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私たちが残すべき記憶  作者: 箕宝郷
大陸調査
27/33

松杉院の決断

 私がイマルク大陸に向かったという情報はすでに警察に知られていた。


「長伏上級警佐。糸米 利弥がイマルクに到着しました。」


「そうかイマルクに着いたか。」


「えぇ、そのようです。」


「報告ご苦労であった。そういえば君は確か糸米君と親しい仲であったよね?」


「フフフッ。あくまで表面上ですけどね。」


「今から私が言う事をよく聞くんだ。」


「はい。」


長伏は報告した人物に指示を出した。


「長伏上級警佐。流石にそれは糸米君がかわいそう」


「出来ないというのか?それならば代わりを...」


「やります。糸米君が一番信頼している人物はこの私なので」


「ほう、頼もしいな。だが、言動には気を付けろ。お前は愛嬌はある。しかし、その愛嬌が命取りになるかもしれないからな。」


「上級警佐分かっております。(笑)」


一方その頃、シベリゲム帝国にある松杉院でも糸米の情報が飛び交っていた。


「はい。そうですか。いや、彼は一度私の寺を訪問しましたが、詳しくは分からないです。彼は本当に秘密について調べようとしている事だけは分かりました。しかし、彼は何の目的で行ったか?どの組織にいるのかは不明です。はい、はい。そう言う可能性もありますね。次来る時までに準備しておく。それでは失敬。」


「常守様、今の電話のお相手は?」


「うん、私の知人からだ。」


「そうですか。」


「定例会議のお時間です。そろそろ始めましょう」


「承知した。すぐ向かう」


「それではこれより松杉院の定例会議を始める。」


「なにか報告はあるか?」


「はい。木恩共和国にて国家の秘密に関与したとして逮捕され拷問によって亡くなられた方がおられるようです。」


「詳しく聞いてもいいか?」


「はい。名前は糸米 利光という方です。政治活動などの情報はありません。」


「糸米?。さっき聞いた名だな。」


「木恩の動き他にあるか?」


「....無いようだな。償田事件以降、不穏な状態が続いていたがようやく落ち着いたようだな。」


「次に収支報告を始める。ではまずは収入から」


「はい。関連企業、支援団体等の支援により、収入に関しては先月より5%程増加しております。しかし、償田事件以降、シベリゲム政府からの支援が得られない状態が続いております。そのため経営が苦しい状態が続いております。一方の支出は先月とほぼ変わらない状態が続いております。」


「報告ご苦労。やはり、まだ政府からの支援金は得られないか。やはり、このままでは松杉院いやショウスそのものが消滅して秘密が危機にさらされる。」


「上侯様、必ずや政府高官らの理解を必ず得て....」


「そんなものはいらん。近く、私は大きな決断をしようかと考えている。失敗すれば松杉院、ショウスは滅ぼされて地図からも歴史からも抹殺されるだろう。だが、成功すれば松杉院、ショウスの目標が達成される。その時、世界は平和への一歩を踏み出すだろう。滅亡かそれとも世界平和か選ぶべき道は一つであろう。心づもりを忘れずにしておけ。」


あたりはざわつき始めた。そんな中、一人の僧侶が「決断って上侯 様、まさかあれを行うのですか?」


「ここでは詳しく話さないでおこう。一つ言えるのは奴らと決着をつける時が近づいているという事だ。」


その時、木恩国内でも様々な出来事があった。


「伊新さん。本当に大学をやめるのですか?」


「はい。家庭の事情によって辞めさせていただきます。」


「君のような優秀な学生がやめるなんて残念だ。」


「そう言っていただけて光栄です。私はこの大倉大学に必ず戻ります。その時は学生としてではなく、教授として。」


「そうか楽しみに待っているよ。」


そうして美香は退学届を出した後、どこかに行ってしまった。


「ねぇ、彩ちゃん聞いた?伊新さん大学やめるって」


「聞いたよ。まぁ、糸米君といろいろあったからね。でも、大丈夫だよ。私、美香の事信じているから。太晴くんが糸米君を信じているようにね。」


「んだな。あの2人ならなんとかなるでしょ。」


その頃、霧浦も私の事を気にかけていた。


「伊新め。俺の幼馴染をイマルクに行かせやがって。イマルクに行かされた糸米が気の毒だよ。伊新のせいで木恩に帰れなくなったんだから。」


「強、またお前彼女にはめられた幼馴染の心配してるのか。」


「んまぁな。イマルクっていろいろ危険が潜んでいるからよ。」


「心配すんなよ。お前の幼馴染、イマルク初めてだろ?そんな危険な仕事任せられないよ。」


「そうかもしれないけど。あいつの事だから心配なんだよな。」


「んまぁ、そんなに心配なら行動してみたら?」


「もうそのつもりだよ。」


私の母は、近くのスーパーでアルバイトを始めた。父が帰って来ない悲しみを紛らわすために無我夢中で働いていた。


「糸米さん。いつも、遅くまでありがとね。もう帰っていいよ。」


「いえ、もう少し働かせてください。」


「少しは体を休ませないと.....」


「分かっております。店長」


母の噂は他のパートさんにも広まっていた。


「ねぇ、知ってる?糸米さんの旦那50年の秘密に触れて捕まったんですって。」


「えっ、そうなんですか?」


「そうそう、お子さんは海外逃亡してるしあの家庭一体何を考えているのかしら?」


「あっ、糸米さん来たわ」


「お疲れ様です。」


「お疲れ様。」


(利弥、頑張って母さんも頑張るから。)

 そう、母は私の無事を願っていた。その頃、私はイマルク大陸の環境の厳しさを知ったばかりであった。(私は無事に帰ることが出来るのか。)そう不安になりながらも調査を始めるのであった。






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