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美味しい魚料理

やっぱりああいう一人ではしゃいでいるのを見られるのは恥ずかしいな。ちょっとテンション上がってたとは言え、今後はああやって騒ぐのは控えることにしよう。テーブルの椅子に座り俺は心の中でそう反省した。


「まぁそれはともかくとして、やることやらないとな」


まずはイホームにさっきのカルラちゃんの話を伝えておくか。また犠牲者がでたら大変だし、それにその女の子の特徴も分かってるからうまくいけば早々に確保とかしてもらえるかもしれないしな。

俺はポケットから疎通石を取り出すとテーブルの上に軽くたたきつけ、イホームを呼び出した。


「おう、イホームか。あのさ、ちょっと話しておきたいことがあるんだけど、今大丈夫か?」


「うん、別に大丈夫だけど……どうかしたの?」


「実はな…………」









それから数十分程かけて俺はイホームにカルラちゃんから聞いた情報を伝えた。ここまで長くこの石を使って話したのって初めてなんじゃないか? というか多分俺、電話とかでもここまで通話したことないぞ。


「なるほどね。随分と興味深いというか、なんだか不穏な感じのする状況だってことは分かったよ。とりあえず見回りと見張りの兵士たちにはそのことを伝えるように指示しておくから安心して」


「そうか、分かった。ところでイホームはその子のことについてはどう思う?」


一応お国の魔術師様だし、参考までに意見も聞いてみたほうがいいだろう。情報だってあっちの方が色々持ってるんだしな。


「うーん……確かにそんな女の子の話なんて聞いたことないし、街には頻繁に出れるわけじゃないから目撃情報についてはよく分からないけど、でも今までそんな被害がでていないとなれば今後何かしらの事件が起き始める可能性も充分ありえると思う。まぁもしそれが呪いに関係する人間ならば一大事な訳だし、どちらにせよ警戒するに越したことはないよね」


「そうだよな。まだどうなのか分からないけど、念のため俺も心の準備はしておくとするよ。もしかしたらその子も俺の力で何とかすることができるかもしれないしな」


まぁ確信はないから断定はできないけど。なんせ病気とか怪我じゃなくて‘呪い’だし。オカルトチックな部類にこの力が有効なのかどうかは正直試してみないと分からない。


「そうしてくれると助かるわ。あ、後大事なこと言い忘れてたけどさっきこの近くに世界調査機構のメンバーの一人が来てるって連絡があって、明日にはここに到着するみたいだからその時にもう一度この近辺で呪いの力が発動されてないか調査してもらうことにするよ」


あれ? この間来たって聞いてたのにまた来たのか? ってことはそれだけここに注意を向けてるってことなのかな。うーん……なんだかますます嫌な予感がするぞ。


「じゃあ良くも悪くも明日はっきりするんだな。そしたら結果が出たらまた俺に連絡してくれ。なるべくいつでもでれるようにしとくから」


「了解。じゃあまたなにかあったら」


「あぁ、じゃあな」


その言葉を最後に連絡が途切れ、石の光が消えていく。はぁー……疲れた。なんだかバイト先と連絡でもとってたみたいな気分だ。シフト交代お願いされて明日また連絡しますとか言われていつその連絡が来るのかピリピリしながら待ってた時を思い出しちまったよ。まぁ今回はそんなのの規模じゃすまないほど深刻なことになるかもしれんけど。


「ご主人様、随分とお話されてましたね」


「ん? あぁちょっと色々大変なことになるかもしれないからな。伝えることはちゃんと伝えとかないといけないし」


「先程呪いがどうとかって聞こえたのですが……もしかしてそのご関係なんですか?」


フラウがこちらを見上げながらそう聞いてきた。隣にいたんだから聞こえてて当たり前だし、そりゃ気になるよな。ちょうどいい、今のうちに全部話しておこう。そう思った俺は今日の出来事と合わせて城で聞いた話も皆に説明をすることにした。なんだか今日は説明してばっかな気がするな。













「……というわけなんだ。だから皆もなるべく無用心に外に出たり、誰かと頻繁に接触したりしようとはしないで欲しい」


ふぅ……とりあえず大まかな話はこんなもんかな。ピィタを除いた二人は真面目に話を聞いてくれてたし、ちゃんと理解もしてくれたようだ。ただ内容が内容なだけにあまりその表情は芳しくないように見える。


「私は主以外の人間に興味はないからそれはいいが……主自体に影響が及ぼされる可能性があるのは喜ばしくないな」


「私も外に出るのはご主人様が一緒にお連れしてくれた時だけですから心配はないと思います。でもなんだか物騒なお話ですね」


「ぴぃいいいい?」


「うん、まぁとにかくそういうことだから。各自自分の身の回りのことには気をつけてくれ。特にさっきの白い女の子には要注意な」


まぁそうは言っても街に出なければその心配もないと思うけど。この家も街の外にあるんだし、騒ぎが落ち着くまではしばらく家の中で大人しくしていれば大丈夫だろう。














その後、日も暮れ夜になりいつもならベイルとカルラちゃんが家にやってくるくらいの時間になった。いつもなら飯を作りに来てもらってるんだけど、流石にこんな状況で女子二人に街中を歩かせるのは男としてどうなんだ? と思ったので逆に家までこちらから出向き、今日の夕食はベイル宅でいただくことにした。ちなみにセルツとピィタには家で留守番をしてもらうことにした。ベイルの飯を食わないのだから一緒に来ても意味ないし、何よりむやみに外に出したくないからな。最近はピィタも大人しく待っててくれるようになってきたから本当に助かる。


「珍しいな。家に来るなんて」


「まぁたまにはいいだろ? こういうのも」


フラウと一緒にテーブルの椅子に座り、ベイルとカルラちゃんの調理している光景を眺める。うーん……自分の家ではないところで料理をしている女子の背中を眺める……。なんとも新鮮でいいですね~。


しばらくして料理が並べられ、全員席に着いた。今日のメニューは魚料理が中心みたいだな。ホカホカと湯気を立てる蒸した白身魚に、バターのようないい匂いを放つブロック状のものが添えられた料理や、パイ生地で様々な調味料で和えられた魚をはさんで焼き上げられたものなどどれも美味しそうだ。


「さぁ、冷めないうちに食べてくれ」


「よし! んじゃあいただきます」


ベイルに勧められるまま料理に手をつけていく。やっぱり美味いんだよなぁ。本当ベイルなら料理人としてもやってけるんじゃないだろうか。もしそうなったら多分頻繁にその店に通うことになると思うぞ俺。


「でも、改めて聞くがなんで今日はうちで夕食にしようなんて言ったんだ?」


ベイルにそう聞かれ俺は料理を運ぶ手を止めた。さっきははぐらかしていたけどやっぱり気になるよな。


「えーと、ベイルはカルラちゃんから何か聞いてないのか?」


「カルラから? あぁ、なにやら不審者がでたってやつか?」


不審者? あれなんかちょっと違うような気がする。まぁでも似たようなものではあるのかな?


「もしかしてそれを心配してわざわざ家まで来たのか?」


「いや、ほら二人共一応女の子だし。夜に街中に出るのも危ないかなと思ったんだよ」


「そうか。でも私はそんなにやわじゃないからな。不審者の一人や二人、返り討ちにしてやるさ」


うわー……なんかすごいフラグくさいこと言ってるよ。そういう自信満々な奴に限っていざ対面したら大変なことになるんだぞ。


「カルラちゃん。ベイルになんて伝えたのか分からないけど、念のため無茶なことはさせないように気をつけておいてね」


「わかりました、任せてください!」


親指をたてて力強く返事をするカルラちゃん。その横でベイルは文句を言っていたが、軽くスルーして俺達は再び料理にてをつけはじめた。










夕食を食べ終え、軽く片付けを手伝ったあと俺達は遅くならないうちに家に帰ろうとベイル達の家から退散することにした。


「それじゃあごちそうさまでした」


「ベイルさん、お料理とっても美味しかったです!」


「またいつでも来てくれていいからな。二人共気をつけて帰るんだぞ」


ベイルに玄関まで見送られ、裏路地を抜けると外は街の明かりがなければ何も見えないほど暗くなっていた。


「さぁ、そんじゃあさっさと帰りますか」


「そうですね。きっとピィタちゃんもご主人様の帰りを待ってますよ」


まぁそうだろうな。あいつも寂しがってるだろうし帰ったら俺の熱いホールドで癒してやろう。ついでに俺も癒されよう。


こんな時間では人通りも少なく、すれ違う人もまちまちだ。特に何事もなくどんどん家に向かって歩いていたのだが……ふと俺は背後になにかの気配のようなものを感じた。この暗さのせいで過敏になっているだけだと思ったのだが、念のため一度振り返ってみる。もちろん映るのは歩いている人影と只の大通りだけだ。


「ご主人様どうかしたんですか?」


「いや……気のせいかな。ごめん、なんでもない」


あんな話を聞いた後だからか変に警戒しちゃってるみたいだな。街から出たら明かりもないんだし、ちょっとだけ急いで帰るか。俺はじゃっかん早足気味に家路へとつき、今日はさっさと眠ってしまうことにした。もちろん寝る前にピィタで癒されたのは言うまでもない。かわいいペットは必需品だね。うちのはドラゴンだけど!!














翌朝、俺はいつも通り目が覚めた。ピィタは頭の上。セルツは何故かベッドに潜り込み、フラウは床に置いた毛布の上でまだ眠っている。この状況に驚かなくなってきている自分が怖い。しかしフラウとピィタはまだしも、セルツに限ってはなんで毎度毎度隣で胸をこちら側に向けて寝ているのかが気になってしょうがない。なんなの? 誘ってんの? 男の朝は色々と大変なのわかってんの? と愚痴ってはみるけどまぁそんなことドラゴンが知るわけもないか。


「顔洗ってこよう」


いつものようにうまく抜け出しリビングの水道で顔を洗う。スッキリすると眠気が取れる人もいるらしいが俺はそこから少しぼーっとしないと頭が起きない。テーブルに座りまったりするかと思った時、突然家の扉がノックされた。


「ん? なんだよまた呼び出しか?」


最近多いな王宮に朝から連れて行かれること。俺はいつものことだろうと思い、玄関に近づくと誰が来たのか訪ねた。しかし、普通なら執事の人が返事をしてくれるはずなのにいくら待っても一向に返事がない。あれ? 聞こえなかったのかな? しょうがないと俺は扉を開け外に顔だけをだして様子を伺うことにした。


「はい、どちらさまですか?」


そう言って玄関の正面に立つ人影を見た俺はその瞬間固まってしまった。そこにいたのは王宮の馬車でも執事のおじさんでもない、黒いコートに身を包んだあの死神と呼ばれる有名なヒルグラウンダーだった。


「君に少し話がある。申し訳ないが付いてきてもらえないだろうか?」


そう冷たい声色で言うと彼は扉を締められないようにしっかりと掴み、そのまま勢いよく開け放った。






















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