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   はじまり(3)

 最初に出会ったのは、情報屋だった。彼は、ルークが知っていた。顧客から話を聞いたのだと言う。「最近、有名な情報屋がこの辺に隠れてるって噂なんだよ。なんでも、その人は、情報を集めるが趣味らしくて、ついつい知ってはいけないことまで知ってしまって、命を狙われることもしばしばなんだって。家族は無く、一匹狼だって聞いたよ」とルークは言っていた。これはもしかして、と私たちは彼を探しだした。


 彼を見つけ、私たちは説得をし始めた。最初は不審がっていたが、話を続ける内に「この癖を治したいと思っていた。同じような境遇の人がいるなら、深追いする癖が治るかもしれない」と屋敷に住むことに乗り気になった。そこで、サキ様に会ってもらった。


 最初に、サキ様に会う人は厳選しようという話になった。私とラインが彼女の元で働くことになったのは、彼女の護衛目的だ。大きな会社の社長だと言うことは、重要機密だ。

 彼は、サキ様に会うと、ここに住みたいと強く言うようになった。彼女の病気を治す手掛かりを俺は探せるかもしれない、さらに、彼女のうわさが流れた時にはその情報を操作できることも可能だ、と主張した。それは、私たちにとっても非常にありがたく、心強い提案だった。


 情報屋の名前は、ギルバートと言った。ギルという愛称で、彼はエストレージャのメンバーに加わった。エストレージャができて一年と少しが経ったときの話だ。そこまで行くのに随分かかったと、私たちは大いに喜び、盛大なパーティーを開いたものだ。



 ギルは、エストレージャ増員の大きな力になってくれた。情報屋の情報網は凄いものだった。


 二ヶ月後に、路頭に迷っている大工がメンバーに加わった。彼は、放浪しては無償で建物を直したり、家具を作ったりしているとのことだった。たまに貰えるお金で道具を買っていたと言うのだが、ついに貯金も無くなり、仕事を探している途中だったそうだ。その噂をギルが聞きつけ、ラインと一緒に話を聞きに行った。家族は無く、ひとりで行くあてもなく生活を続けているのだと言う。そのことをサキ様に報告すると、彼女はとても感動していた。


「彼への資金は私が負担するからって、彼に言ってもらえないかしら」


 大工は、最初この提案にとても驚いていたが、快く受けてくれた。その代わり、屋敷の工事は何でもする、なんでも言ってくれとのことだった。本当に人のいい大工だった。年は、私より十六歳も年上の彼は、名をギャンと言った。


「何でもしてくれるの? 屋敷全体を黒くすることってできる?」

 彼との初めての会話で、サキ様はまさかの質問をした。驚いたが、どうやら本気のようだ。


「この屋敷、外側が真っ黒でしょ? 昔いた両親の趣味だったんだけど、中身はばらばらなの。私の部屋は白ばっかりだし、茶色の部屋もあるし、緑のじゅうたんの部屋もあるし……ばらばらで、なんか嫌だったの。私黒大好きだし、よければ是非、お願いできないかしら?」


 もちろんですよと、背の高い彼は優しく笑った。寝る間も惜しんで、彼は半年足らずで屋敷全体を真黒に染めてしまった。サキ様はとても喜んでいた。屋敷の隅々に赤いバラを置きはじめたのも彼女だ。その花々を世話するのも、私たちの習慣の一つになっていた。


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