?




 優しく響く声に、私は言われたとおり前方を見る。だけど何も見えない。



「何も見えないわ?」



 私がそう声の主に返事を返すと、声はもう一度『大丈夫』と囁いた。




──よく見てごらん。光りが見えるだろう?



「光り?」



 そう言われ、今度は目を凝らし、じーっと見てみる。



「あっ」



 確かに視線の先には光が見える。針先くらいの小さな小さな光りだったけれど、今の私には、それが希望の光りに見えた。




──あの光を目指して歩いて。そうすれば出られるから




 出られるとは、たぶんこの闇から。



「……うん。わかった」



 私は頷き、意を決し立ち上がる。


 



 

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