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15 希望の星 優しい言葉(1)

 表情が戻らない。



 サキ様は全快し、仕事もいつも通り行うようになっていた。ただ、ルークが彼女の仕事をする様子を見て「働き過ぎだ、体に悪い!」と主張し、少しだけサキ様の仕事時間は少なくなった。


「食事はちゃんととってください、お嬢様!」


 ルークは、特に睡眠と食事に関して彼女にしっかりとるように求めた。どんなに忙しくても、体に負担がかかり過ぎるのはよくないと、何度も彼女に主張した。


「今忙しいから、後でって」


 最初はサキ様も軽くあしらっていたが、ルークは断固として自分の主張を曲げなかった。


「だめですよ、お嬢様は成長期なんですから。しっかり食べてしっかり睡眠しないと、体調壊すどころか、背も伸びませんよ!」

「背が伸びなくてもいいもん!」

「よくありません! やせっぽっちの不健康になっちゃいますよ、美人で素敵なお嬢様になりましょう!」

「美人じゃないもん!」

「美人ですよ!」

 といった掛け合いが多発し、屋敷の中は大層賑やかになった。


「ルークはあれね、お医者さんって言うよりかは、先生みたい」

「なんでもいいですよ。私はお嬢様の健康が第一なんです。ほら、一緒に食事をしましょう」

「はいはいはーい」


 サキ様は、とても楽しそうだった。

 声だけは。声だけは、今までと変わらない明るい彼女に戻っていた。


 それでも、表情は戻らなかった。


 私たち四人は、一日のほぼ全ての時間を彼女の部屋で過ごした。自分の部屋に戻るときは、睡眠をとるときと、シャワーを浴びるときだけだった。共に食事をし、話をし、読書をし、テレビを見る。ルークだけは、時々「残した患者がいる」と屋敷を出て行った。「お嬢様につきっきりの医者になろうと思ってたんだけど、どうもやっぱり気になって……」とのことだった。サキ様は是非行くべきだと、彼の外出を薦めた。熱心なお医者さんだと、サキ様は喜んでいた。


 ご飯はラインと私が交代で作った。ルークは料理があまり得意ではなく、インスタントになるため止めた方がいいと自ら申告してきた。その代わり、彼は毎日洗濯とお皿洗いをしていた。それも交代でいいと止めたが、彼曰く、料理をできることは尊敬に値するため、俺はそれに見合ったことをするまでだ、とのことだった。


 少しずつ、変化した生活に慣れてきた。最初は落ち込んでいたサキ様も、私も、ラインも、明るくなっていった。私とラインは、笑うようになった。新顔のルークも、最初は様子をうかがっていたが、サキ様の体調を心配するなど行動的になるうちに、すっかり打ち解けて行った。


 サキ様の熱が下がり、体力が回復してから二週間ほど経った。


「顔の筋肉が動かないの」

 ルークの検診を受けながら、サキ様は言った。


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