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私たちが残すべき記憶  作者: 箕宝郷
初めての海外旅行
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初めての海外旅行(2)

 シベリゲム帝国領土内にあるアッサ・オリケウム公国のシ・ョ・ウ・ス・と呼ばれる地域にたどり着いた私は一度車を降りた。あまりにも木恩共和国に雰囲気が似ており衝撃を受けた。建物はもちろんの事、使用している言葉も木恩と同じ言葉を話している。食べているものも使用している食材に違いはあるが、木恩の物と大差ない。大きな違いがあるとすれば、生えている植物が違うくらいだ。私と霧裏はショウスの中を散策していた。


「なぁ霧浦。ショウスに観光出来る場所ないか?」


「まぁ、あるとすれば松杉院しょうさんいんじゃないか?ショウスのシンボル的な寺院なんだよね。ショウスって言う地名も、松杉を((ショウスギ))と呼んでそれを略してショウスってなったからね。」


「なるほど。そのお寺は大きいの?」


「そんなに気になるなら行ってみる? ほら車に乗って」


私たちは再び車を10分ほど走らせて松杉院へと向かった。「着いたぞここが松杉院だ。」


「結構大きなお寺だね。」


私は松杉院の大きさに驚いた。周りは針葉樹林に囲まれて鬱蒼としている。木造の大きなお堂が並んでいる。僧侶たちが様々な修行を各お堂に分かれて修行をしている。お寺を散策しているとこんな看板を見つけた。(僧侶との相談会参加者はこちら)私は尊考についてさらに詳しく調べるか、相談しようと考えた。


「霧浦、俺ちょっとやりたいことあるから一旦、外れてもいいか?」


「いいよ。ただ時間は限られてるから程々にしろよ。」


「わかったよ。んじゃ行ってくる。」


「あいつ...余計な事言うなよ。」

 私は松杉院の上相堂の中に入った。お堂の中は薄暗く中には一本の針葉樹が植えられていた。


「失礼します。」


「松杉院へようこそ相談会に参加希望の方ですか?木恩からの観光客の方歓迎します。」


「はい、そうです。」



「では、靴を脱いでこちらへどうぞ。」

私は長い廊下を進み個室に案内された。個室は畳部屋で若い僧侶が座っていた。


「よろしくお願いします。私、松杉院の僧侶である。時杉(ときすぎ)と申します。」


「よろしくお願いします。糸米と申します。」


「糸米さんはなにかご相談したいことがあるのですか?」


「あの~それがえっと」


私は、自分の国の秘密である(尊考)について悩みがあると話そうとした。しかし、ここで話をしてしまうと美香との約束を破ってしまう事になる。しかし、ここは木恩共和国外で尊考について言及してはならないという法律は存在しない。ここで話しても誰にもバレない。でも、約束は守りたい。私は尊考について直接言及せず、こう話した。

「私は、趣味でやっていることがあります。しかし、その趣味を行うことを交際している彼女は良く思っていないのです。このまま趣味を続けるべきでしょうか?」


「糸米さん内容は分かりました。しかし、今の情報だけでは続けるべきか否かお答えすることができません。趣味はなにをされているのですか?」


「えっと故郷の歴史を調べることです。」


時杉の表情が変わった。そして焦るような口調で。


「大変失礼いたしました。では、ひとつ質問させてください。あなたの故郷の国の最後の君主は?」


「139代柊時(ひらとき)神皇です。なにかありましたか?」


「確認しました。.....あの、先ほどは失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。担当者をお呼びしますので少々お待ちください。」

時杉は急いで、松杉院の代表者のもとへ向かった。


「ツネモリさん。学習希望者の者がいます。」


「時杉よ~それは確かなことなのか?」


「ええ間違いありません。柊時様をご存じだったので、間違いありません。」


「どんなお方なのか?」


「糸米と名乗っていた方で、見た目は20前後の若者です。」


「わかった。入習の説明希望のものじゃなワシもいまから糸米殿がいる部屋へと向かう。」


僧侶の反応を不思議に思いながら10分程待つと今度は、雰囲気のある老僧が私のいる部屋に入ってきた。


「お待たせしました。松杉院の院長の上侯 常守(かみこう つねもり)です。」


「よろしくお願いします。糸米 利弥と申します。」


「糸米殿、そなたは木恩の歴史についてすなわち、尊考について調べたくてしかたないのか?」


質問を受けた時、私はなにかがおかしいと思った。私から何も話していないのに尊考について質問されたからだ。この期に及んで誤魔化すことが出来ないと感じた私は、美香との約束を破ってしまった。


「はい、そうです。」


「なるほど。4.4事件以降、松杉院にそなたのような者が大勢きた。しかし、そなた以外の者は皆、柊時神皇を知らなかった。」


「その....尊考について上侯さんはなにか知っているのですか?」


「尊考についてかぁ 端的に説明すると、彼らは高い遺伝子工学の技術があった。彼らは自身の表の教えを利用して.......」


すると、先ほど私の対応していた時杉が


「院長お話のところ失礼します。糸米さん、お連れ様がお呼びです。ここまでにしてもらえませんか?」


「分かりました。上侯院長ありがとうございました。」


すると上侯は落ち着いた声で


「糸米殿、そなたを私たちは見誤ったようじゃ。そして糸米殿尊考については知ってしまった。私の言いたいことが分かるな。すまんが帰ってくれ。」


私は美香との約束破った罪悪感。松杉院の僧侶たちの不思議な対応。深まるばかりの尊考で頭がいっぱいになっている状態で常守の元を離れた。


続く















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