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私たちが残すべき記憶  作者: 箕宝郷
義心と疑心(ぎしんとぎしん)
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祭恋3

 冷玖珠先輩達の会話に苛立った私は、会議室に戻り美香に会話の内容を伝えようとした。会議室に戻ると美香と宝ケさんが、2人で後片付けをしていた。

「彩さんごめんなさい。私の仕事なのに手伝ってもらって。でもこれ先輩たちにバレたら怒られなるよ。」


「いいの。いいの。冷玖珠先輩の態度に腹立っていたから大丈夫。怒りたかったら勝手に怒ってろ!って感じだから。...ってかあれ糸米君じゃない?」


「あれ?本当だ糸米さんだ。どうしたんですか?そんなに汗だくになって?」


「いや、そのえっと...僕も後片付け手伝ってもいいですか?」


「えっ糸米君が?珍しいね?意外と優しい所あるんだ。別にいいよね美香ちゃん。」


「うん、いいよ。」


「もう、お互い何照れてるの?まぁいいや、片付け始めよ。先輩達、自分のごみは自分で持ち帰れってのペットボトルのごみとか多すぎるでしょ。」


私たちは3人で会場の後片付けを終えた。本来なら机の移動だけで終わりのはずなのだが、なぜか机が異様に汚れてたり、ごみがあふれている。1時間少々の時間でこんなに汚せるのはある意味天才だと思う。

 15分程して、ようやく片付けが終わった。

「はぁ、先輩達汚しすぎ~片付けるだけで疲れちゃったね。」


「うん、2人ともありがとう。」


「あれもうこんな時間、せっかくの機会だし3人でご飯でも食べに行かない?」


「うん、いいね糸米さんもどうですか?」


「あっ、俺この後用事あるんだった。悪いけど先に帰るわ。」


「そうですか。糸米さん今日はありがとうございました。」


「えっ、こちらこそありがとうございました。伊新さん。」


「糸米さん、行っちゃったね。あの人、ツンデレだよね。用事あるなら片付け手伝わないだろって、言いたくなっちゃうよね。もういいや二人でご飯行こっ....ておーい美香大丈夫?」


「はっ、ボーっとしてた。大丈夫だよ彩ちゃんご飯行こ。」

 私は初めて美香の笑顔を見た。それまで堅苦しい表情ばかり見ていたせいか。それとも感謝されたことが無いせいか。どちらにせよ感じたことない感覚になり混乱していた。

 次の日、朝いつもは目覚ましが鳴らないと起きない自分が目覚ましが鳴る20分前に目が覚めた。(あれ?なんで、こんなに早く起きちゃったんだ?)不思議に思いながら身支度を整えていつものように大学へ向かった。大学へ通学中(そういえば、冷玖須先輩のこと伊新さんにまだ伝えてないや。でも、伝えるタイミング無いような。しゃーない、次の集会の片付けも手伝うか。)1時限目が始まる前太晴に声を掛けられた。「おはよう。今日は、マイさん来るの早いな。そう言えば、昨日片付け手伝ったんだって?しかも伊新さんと彩ちゃんと一緒に!おいおい、お前も彩ちゃん狙ってるのかよ。」


「別にそんなんじゃねーし。てか昨日、お前も手伝えよ役員なんだし。」


「ワリィ、冷玖須先輩に目をつけられたら怖くてよ。先に帰っちまったぜ。」


「おいおい、1年生同士で協力しよって....」


「糸米さん!!」

っと突然、太晴との会話中に美香が声をかけてきた。


「伊新さんどうしました?」


「糸米さん。昨日はありがとうございました。これ、気持ちばかりで申し訳ないけどお菓子どうぞ。」


「あ、ありがとうございます。」


「それでは、失礼します。」


「じゃあな。」


「マイさん。お前、目を逸らしながら話しちゃだめだよ。あと返事、なんとかならないの?ってか大丈夫かなんかおかしいよ?」


「いや、なんていうかな急な事でびっくりしちゃって。俺、このお菓子食べないから太晴にやるよ。」


「マイさん。お前、もっと素直になれよ。なんかお互いぎこちないぞ!」


「はぁ?どういう事?」


「おっと、もう、講義の時間だ。席に座らなくては」

私は太晴の言いたいことがよく分からず、心がスッキリしないまま講義を受けるのであった。


続く







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