本音と別れ(7)
「なんだか、最近転勤が多いのよね」
キーボードを相変わらず軽快に叩きながら、ある日サキ様は言った。
「またですか?」
ゴウさんから始まり、転勤が一カ月に一度か二度のペースで起こっていた。私が来た時のボディーガードの人数は、二十人と少しだったが、ゴウさんがいなくなってから五カ月で、数は十二人になっていた。
「お母様とお父様に尋ねたら、レイカもいてくれるから私への心配が少なくなったし、よく考えたら多すぎたよねーって」
「……まぁ、確かに二十数人いましたけどね」
「そうなの、まぁ納得なんだけどね。私を守るためにやけにたくさん雇ってたのは、過保護の一環だと思ってたけど、気がついたのかな」
自分が過保護の対象なのに、あくまで人ごとのように言う彼女は、やっぱり大人びている。
「ゴウを転勤させたことで、気がついたのかもね。でもねぇ、リアンも来月転勤でしょ?」
「みたいですね」
「私に報告する時は事後報告。ガーネットから聞いたけど、夜間の護衛業務が嫌だって、皆言ってるみたいよ」
「そうなんですか」
「立候補だったみたいね、リアンの時は。彼は集団行動が苦手だったみたいだから、喜んで引き受けたそうだけど……今回は、誰もいないんですって。私は、私が寝てる時の護衛はいなくても大丈夫だと思うけど、両親がね」
「心配されますよね」
「でしょう、どうしようかしら。なんでリアンが転勤になるのかも分からないし……誰かいないと、無理やりやらせることになっちゃうし」
誰か、いないか。
「あ」
思い当った。夜型の、決まった仕事無しの根なし草である、彼が脳裏に浮かぶ。
「ん?」
「適人が、いるかもしれません」
「え?」
「信用できる人です」
その夜、私はラインに電話をかけた。
やぁ、最近よく電話くれるね、惚れてくれたの? と冗談を言う彼に、私はワクワクしながら言った。
「冗談止めて、ねぇ、真剣な話なの。一緒に働かない?」
そっちこそ冗談だろ! と彼は笑っていたが、私はそれでも真剣に説得にかかった。




