本音と別れ(6)
ゴウさんがいなくなって五日目に、休みをもらったため、私はすぐにラインに電話をした。ラインは家においでと言ってくれた。
ラインの家に着き、彼の顔を見た瞬間に涙が溢れて止まらなかった。
「ちゃんと言えたんだね」
と、優しく受け止めてくれる彼に私は甘えた。彼の胸で、声を挙げて泣いた。彼のコロンは相変わらずいい香りがした。私の気持ちを安らげてくれるようだった。
「もう恋愛はしたくない」
少し落ち着き、彼が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、私は言った。言ってみたい言葉だよ、とラインは苦笑した。
「そうやって、シャットアウトしちゃっていいの」
彼の質問には答えず、私は質問に質問で返した。
「恋愛って幸せ?」
「さぁ」
彼は肩をすくませた。
「俺も知りたい。俺はそれを知りたいから、恋愛を模索してるよ、ずっとね。俺が歪んでるって話はしたろ? それでも、俺は、恋とか愛とか、そう言ったのの答えを知りたい」
「……私は、わが身が可愛いから、傷つきたくないから、シャットアウトしちゃうかも」
「それなら、それがレイカの答えだから、いいんじゃないの」
「ありがとう」
「うん。でも、レイカはたとえその気が無くても、魅力的だと思うけどなぁ。男は寄ってきそう。そのたびに傷つくよ、どうするの。もう男性とは関わらないの? 私は恋をしませんって、度々口に出しながら生活するの?」
「考えたよ」
私も、彼に会うまでの五日間、何も考えなかったわけではない。
「あのね、中性的になる」
私の言葉がよくでき理解できない、と言いたげに、ラインはん? と首をかしげた。
「男くさくなって、男性にも女性にも、こいつはいい友だちだ! って思ってもらえるようになるの」
「どういうこと? 髪の毛でも切るの?」
「髪の毛の短い女性なんて、山ほどいるでしょう」
「まぁねぇ。俺みたいに髪の毛の長い男性もたくさんいるし」
「口調がね、弱々しいと思うの、私」
「うん?」
「女々しい」
「ほう」
「だから、男くさくしてやるんだ、ぜ」
目の前に座っている美男子は、大口を開けて笑いはじめた。涙も流しそうな勢いだが、それでも絵になるのだから、さすがだ。
大真面目に言ったつもりが、ラインは私の必死の男言葉に「似合わない!」と爆笑しつづけた。
その時は、何よ失礼ねと口を尖らせたぐらいだった。
実際に行動に移し、自分のことを「俺」と呼ぶようになるのは、もう少し後のことだ。
だが、確実にその時は近づいて来ていた。




