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67話

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67話


「え、いいの?これ」


「案件の試供品じゃ。使ってみて良かったら友達やらにも教えてやっておくれ」


「わー、ありがとう!気にはなってたんだよねこの会社のやつ」


案件配信も終わり、夜。

寧が帰ってきたので、ひとまず試供品サンプルをわたす。

共生堂は知名度はある会社だが、高級感があって若者にはなかなか近寄って貰えてないそうだ。

今回の案件は、そんな若者にも、手が出せる値段のものがあるよ、という宣伝。あとは単純に、オタク社長からの風変わりなスパチャのようなものだった。


「にしても、それ化粧してるんだよね?……顔が良すぎてちょっと違いが分かりづらい」


「リスナーにも言われたのじゃ!……コスメ系は向いてないんじゃろうか」


「うん、まあ、向いてないねー」


「残念じゃ……」


寧は呆れた顔をしている。

実際、顔が良すぎるせいで化粧品の宣伝がしづらい、なんて苦悩は誰もわかってくれないだろうし、わかりたくもないだろう。ふざけやがって、と思われても仕方ない。

本人も、自分の顔が良いのは理解しているが……そこまで凄いとは、さすがに思っていなかった。


「パーツの配置が神だし、肌質も髪質も半端なく最上級だし、ほら、唇なんてぷるんぷるんだし……」


「おおう急に唇を触るでない!びっくりしたのじゃ!」


「羨ましいなー!いいなー何もせずにそんな綺麗でいられて!いいなー!」


「まあほんとになにもしてないからのう……あ、そうじゃ、魔道具つくったんじゃ……ほれ、プレゼントじゃよ」


誤魔化すかのように話題をそらす。大魔王様が席を立つ。

大魔王様専用箱から、またバングル型の魔道具をとりだした。


「寝てるあいだに付けておくといいのじゃ。保湿……というか、乾燥を防ぐ魔道具じゃ」


体に作用して肌からの水分の蒸発を防ぎ、乾燥を防ぐ魔道具だ。

冷気や暖気は感じられるように調整されているため、寝苦しくなったりはしない、はずだ。


「え!!神器だ……ありがとうやみちゃん!!」


「なっ、急に抱きつくでない!これ!」

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