50話
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50話
「きたのじゃ〜」
「わー!やみちゃん!いらっしゃい!」
「闇様、いらっしゃいませ」
場所はいちご宅、リビング。
アリスは無事にこちらの生活に馴染んでいるようで、最初のドレスではなく、普通の、可愛らしい洋服を着ている。こちらに来てから肌も髪もツヤツヤになったとかで、とても喜んでいるそうだ。
「まずはほれ、アリス用の魔道具がいくつかじゃ。軽い認識阻害、紫外線対策、手専用の異物剥離……どうしようもない時の手洗いがわりじゃな」
「まあ、ありがとうございますわ!普通の魔法は使えませんが、魔力はたんまりございますの。魔道具はとてもありがたいですわ!」
「人間の王族は魔力持ちばっかり取り込んどるときいたのじゃ」
「いざと言う時の、決戦魔力兵器への魔力供給のためですわね」
「物騒じゃの」
さておき、ひとまず用事は済ませた大魔王様。
あとはお茶でもいただいて、さっと帰るかと考えているところだ。
「あ、やみちゃん、今朝から焼いてる鶏の丸焼きがそろそろ出来上がるんだけど、食べていくよね?」
「もちろんじゃ!」
というわけで少し休憩したのちに庭に。
いつものごとく、様々な機材……調理道具が並べられている。
「今日は簡単に、ビアチキン……のビールがまだ買えないから、ノンビアチキンにしました!ブライン液に漬け込んでたからちゃんと柔らかいままだと思うけど、大丈夫かなぁてところです!」
つまりは試作である。とはいえども丸鶏が美味しくないわけがないだろうと、大魔王様はそわそわニコニコとしている。
「この世界の食材ですが、全てが全て、まさに格が違うと言えるほど美味しいんですの!闇様、この世界はとても良い所ですわね!」
「んむ、まあ、馴染めたならよかったわい」
馴染めなかった場合はどうしようかと、少しだけ気をもんでいた大魔王様。
不安は払拭されて、少しだけホッとしたようだ。
ぐー、と、お腹がなる。
「そういえば今朝は食うてなかったのう。チキン、たのしみじゃのう……いちごがつくるんじゃから美味いに決まっておる……」
「はい、取り分けますよー!ふたりとも手伝って!お肉剥がして!ソースは手作り2種類!さっぱりとこってりね!野菜も自由!トルティーヤに好きなだけ挟んで、手作りチキンタコス!さあさ、食べましょ!」
「んむ、ワシは野菜多めの、さっぱりソースにしようかの」
「わたくしはお肉多めのこってりにしますわ」
「いちごはー……お肉と野菜少なめにして、チーズ乗せちゃお!」
「ぬ!チーズじゃと!おったのか!」
「後出しは反則ですわよ!」
「まだある!まだおかわりあるから!じゃ、いただきます!」
「いただきますのじゃ」
「いただきますわ」
ノンビア缶チキンのタコス、それは当然、美味しかった。
歓談しながら食事を進め、暫し休憩をした。
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