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63話

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63話


「きたぞー」


「あれ、やみちゃん。来てくれたんだ、珍しいね」


「ほれ、商店街の皆からの差し入れじゃ。……たまには商店街にも顔みせてやらんか」


「うーん、なかなか、日の出てるうちはねぇ……」


商店街の奥、隠れた名店、カメラ屋。

その店の奥、居住スペースにて、透と相対している。


「それと、これは寧からじゃ。桃の梅酒じゃな。あやつ、関西に弾丸旅行に行っとったらしい」


「うわあ、さすがフットワーク軽いね。ありがとうって言っといてくれる?私からも電話するけど」


「わかったのじゃ。さて、本題じゃが……」


今日は、寧からの贈り物を届けるついでに、魔道具のモニタリングの結果を聞きに来た。

急ぐ用事ではないが、ついでだ。


「そうだね、疲労回復の指輪のほうから報告しようかな。アレは最高。本当に最高。毎朝目がすっきりしてとっても心地いい。ありがとうね」


「うむ、ちょいと効きすぎかの……?すこーしだけ出力を弱めて、あとは魔力充填しておこうかの。視力調整のほうはどうじゃ?」


「そっちもなかなかいい感じだよ。ただ、望遠はちょっとボヤけが大きいかな?顕微は凄くいいんだけど……」


「うーむ、原理は一緒だと思ったんじゃが、難しいのう……対物レンズにあたる部分が甘いのかのう?またちょいと調整じゃの。ひとまず顕微だけ利用しておいてくれい」


魔道具作りは、試行錯誤の連続だ。

今回の場合、顕微のみ、望遠のみの機能なら上手くいったかもしれないが、両方積むとなると、やはり魔力回路が複雑になる。似たような効果を得るものとはいえ、そこは少し違うものだ。


ふたつの機能をもった魔道具は、ほとんど存在しない。寒さ対策の指輪は、暑さ対策には使えない。両方もっていないといけないが、ひとつの魔道具に纏めることは今のところできていない。効果の切り替えすらもなかなか難しいものなのだ。

似たような魔道具で、自分の周りに循環する空気の層をつくる魔道具はあるが、それでも暑さ寒さの対策には程遠い。

ほとんど存在しないといったが、大魔王様が知ってる限りでは、自身がつくった、身体能力を上げる魔法と思考力を上げる魔法を同時搭載したものしかない。両方、体の機能のブーストなので、単体で使うよりは弱いが一応モノとして成り立つものにはなった。

結局、アクセサリーを増やせばいいだけ、状況によって使い分ければいいだけなので、魔道具は何種類ももっているのが普通だ。


「魔法生物のノウハウを転用するべきか……コアの分割……いや、耐久性がのう……ううん……」


「やみちゃん、やみちゃん?……あら、考え込んじゃったな。……今のうちに、お昼ご飯つくっておこうかな」


昼すぎに思考の海から帰ってきた。

透のつくったお昼ご飯は美味しかった。

パエリアとガスパチョとミックスサラダ。スペイン料理だ。商店街でいただいた食材が盛り込まれている。


「というか、料理上手いのう」


「ま、私はなんでもやれば出来るからね」


「うむうむ、美味い。ワシの周りの者はみんな飯が美味くてよいわ」

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