54話
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54話
「や、寧。来たよ」
「透!会いたかった!」
「よしよし。やみちゃんも、こんにちは」
「んむ、ようきたのう」
「リンも久しぶりね、元気だったかい?」
「キュイ?……キュイ!キュイ!」
「はは、くすぐったい」
秋真っ只中、寧宅に透が遊びに来た。
何故か誰よりも懐いているリンを放っておいて、寧は台所に向かう。
「実家から桃が送られてきてね、なんか友達の農家からいただいたんだってさ。いい感じに熟してきたから呼んだのよ」
「桃、嬉しいなあ。呼んでくれてありがとね。まあ、なにもなくても、会いたかったら呼んでくれていいんだけど」
「……ワシの目の前でイチャイチャするでないわ」
手際よく剥かれた桃が運ばれて、3人と1匹がテーブルに揃う。
「さて……今日、透を呼んだのはね、私は桃を食べてもらいたかったからだけなんだけど」
「ワシは別の用事があるのじゃ。機材のメンテナンスと、魔道具のモニタリング依頼じゃな」
「ん、桃美味し……メンテナンスはいつも通りでいいよね?魔道具は……どういったものなんだい?」
「今回は視力補強の魔道具じゃ。こっちにはメガネというものがあるでの、それを魔法でちょいといじって、メガネに望遠と顕微機能をつけた。機械いじりをするなら顕微機能は便利じゃろうということでな、ひとまず試してもらいたいのじゃ」
「ん、了解。店の手伝いで結構便利だろうなぁ。使い方は?」
「感覚で……といいたいところじゃが、前回の魔道具では不評だったんでな、横にダイヤルをつけたわ。つけて手前にまわすと顕微、奥にまわすと望遠じゃ」
「うんうん、わかったよ。報告は来週くらいでいいかな?」
「んむ。頼むぞ。あとはこれじゃな、これはモニタリングじゃなくてただの贈り物じゃ。軽い疲労回復の指輪がふたつ。これは寝てる間のみじっくり効くタイプでの、目にのみ効果がある」
「わ、これはありがたい。アイマスクつけて寝れないタイプだけど、指輪タイプなら大丈夫だね。助かるよ」
「え、それ私にもないの??」
「寧は毎晩ワシが直接魔法かけてるじゃろが」
「……それはそれで羨ましいね」
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