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11 崩壊(1)

「とりあえず、ガーネットさんっていう、そちらのリーダーさんに話を通さないといけないんだろ?」


 ラインは、電話の向こうで呆れたように言った。冗談止めろよ、と最初は茶化していた彼も、私の本気を受け止めてくれたのか、ちゃんと返事をしてくれた。


 気持ちはありがたいけど、そう簡単に働けるもんでもないだろ? というのが彼の意見だった。


 全くもってその通り。手続き等の事を一切忘れて、舞い上がり気味になっていたことが恥ずかしかった。そう言えば、私もテストを受けたんだ、と今さらになって思い出す。


「うう……多分いいって言う」

「夜な夜な女性といちゃついてなんとか生き延びてる男を、雇うの?」

「あー……うう。ちゃんとした仕事があれば、ラインも冷静に恋愛について考えられるかなぁって、そればっかり考えてた」

「それはありがと。ちゃんとした職につけたら、世界観は変わるだろうしね。こっちの世界しか知らないから、そりゃぁボディガードなんて、できるんならやってみたいなぁっていう好奇心はあるよ。でも、やっぱりこんな俺を雇いたい人はいないような気がする」

「ごめん、勢いで電話しちゃって。でも、その旨を話してみる。できるんなら、やってくれる?」

「雇ってくれるようなら、話を聞いてみたいかな。どんな仕事なのか、詳しくね」

「オッケー。また連絡する」


 通話の終了した電話をくるくると肩手で回しながら、ひとつため息をつく。

 一緒に働ければ面白いだろうなぁ、とそう思ったのだ。


 働く時間帯はずれているにしろ、彼といつも会えるのは、なんだか心強い。そう考えると、もうどうしようもなくテンションが上がってしまって、何も考えずに電話してしまった。


 恥ずかしい。

 私はベッドにダイブした。風呂には明日の朝入ろう、と静かに目を瞑った。なんだかいろいろ、最近疲れてしまっている。


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