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縄文文書(もんじょ)で世界を救え!! ― 01  作者: 幸田 蒼之助
六、

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29/36

6-2、

※なるべく縦書きでお読み下さい。

「そうかいそうかい。あいつらが件の“タマキン一座”なのかい」

「いやあ、そうですけど……。一座(ゝゝ)なんて~、昔のドサ廻り芸人集団じゃないんですからぁ~」

「いいんだよ! お笑い四人組には違いないだろう!?」

「まあオシャンティ様の言う通りなんですけどね~。どうしてこう、いつもいつも、オシャンティ様の物言いには古臭さが漂うんでしょうかねぇ~~。行き遅れババアの宿命(さが)ってヤ……アイタタタタっ!!」


 ひょろガリ出っ歯男の細いアゴに、目つきの悪い八頭身美女の右アッパーが炸裂した。脱力し床に崩れ落ちる、ひょろガリ出っ歯。


 その傍らにすかさず、プロレスラーの如きガタイの男が飛びつき、(ワン)(トゥー)(スリー)とカウントを取ると、カンカンカンカンっ、とどこからともなく試合終了のゴングが鳴り響く。


「オシャンティ様、オシャンティ様! カマエルと遊んでる場合ちゃいまんねん」

「う~ん……。アッパーでダウンしたのに、どぉしてスリーカウントなんですかねぇ~。全国の女子大生の皆さ~ん、やっぱテンカウントですよねえ。バーボイはそういうところがおバカさ……」

「黙らんかいカマエルっ! カウントとか、今はどうでもええねん」

「そうだよそうだよ。さて、これからどうするんだい?」


 金作ら四人と同じホテルの、とあるスイートルームである。


 オシャンティはリビングスペースのソファにどっかと腰掛けた。カマエルとバーボイは、リビングの椅子を持ち出してきて、オシャンティの前に座る。


「この県の教育委員会は、ホント使えないわねえ。岩切ってオトコが有能だってんで、ちょっと期待してたのにさ。失敗してブツの行方が分からない、って言うじゃないの。全然ダメじゃないか~い!」

「しゃぁないでっしゃろ。ワイらが動かんとダメでまんねん」


 オシャンティが鼻息荒く愚痴ると、それをバーボイがなだめる。


「元々そういう作戦でしたでしょ~。ちゃ~んと作戦通り、順調で~すのよぉ。すんなり隠し場所が判明すればぁ、ブツを強奪する。ダメなら直接本人を脅してぇ強奪する。カ~ンタンな話で~す♪」

「そうかいそうかい。じゃあ、これからどうするのさ。ちゃんと作戦を説明しな!」

「準備は万端で~すよぉ。タマキン宅は既に判ってま~す。近所の藪に、もうメカ(ゝゝ)は隠してありま~すのよ。燃料はさっき、ホテルのフロントに頼んで発注しま~したからぁ、そいつが届きさえすれば、いつでも作戦決行で~すのよ~」

「その燃料ってのは、いつ届くんだい?」

「明後日だそうで~すのよぉ」

「そうでまんねん。明後日午後に、ワテ()が燃料を運んでメカに補給しまっせ。ほたら、いつでも出動出来まんねん。あとはメカ(ゝゝ)で連中を脅しつけて、ブツを奪い取るだけでっせー」

「なるほど、そうかいそうかい。じゃあ、燃料の補給が終わり次第、作戦開始だよ! 三日後の午前一〇時、決行っ!」

「「ガッテンだ~っ!!」」


 一方、その頃。――


 金作の部屋に集まった四人は、彰善の報告に首を傾げていた。


「ガソリン三五〇リットル!?」

「そうだ。さっきの連中、ホテルのフロント経由で、ガソリンを大量に発注してゃがる」

「何に使うんだ!?」

「わからん」


 皆、首を傾げる。


「車数台分の燃料……じゃろか?」

「それなら、フツーにどこかのスタンドで満タン給油すればいいよね」

「じゃよなあ」


 ノートPCをゴソゴソ操作していた、彰善。ふと、顔を上げる。


「一〇トントラックの燃料が、ガソリン四〇〇リッター程度らしい」

「はあ!? じゃあ、連中は一〇トンクラスのトラックを動かそうっちゅうのか」

「わからん。トラックなら普通車と同じで、スタンドに行って給油せりゃあ済むでなあ。何で、ドラム缶で発注したのか」

「スタンドで給油出来ん状況。……つまり、どっかに運んで給油すっとじゃろか」

「ふ~む。……船、か」

「いや、船舶は基本的に重油だ。ガソリンじゃない」

「じゃあ、重機」

「それは軽油だ。基本的にはな」

「うわ。さっぱり解らん。連中、何を企んでんだか……」


 金作は頭を掻きむしる。


 しばらくの後、ふと顔を上げ、


「何らかの、謎メカ?」


 と呟いた。


「お前は小学生か!!」


 あまりに突飛な発想に呆れ、笙歌が笑い出し、ついでにポカリと金作の頭を(はた)く。


「じゃけど、他に考えられんじゃろ。飛行機やヘリも、灯油っちゅうか、ケロシンじゃけなあ」

「メカかよ……。そうかも(じゃっかん)しれん」


 倫輔まで、そんな事を言い出す。


「そんなメカなんて、まだ米軍にさえ採用されとらんけどな。まあ、軍需産業の研究試作レベルでは色々あるで、今回、一応想定しといた方がいいかも」


 意外にも、彰善までそんな事を言い出した。


(丸っきり、ガキの発想じゃん!)


 これだからオトコってのは……と、今度は笙歌が頭を抱え込む。


「よし、わかった。ガソリン三五〇リットルなんじゃけえ、何らかの謎メカが出現する事も想定しちょこう。何か現実的な大型機械が使われるかもしれんが、謎メカ想定でありゃあ、大型機械にも対処出来るじゃろう」


 と、金作が結論付けた。


 おいおいおい……と、ますます呆れる笙歌。


(あっ、でも)


 ふと、思いつく。


(アレがあるじゃん)


 と。


「そうだよ! 金作、アレ。アレを使えばいいじゃん。太古の叡智(ゝゝゝゝゝ)を」

「はっ。そうか!」

「アンタはアレを、急いで特訓しなよ。アレなら一〇トントラックサイズの謎メカでも大型機械でも、対処できる筈だよ!」

「そうか。わかった」

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