52話
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52話
「わ、チーズケーキ」
「アリスがつくったそうじゃ。次回はふたりで行こうぞ」
「会うのが楽しみねぇ。えっと……いちごちゃんにメールすればいいかな。『アリスちゃんにありがとうって伝えておいてください。次は4人で遊ぼうね』と」
いちご宅から帰宅、夜。
アリスが持たせたチーズケーキを寧に渡し、一息ついているところ。
「いやぁ、今日もよく食うたのう。いちごの所に行くと、毎度何かしら用意されておってのう。庭の雑草の処理と調理器具のメンテナンスだけじゃと、なんとなく貰いすぎな気がしてしまうのう」
「んー、まぁやみちゃんには楽な作業だろうけど、普通の人間がやると結構な重労働だからね。やってくれる業者でもそこそこお金かかるもんだよ?」
「そういうもんかのう」
「そういうもんよ。ところで、さっきレインちゃんが来てたわよ?急用ではないけど近くによったから、って。リンにご飯あげてすぐ帰っちゃったけど」
「レインが?なんじゃろなぁ。伝言も無しなら急用でもないか。……次回で良いか」
「なにかあったらまた来るでしょ、多分。……リンに会いに来ただけかな?」
「ありうるのじゃ。リンは転移魔法をつかえるし、レインの家も転移地点にしてやろうかのう」
「転移魔法、便利ねぇ……」
ちなみに、異世界では、転移魔法の魔道具も存在する。しかし使用魔力が桁違いなので、大きな国でも大都市を繋ぐいくつかのみ、貴族や豪商が大金をつんで予約をとらなければならないほどのものだが。
「リンのごはんといえば、アリスも大層な魔力持ちじゃったな。今度はリンも連れて行こうかの」
当たり前だが、この世界では魔力持ちは珍しい。今のところは、大魔王様、レイン、アリスの3人しかいないのだ。……異世界出身というなら、先日話に出たユイもいるが、彼女は魔力を持たないのだ。なので、リンの食事のバラエティは現状少ない。
異世界であれば、たとえば自然の植物や魔物、魔獣、妖精やら魔道系鉱石やら、いろいろと『味』があるのだが……。
「食べ物は選択肢があってこそ美味しく思えるものじゃというのに。魔力持ち、もう少しこっちへこんかのう」
「それは……こっちの住人としてはなんともいえないなぁ」
いくらリンの食事のためとはいえ、その他大勢がどうなるかわからない危険性と天秤にかければ……さすがに迷ってしまう寧だった。
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