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私たちが残すべき記憶  作者: 箕宝郷
義心と疑心(ぎしんとぎしん)
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祭恋2

 大倉大学文化祭実行委員集会が木暦2449年7月10日に始まった。実行委員会が無かったら、友人と()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を行う予定であったが、この実行委員会で全て行われなくなってしまった。

霊草(りょうそう)教授「それでは第72回大倉祭の実行委員会を始めます。よろしくお願いします。」

一同「よろしくお願いします。」

集会は委員の自己紹介、文化祭の説明と進めた。

実行委員の役員を決める時に、少し面倒な事が起こった。霊草教授が「実行委員長に立候補する方はおりませんか?」と問いかけた所、美香が「はい、私がやります。」と立候補したのだ。他に立候補する人がいなかったので、霊草教授が「では、他に立候補者がいないので、伊新さんで決定してもよろしいですか?」っと美香が実行委員長に決まりそうになった時私は「あの、経験の少ない1年に委員長をやるのはおかしいと思います。せめて委員長は先輩方が行うべきなのではないでしょうか?」と異議を申し立てた。周りがざわつく中、一人の先輩が発言した。「1年の糸米さんでよろしいかな。4年の冷玖須(れいくす)です。大倉大学の文化祭はですね、年によって1年生か4年生が主体となって行うんだよ。3年前も1年生が主体となって行ったんだよ。まあ先輩の指摘もあったりして1年は結構やりずらそうだったけど、団結して文化祭はなんとかやり遂げることは出来ましたよ。だから僕は伊新さんが文化祭実行委員長でも良いと思います。糸米さんは私の意見に不満でもあるのですか?」

 私は反論出来なかった。当時、美香が実行委員長になると必ず私に面倒な仕事を押し付けられそうな気がしたからだ。しかし、他の実行委員を納得させられる理由が見つからず、「いえ、なにもありません。」と返事した。

 霊草教授「では、実行委員長は農学部1年の伊新さんでよろしいかな。同意するものは拍手してください。」会場の皆拍手して、実行委員長は美香になった。

 続いて、副実行委員長、書記、会計の3人の役員を決める会議が行われた。私は役員にはなりたくなかったので、ずっと静かにしていると。さっきの冷玖須が「実行委員長が1年なら他の役員も1年でいいのではないでしょうか。」と発言すると他の2~4年生が「その意見に賛成です。」と皆で発言した。1年生の実行委員は美香と私そして、太晴を含めた5人であり、何かしらの役員になる可能性がかなり高くなった。私は「おいおい、勘弁してくれよ。」と思い、絶対に選ばれないように祈っていると。太晴が「俺が副委員長やりますよ。」と言ってくれくれた。そうすると、経済学部の女子が「私、会計やりたいです。」と声を上げてくれた。私は安堵した。これでもう、大倉祭の役員を行わずに済んだからだ。霊草教授「では、役員は実行委員長は伊新 美香さん、副委員長は屑南 太晴さん、会計は宝ケ(ほうが) 彩

さんでよろしいかな?同意するものは拍手お願いします。」その場にいる役員たちは大きな拍手を行い、役員はきまった。霊草教授「以上を持ちまして第一回実行委員会を終了します。ありがとうございました。」

一同「ありがとうございました。」


霊草教授「それでは、解散」


冷玖須「ああ、伊新実行委員長会場の後片付けお願いね。」


美香「はい、分かりました。」


宝ケ「美香ちゃん、私も手伝うよ。」


冷玖須「宝ケ、お前余計なことするなよ。これは実行委員長が一人でやる仕事なんだから。その友達として、手伝いたくなる気持ちも分かるけど、それは大倉大学の伝統としてやってはいけないんことなんだ。」


宝ケ「すみません。余計な事しちゃって。」


冷玖須「いえいえ、1年はまだ大倉大学の伝統良く分からないよね。でも大丈夫。そのうち分かってくるから。」


宝ケ 「あっ、はい分かりました。」


私は、この会話が聞こえた時冷玖須先輩は何か隠し事があるように感じた。そして、会議室を出ると冷玖須先輩が他の先輩とこんな会話をしているのを横耳で聞こえてしまった。

間葛(まっくす)朗報だ伊新しばらく部活の来ないぜ!」


「冷玖須まじで、いやーそれホンと助かる。マジありがとう。んで、どうやって伊新を部活に行かせないようにしたん?」


「それは、簡単だよ。伊新を大倉祭の実行委員長に立候補させるだけだよ。あいつ、自分が脚本した作品をうちの部活で発表しようとしてたじゃん。だから、文化祭実行委員長になれば顧問の寺楠(でらっくす)教授に気に入られて採用してもらえるかもね。って言ったら伊新はすぐに「「やって見ます」」なんて返事するんだぜ!単純だよなあいつは。あと、伝統って理由付けて伊新に仕事押し付けて部活行けないようにしてやったぜ!」


「冷玖須お前、相変わらずゲスいな~でもこれでうちの部活の部員たちは気が楽になったんじゃないか?伊新さあ演劇部女子1人だからって勘違いしすぎよな。自分が演技うまいと思っている辺り、腹立つよな。あと、脚本もセンスないよな。あれ読んだことある?」


「いやないな間葛、読んだことあるん?」


「あるぜ、なんか柊時神皇を主人公にした物語らしいんだけどよ。いろいろツッコミどころがあって、まず、柊時って女性らしくて、歴史で女性の神皇はいないって教科書に載っていることあいつ忘れてやがんの。あと、ネットで調べたけど柊時なんてヒットしなかったんよ。」


「ホント、あいつの脳内どうなっとんねん。」


「まあ、文化祭までの間は伊新なしで活動できるんだしお祝いとして一杯行きますか。」


「間葛、お前今日のりいいな~よし今からいくか。」


そうして間葛と冷玖須は立ち去っていった。僕はどこか許せない気持ちでいっぱいになり手が震えていた。


続く


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