表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/86

   本音と別れ(3)

「うん」

「寂しいの」

「傍に居てほしいの?」


 ラインから、初めての質問だった。うん、と私はすぐに答えた。


「それが当たり前だったから、でも、でも分かんなくて、こういうのが恋なの?」

「そうだねぇ、どうだろう」

「私が気がついてないだけなのかな」

「レイカは、寂しい?」


 ラインは、整理をするようにゆっくりと言った。


「うん」

 即答する。

「いなくなっちゃうのが嫌?」

「うん」

「彼の反応に驚いている」

「うん」

「自分の反応にも?」

「うん。自分の考えていることが分からない」

「そうか」


 少し黙って、ラインは続けた。


「俺はね、それが恋だよ、とか、あれが恋だよ、なんてそんなことは言えない」

「うん」

「それは、自分で考えることだからね、俺だって常に探してるよ。さっきまで抱いてた彼女のことも好きだけどさ、でも、恋か、一生愛したいと思うか、っていったら、それは違うんだ。俺はきっとそう言う事に対して、歪んでる」

「私もおかしい」

「そっか」


 少し笑うと、「俺らは似ているからね」と彼は言った。


「でも、レイカ。俺に話して、少しだけ整理がついたでしょ」

「……そうだね、なんだか落ち着いた」


「ならいいよ。恋愛事って言うのはほんとにあやふやで、無秩序で、すぐに混乱する。ぐるぐる回る渦みたいに。俺と寝た女性の中でも、混乱していろいろ言ってくる人はいる。私は貴方のことを遊びだと思ってたのに! って怒鳴られたり、本気か分からないって言われたり、期待しないでよって殴られたり、もうしょっちゅうだよ。そんなとき俺は、彼女に気持ちを話してもらう、すると彼女は落ち着いてくる。俺も、彼女の気持ちが分かってくる。彼女も多分、俺の気持ちを少しは理解してくれる」


「うん」

「アドバイスでもなんでもないようなことだけど、レイカの気持ちが分からないなら、相手と一緒に話してごらんよ」

「……そうだね」


「向き合うんだ」

 ラインは相変わらず、優しい声でそう言った。

 その言葉は力強く、まっすぐだった。


「恐いよ」

 だから私もまっすぐに言った。

「恐いさ。嘘が無い世界からね」


 嘘が無い、か。

「レイカは、話せる?」

「話してみる。もやもやしたまま、お別れは嫌だ」

「うん。レイカならできるよ」

「ありがとう。話を聞いてくれて。いきなりごめんね」

「大丈夫、いつでもかけておいで」

「ラインも、いつでもかけて」

「君は仕事中だったら出られないだろ」

「無理を言って出るよ」


 笑う彼に、私は真剣に言った。私の真剣さが伝わったのだろう、そうか、と彼は言った。電話の向こうで、優しく微笑む彼の姿が浮かんだ。


「本当にありがとう」

「うん、もう平気?」


 大丈夫と元気よく答え、私は電話を切った。ふう、とひとつ深呼吸をする。


「がんばる」

 携帯を握りしめた。そうか、話してみればいいのか。

 話す。ぐちゃぐちゃな気持ちのまま、ゴウさんに話す。


「できるかな」

 不安もあったが、それでも私は、もう逃げないと心に決めていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ