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私たちが残すべき記憶  作者: 箕宝郷
義心と疑心(ぎしんとぎしん)
21/36

生前の心残りを伝えるために

 利弥が帰国した頃、糸米 利弥の父利光は警察によって取り調べを受けていた。

「利光さん。お子さんも見る目無いですね。まさか彼女に裏切られるなんて。いい加減話したらどうです?ずっと黙っていられるとこっちも強硬手段を使うしかないですよ?」

利光は黙秘を続けていた。木恩の警察に何も話すことは無いと考えていたので黙秘を続けている。もう2日経つが警察には一言も話さないでいる。

「くそっこうなったら奥さんと息子さんにも道連れにしてやろうか?」

利光は警官を睨みつけたすると警官は怒鳴りながら「なんだその目は俺ら警察官をなめているのか?」と言った瞬間。

「あまり、被告を怒らせるでない。被告を怒らせると黙秘を長引かせるだけだ。」


「あっ、長伏上級警佐。すみません少々感情的になってしまい。」


「君は長時間の取り調べで少し疲れているのではないか?ここは私に任せて少し休みなさい。」


「長伏上級警佐承知しました。」


「うちの部下が少々手荒なまねをしてしまい、すみませんでした。」


「糸米さん。話していただかないと困りますよ。なんでもいいので話していただけます?」


長伏上級警佐は優しく利光に問いかけたが、利光は一向に話す気配がない。


「分かりました。取り調べはいったん終わりにしましょう。糸米さんも疲れているようなので。休憩室に案内するので、ついてきてください。」


 利光は長伏について行き、「休憩室に入る前にこちらで身体検査を受けてもらいます。」と案内されて部屋に入ると、5分ほどカプセルの中に入れられた。カプセルから出てしばらく待たされると、「お待たせしました。身体に異常がないので待合室に案内します」といわれるがまま待合室と言う名の独房に入れられた。独房には何もなく、利光は一人で家族は無事かと祈りながら時を過ごしていた。

 その頃、警察は、研究室で身体検査の結果を確認していた。

「どうやら、彼は本当に何も知らないようですね。」


「いやでも、何か報告しないと上級警佐に叱られますよ。」


「なら、糸米 利光は家族思いで妻に尻に敷かれていて実は息子に気を遣っているとかなら、どうですかね?」


「バカ、そんなの報告して何になる?


「そうですけど、木恩警察が誤認逮捕ってなるとそれはまずいですよね?」


「あぁ、まったくだ。」


「失礼ずるぞ。大丈夫か?」


長伏が、研究室に入ってきた。


「長伏上級警佐。すみません。今取りまとめを行っていまして。」


「いや、大丈夫だ。しかし、随分と時間がかかっているようで、気になってな。」


「いや、その...」


「どれ見せてみろ。」


「あっ、」


「なるほど、彼は何も知らないのか。」


「えぇ、そうなのです。木恩警察が誤認逮捕ってなるとそれは。」


「あぁ、分かっている。だから、糸米 利光には永遠に休憩室で寝てもらう。」


「それってまさか」


「まぁ、君たちも警佐級になれば分かるだろう。」


 利光は数時間ほど独房にいた。しばらくすると警察に呼び出され休憩室に案内された。休憩室に入る前、長伏から「休憩室に入る前に教えてやろう。木恩が50年間秘密にしていたことを。」利光は20分程、長伏から木恩の秘密つまり尊考について語られた。利光は驚愕している様子で話を聞いていた。

「糸米さん敢えて感想は聞きません。心の準備が出来ましたら、どうぞお入りください。」

 利光は一言「息子はきっと木恩が50年間秘密にしていた尊考の実態を暴くだろう。」と言って休憩室に入った。


利光は休憩室から出ることは無かった。

続く



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