白の魔術師
今回の話には少し痛々しい表現が含まれています。苦手な方はご注意ください。
「お兄ちゃん達お待たせ……ってどうかしたの?」
フラウが急におかしくなってから少しして部屋の奥から彼女がやって来た。そこでこちらの状態がおかしいことに気づいたようで、怪訝そうな顔でこちらをうかがっていた。
「あぁ、いや何かちょっとこいつの調子が悪いみたいでさ」
「そうなの? 大丈夫?」
彼女にそう言われ俺はフラウの顔を覗き込んでみた。すると、フラウは俺の耳元に顔を近づけ
「何でもないとお伝えください」
と小声で言ってきた。それに対して色々と言いたいことはあったけれど、今は仕方がない。俺はフラウの言うとおりにすることにした。
「とりあえず今はもう何ともなさそうだけど」
「そう? ならいいけど……もし何かあったら遠慮せずに言ってね。ここには色々と薬草とかもあるから何とかできるかもしれないし」
「わ、分かった」
研究室とか言ってただけにそういった類のものは充実しているようだ。まぁ、本当にいざとなったら俺の力を使えば何とかなるんだろうけど。ここで使うのは少し怖い気がする。変な研究とかされそうだし……。
「それじゃあ二人共こちらにどうぞ」
彼女に促され俺とフラウはベージュ色の木で出来た丸型のシンプルな椅子に座らされた。それに向かい合うような形で彼女も椅子に座る。
「ディア、茶と菓子を持ってきてくれ」
「はいはい、ただいま!」
彼女は部屋の奥に向かってそう叫ぶと、少し慌て気味な声の返事が返ってきた。
「あの、お構いなく。大変そうならそういうの大丈夫だから」
「いや、客人には何かしらのおもてなしを施すのが当たり前だからね」
人差し指を立てながら彼女はそうドヤ顔で言った。その割にはあなたは何もしないんですね。と、ツッコミたかったがそれを言って絡まれるのも面倒なので黙っておくことにした。
「お待たせしました!」
少しして白いティーカップとバスケットのような入れ物にクッキーのような焼き菓子を入れた物をお盆に乗せ、彼が運んできてくれた。
「うむ、ご苦労であった」
「ご苦労であった、じゃないですよ!! 何で僕がこんなにあたふたしなきゃいけないんですか!!」
「しょうがないであろう、私は客人には出来たての茶を振る舞うという決まりがあるのだから」
「それなら部屋に案内する前に‘疎通石’で連絡してくれてもよかったでしょう!」
俺達を置いてきぼりにして二人で言い争いが始まってしまった。この二人って一体どんな関係なんだろう。この男の人は彼女を先生って呼んでたよな。ってことは彼は何かを彼女から教えてもらってることなのか? ……何を教えてもらっているのかは知らないが、やっぱりどう見ても先生って感じに見えないんだよな彼女。どっちかって言うと子供みたいな容姿だし。二人の立場が逆転してても違和感ゼロだと思うなほんと。
そんなことを考えながら俺はティーカップに入れられた茶を一口飲んでみた。あ、美味しいかも。感覚としては紅茶のような感じだ。口に含むとほのかにだがハーブのようないい香りがする。渋みはなく後味はすっきりとしていて意外と飲みやすい。
そのままもう一口、口に含む。すると、自然に気分が落ち着き何だかほっこりした気分になった。
そんなこんなで俺が一人でお茶に癒されていると、いつの間にか二人の言い争いも終わっていた。
「あ、終わりました?」
二人共デッドヒートしてたなぁ。
「ご、ごめんねお兄ちゃん」
「申し訳ありません……」
二人共顔を俯け申し訳なさそうに謝ってきた。別に俺は一人でまったりお茶タイムを過ごしていたので気にしてないんだけど。
「いえいえ、お気になさらずに。それよりもまだお二人の名前を聞いてなかったんで教えてもらいたいんですけど。あ、ちなみに俺は荒崎達也といいます。こっちはフラウ」
「ヴァヴ!」
「荒崎様にフラウ様ですね。申し遅れましたが、僕はこの城で先生の生徒として住み込ませてもらっています‘ディア・キャンバー’と申します」
「私はこの城で専属の魔術師として勤めている‘イホーム・メルロック’。さっきディアが言ってたけど、今はここで魔術を教える先生としても働いてるわ」
魔術を教える先生ねぇ。何かすごそうだな。日本にそんな先生いたら完全に怪しい人扱いされるけど。っていうかそんな科目ないけど。
「イホームさんにディアさんですね。えと、これからよろしくお願いします」
「さん、だなんて堅苦しくしないでよお兄ちゃん。呼び捨てでいいって」
そう可愛らしい笑顔で無邪気に言うイホームさん。それを怪訝そうな顔で見るディアさん。
「先生さっきから気になってたんですが……そのお兄ちゃんっていうのは何ですか?」
「何って、こっちの呼び方のほうが何か可愛いだろ?」
「いや、そうかもしれないですけど……その歳でその呼び方は……」
ディアさんがそう言いかけた時だった、おもむろにイホークさんは空中に丸い円を描き出した。すると、その場所に赤い光の輪が出来上がった。何だあれ。一体どうなってるんだ?
「おい、ディア。歳の話はするなと言ったよな。んん?」
な、何だか知らないけどイホームさんはとてつもなく怒っているようだ。顔は笑っているのに、どこか黒いオーラを放っている。
「す、すいませんでした!!」
ディアさんもやばいオーラをひしひしと感じているのか、額に嫌な汗をかきながら全力で頭を下げていた。
「次にその話をしたら……分かってるな?」
「は、はい!!」
ディアさんがそう返事をすると、彼女はあの赤い光の輪を片手で払い消し再びこちらにあの無邪気な笑顔を向けてきた。
「お兄ちゃんも女の子に歳なんて聞いちゃいけないよ。ね?」
「わ、分かりました」
その時、俺は心の中で絶対に彼女に歳の話はふらないようにしようと硬く誓ったのであった。
という訳で結局、俺はイホームさんは呼び捨てで、彼女は俺をお兄ちゃんと呼ぶことになった。ディアさんにも様付けはやめてもらうことにした。
「それで俺と話したいことって一体何?」
お互いの自己紹介を終えたあと、本来の目的に話を戻すため俺はそう尋ねた。
「あぁ、そうだね。今日私がお兄ちゃんと話したかったことは……」
「ことは?」
「ずばり、ファリア様の黒死の病を治したその方法について。それとお兄ちゃんの横にいるその子について」
イホームはにやりと笑いながら俺達を交互に見つめた。
「あぁ、先生が言ってた黒死の病を治した人って荒崎さんのことだったんですね」
そこで俺はふとある疑問もった。
「そういえばさっき待ってる時の部屋でも言ってたけど、何で俺がファリアの病気を治したって知ってるの?」
「何でって……そりゃあ王宮中で大騒ぎになったもの。ファリア様を治した男がいるってね」
何とそんなことが起こっていたのか。でもそうか、よく考えてみれば今まで治らなくてどうしようもなかった病気を治せた奴がいたとすればそりゃ騒ぎにもなるよな。しかもその相手がどこから来たのかよく分からない異国人だとすればなおさらか。
「僕も先生からその話を聞いたときは驚きましたよ。本当に冗談かと思っていましたから」
「そうなんですか」
冗談だと思われるほど俺はすごいことをしたってことだよな。
「世界中の魔術師やこの私ですら治すことができなかった病を一瞬で治すことができるなんて、私も初めは信じられなかった。けど、ファリア様の様子を見たときその話が本当だったんだと私は愕然としたわ。それと同時にどんな人がどんな方法でそれを行ったのかに興味を持ったの。その人と話してみたい。一体どうやったのか聞いてみたいってね」
「なるほどね。俺は今イホームの興味の中心ど真ん中ってことか」
「そういうこと。本当はファリア様からお兄ちゃんの住んでる場所を聞いて直接訪ねようかと思ったんだけど、ファリア様が完全に体調を良くなされたと判断するまではここから離れることができなかったの。だから今日ここでお兄ちゃんと話ができるかもしれないのはチャンスだと思ったってわけ」
「チャンスねぇ……」
そんなに大した奴じゃないんだけどな俺。持ってる力はすごいかもだけど。
「さてと、それじゃあ雑談はこのくらいにしてそろそろ本題に入りましょうか。まずはお兄ちゃんがどうやってファリア様の病を治したかについて聞かせてもらおうかな」
先程までのヘラヘラした顔はどこえやら、そう質問してきた彼女の顔は真剣そのものであまりの変化っぷりに俺は少し緊張してしまう。
「え、えーと……どうやってやったかっていうのはその、何というか俺が生まれつき持ってる力っていうかそれで治したんだよ」
「生まれつき持っている力?」
彼女の片眉がぴくっと動く。うわー……怪しんでるよ。
「その生まれつき持ってる力というのはどんなものなの?」
「どんなものって……そうだな。簡単に言っちゃえばどんな病気や怪我でも瞬時に治す力かな?」
「瞬時に……治す?」
イホームの眉間にどんどん皺が寄っていく。おいおい、その表情は一体どういう感情表現なんだ? 怒ってるのか? それとも驚いてるのか?
「ねぇ、お兄ちゃんそれはふざけて言っているのではないのよね? 真面目に言ってるんだよね?」
「あ、あぁ」
そう答えると彼女は先程のように空中に丸い円を描いた。すると今度はその場所に白い球状の物体がいくつも出来上がった。
「お兄ちゃん今、歳はいくつ?」
「え? 二十だけど」
「二十歳ね。‘世界調査機構’過去二十年の調査記録をここに持ってきてちょうだい」
イホームが白い球にそう喋りかけるとその物体はそれぞれ散り散りに飛び始め、本棚の群れの中に潜り込んでいった。
「今のは一体?」
「あれは先生が調べ物をする時に使う‘低級精霊’です。先生が指示したものを取り出してくるように動くんですよ。あ、ちなみに先生は精霊を同時召喚し、使役することのできる魔術師として有名なんですよ。ちまたでは全体的に白い見た目から‘白の魔術師’なんて呼ばれてたりもするんです」
ディアさんがそう説明してくれた。全体的に白いからってそのままだな。っていうか精霊とかまたメルヘンチックなものが出てきたなおい。しかもその役割が指示した物を取ってくるってどこぞの異空間につながるポケットから出てきそうな道具くらい便利だな。ていきゅう~せいれい~ってな感じに。
「あ、戻ってきましたよ」
後ろを振り返るとそこにはうっすらと白く光る分厚い本がこちらに向かって飛んできていた。さらに、その後ろから次々に本が運ばれてくるのが分かった。おぉーこれは……何てファンタジーな光景。まさか本が飛んでいる光景を見る日がこようとは。
「ほいほい、ご苦労さま」
イホームの前に本が積み重ねられていく。すると、本から白い光が消えその本を彼女が手に取りパラパラとページをめくっていく。
「……」
えーと、イホームさん? それ本当に読んでるんですか? と疑いたくなるほどページをめくるのが早い。医学書二冊分位の分厚さがあるのにそれを数分もしないうちに読み終えている。
そして、その十数分後。イホームが持ってこられた本すべてを読み終えた。
「ふぅー……。うーん、どうもおかしいわね」
「おかしいって何がですか? 先生」
「世界調査機構の報告書にそんな記述がどこにも載っていないのよ。それだけすごい力を持っていれば必ずどこかしらに報告が載っているはずなのだけれど」
「うーんもしかしたらあれかもしれませんよ。王族のみに公開される‘特殊報告書’に載っているのかも」
「……」
な、何だか知らないが二人共難しそうな顔をしている。世界調査機構って何だろう?
「うーん……こうなったら実際にやってみるしかないわね」
「やるって何を?」
「決まってるでしょ。お兄ちゃんに実際に力を使うところを見せてもらうのよ」
「え?」
力を使うところを見せてもらうって一体どうするんだ? どっか悪いところでもあるのかな。
「見せてもらうってどうするんですか?」
ディアさんがそう聞くと、イホームはおもむろに自分の懐に手を伸ばしそこから何かを取り出し、テーブルの上に置いた。そこにあったのはアメジストのような紫色の丸い石だった。
「丁度お兄ちゃんに疎通石を渡そうと思ってたからいい機会よね」
「あ~なるほど」
「疎通石?」
俺が首をかしげて聞いてみると、イホームは石を手に取り俺の前に掲げて見せた。
「これはねお兄ちゃん、簡単に言っちゃえばこの石どうしを持っていれば遠くに離れていてもその相手とお話ができるとってもすごい物なの。結構貴重な鉱属石だから普通の人はあまり持ってないし、見かけもしないだろうけどね」
「遠くにいても話ができる……」
つまりあれか、現代でいう携帯みたいなもんか。形も大きさもだいぶ違うが感覚としてはそんなところだろう。
「そんなすごい物俺にくれるのか?」
「うん。でもこっちからも少しお願いがあるけどね」
まぁ、普通はそうですよね。無条件でくれるなんて言ったらそっちのほうが怪しく感じるし。
「これをあげる代わりにお兄ちゃんのことを私に研究させて欲しいの。あぁ、研究って言っても変なことはしないよ。その力っていうのがどういう原理でできるものなのか調べさせてほしいの」
「原理ねぇ……」
んなもん解明できるのかなぁ。だってこれ女神に間違って殺されてそのお詫びにってもらった力なんだぞ。いわば奇跡みたいなもんだ。
「あと、その子のことも調べさせてほしいな。見たこともない動物だし、もしかしたら新種の生き物かもしれないしね」
フラウのこともか。それに関してはむしろありがたいんだがな。コイツがいつまでも何者なのか分からないのは俺的にもモヤモヤするし。何より謎が多すぎるからな。
「ねぇ、どうかな? 私のお願い聞いてくれる?」
そう何故か上目遣いで言われる。はぁ~どうしたもんかねぇ……。別に悪いことをされるわけではないし、少し面倒くさいがフラウのことも調べてくれると言っているしなぁ。うーん……。
そして少し悩んだあと俺が出した答えは
「流石に毎日研究に付き合うのは嫌だから、時間がある時にだけってことでいいのなら構わないかな」
というものだった。まぁ、俺の中ではこれくらいが妥当かな。
「時間がある時だけか……。はぁ~……まぁ、しょうがないか。お兄ちゃん達にも個人の時間はあるもんね。分かった、それでもいいよ」
「交渉成立だな」
という訳で俺とイホームの約束は決まった。彼女は少し残念そうだが、自由のない生活はまっぴらごめんなんでね。
「それじゃあ、お兄ちゃんに疎通石をあげるね。でもその前に」
「その前に?」
今度は何だ? まだ何かあるのか?
「お互いの石に登録をしないとね」
「と、登録?」
まさか、石に電話番号刻んだりするの? はっ!? そ、それとも赤外線がどこかにあるとかか!!
「そう、この石で会話するためにはね話したい相手の血を登録しないといけないの。だからお兄ちゃんが持つ石には私の血をつけて、私が持つ石にはお兄ちゃんの血をつけなきゃいけないの」
「うわあ……まじかよ」
話をするためにそんなことしなきゃいけないのか。しかもよりによって血とか生々しいにも程があるっつの。
「大丈夫、お兄ちゃんは指先を少し切るだけでいいから」
「お兄ちゃんはってイホームはどうするんだよ」
「私は……」
そこで彼女はどこから取り出したのか果物ナイフのような小型の刃物を取り出すと、刃の部分を左手の手のひらに当て始めた。
「お、おい……何して」
その時だった、イホームはその刃を握り締めながら思い切り引き抜くようにして自分の手を切り裂いた。
「っ……」
「おい!! ばか! 何してんだよ!!」
刃の部分にはべっとりと血がつき彼女の手の平からは血がポタポタと滴っていた。その血の雫が石にこぼれ落ち真っ赤に染まった部分が鮮やかな色に光り始める。
「これくらいしないとお兄ちゃんの力がどれだけ凄いのか確認できないでしょう」
少し顔を歪めながら彼女はそう言った。
「やりすぎだっつの!!」
俺はすかさず右手を構えると彼女の切れた手の平に掲げた。そして右腕が青く光る。その光景をディアさんとイホームはまばたき一つせずに見ていた。
「これは……」
「これがお兄ちゃんの力……」
そんな二人のことを気にせずに俺はあの言葉を叫ぶ。
「レイズ!」
そしてイホームの手のひらが黄色く光り、そのまま光は吸収されていく。光が消えた頃には彼女の傷は綺麗さっぱり無くなっていた。
「「……」」
それを見た二人は何が起きたのか理解できないといったような顔でお互いの顔を見合わせた。
「す、すごい……」
「本当に……治った……」
二人は驚きを隠せないようでそのまま固まってしまっていた。
「おい、イホーム」
「え?」
俺はそんな様子を気にすることなく彼女の名前を呼んだ。そしてそのまま脳天に軽くチョップをかましてやった。
「あいたっ!?」
「何考えてんだあんたは!! 急にあんなことするなんてびっくりするだろうが!」
「い、いやでもだな……」
「でももくそもない!! 次またあんなことしたら研究になんて二度と付き合わないからな!! いいな!」
「お、お兄ちゃん?」
「返事は!!」
「は、はい!」
ったく本当に信じらんないぜ。心臓止まるかと思ったわ。
「ま、まぁまぁ荒崎さん。先生もちょっとした好奇心でやったことですから」
「好奇心って……はぁ~もういいです。とにかくあんなことはもうしないでくれよ」
イホームはどこかシュンとしながら首を小さく縦に振った。
その後、俺も石に血を付けイホームに渡した。すぐに治したとはいえ指先だけでもあんなに痛いのによくあんなことしたよな彼女は。あれも研究者としての性ってやつなのかな?
っていうか今は冷静になったから思うけど俺、もしかして怒鳴りすぎた? 何かさっきからイホームがずっと俯き加減なんだけど。やばいなー……この空気は面倒なことになりそうだ。こうなったら今日は撤収するしかないかな。
「さ、さてと、それじゃあそろそろ失礼しますかね。あんまり長居するのもあれだし」
「そ、そうですか? 何かすいませんね。色々と変なことになっちゃって」
「いやいや、お気になさらずに。じゃあまた今度」
そう軽く会釈をして俺は足早に研究室から脱出することにした。最後にちらりとイホームの方を見てみたがやっぱり顔は少し俯き加減だった。はぁ~……何か今度から会うときに気まずいなぁ……。そう思いながら俺達は王宮を後にした。
その後。
「あの~先生? そんなに落ち込まないでくださいよ。彼だってきっと心配して言ってくれたんですよ」
「……分かってる。そんなこと、分かってるわよ……。ただ、私あんな風に思い切り怒鳴られるのすごく久しぶりだから、少し驚いただけで……」
「あぁー確かにそうですよね。先生は怒られるというよりは怒る方ですもんね。いつも僕のことこき使うし。というか先生すごく久しぶりってどれくらいの期間のことを指してる……」
ディアがそこまで言いかけたときイホームが彼に向かって電撃の嵐をお見舞いした。
「ちょ、先生!! やめ……ぎゃあああああああああああああああああ!!」
「そういうこと言うなって言っただろうが!」
まったくこいつは本当に……。
荒崎 達也か……。どうやらこれからしばらくは退屈しなくてすみそうだな。色々な意味で。
彼女は知らぬ間に目の端に溜まっていた液体を手で拭いながらそう思うのだった。
5月27日一部修正しました。
前話を投稿してから三日後に200万pvを達成しました。読んでくれている皆様ありがとうございます。




