62話
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62話
「……ということがあったんじゃよ」
「はえー、アギトさん……レインも知ってるですよ!」
「まあそうじゃろ、そこそこ有名じゃし。……ワシもレインも、アリスもそこそこ有名じゃが。有名人しかこっちにこれんのか?ああいや、ユイとリンは有名ではないか」
寧宅、昼。リビングにて。
レインにアギトの事を報告共有し、意見を交わす。
ひとまず、まだなにも対策は無いということで経過観察に纏まった。
最近はリスナーからの通報がまた増えてきていた。大抵は迷宮の抜け殻だった。迷宮は大きいので、その残骸が爆散しているとなると、数も多くなるのはわかる。しかし、やはり多い。すべてに封印措置を施すのは大変な作業だ。
そしてたまに、物の通報もある。
魔石と呼ばれる、魔物の体内で生成される魔力結晶なども報告された。
リンの額にあるものに似てはいるが、魔石は魔物の魔力の方向性に染まるので、純粋な魔力結晶とは使い道がちがう。
リンの額のものは、トゥルーカーバンクルの特性上、吸収、浄化などの方向性をもつ。
魔物のもつ魔石は、放出、汚染の方向性。そのままでは危険なものだが、しっかりした設備で加工すれば、魔法使いのための魔力回復薬になったりする。
まあ、こちらの世界では必要ないものだ。回収し、中の魔力をすべて吸い尽くして、ただの結晶にしてしまうことで無害化をする。
魔石程度の有害魔力なら、大魔王様やレインは中和するまでもなく吸収してしまえる。
「魔石はこっちもいくつか処理したのです。……こういうのがあんまり多くなると、この世界の理が歪む気がするのです……」
「うーん、ま、ワシらがおる時点で、というか勇者としてこっちの者が向こうに連れていかれてる時点で、ちょいと歪んではいるじゃろ。……仕方ない」
歪みを無視し、穴を使い続ければ……最初は細くて影響力の少ない穴だったとしても、使い続けるうちに、広がって、不安定になって。それでもまだ酷使すれば。
「大きいことが起こりそうな気がするですよ」
「うむ……厄介事は少ない方が良いんじゃがのう……」
クラフトコーラを飲みながら、やはりどうにか出来ないかと考える2人。
「ワシらに手を出せる次元の話ではないのかのう」
「やれるだけやるですよ、手探りでも」
諦めないのは、2人とも、研究者気質だからか。
なんとか、なれば良いが。
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