49話
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49話
「あ、いちごちゃんからメールきてる」
「おん?なんぞな」
秋半ば、衣替えをするかしないかをふたりで悩んでる折、スマホが鳴った。
さっそく余談だが、大魔王様もスマホはもっている。が、通知は全部切っている。一日の決まった時間にしか見ないタイプだ。デジタルネイティブには考えられないドライさだ。
「アリスちゃんを配信に映しても問題無いか?だってさ」
「おーん……本人次第じゃろ。ワシらの決めることじゃあない……が、まぁ、そうじゃな、軽く認識阻害のアクセサリーだけ渡しにいこうかのう」
魔法を装飾品に埋め込む、魔道具というものがある。
これは大魔王様が前の世界で開発し、魔族のみならず人間にも広めた技術だ。
人間は魔法が使える者が珍しい。しかし、魔道具があれば、誰でも込められた魔法をつかえる。魔力があればそれこそ自由に。魔力が無くても、アクセサリーに込められた魔力分はつかえる。物によっては充電ができたりなど、色々と開発もされている。
大魔王様とレインが携帯しているものは、充電式のものだ。当然2人とも認識阻害魔法は使えるのだが、魔道具にしてしまったほうが自分自身の魔力域に影響がでないので楽が出来るのだ。
「ああ、魔道具といえば、わすれとった」
「ん、どうしたの?」
がさごそがさごそと大魔王様が『やみちゃん専用箱』を漁る。人間に触らせるには少し危ういものなどを入れておく箱だ。
「これじゃ、バングル型じゃからちょいと大きいのじゃが、これには『敵意反応型自動展開防壁』の魔法がこめられておる。最近ちょいといろいろ起こりがちじゃからの、念の為に守りを固めておくのじゃ」
「わ、オシャレじゃん。ありがとね!この小さい宝石みたいなのが、リンの額みたいでかわいいわね」
「キュイ?キュイ」
「起きておったのかリンよ。最近昼間は寝ておるのじゃが珍しいのう。してその宝石は、リンの額の宝石で間違いないぞ。良く食うからの、大きめにとれた」
「え…………大丈夫なの?え?」
「んむ?ああ、カーバンクルの額の宝石は成長して、ある程度の大きさになると半分ほど欠けるのじゃ。トゥルーカーバンクルの場合は魔力の塊じゃから、欠けてもすぐ成形されるんじゃよな」
「……たしかに、昨日の朝より小さい、気がする?」
「キュイ!」
「普通は半年から一年に一度じゃったか。こやつは大食らいじゃよって、一月くらいでとれるんじゃよな。魔道具のコアとしてありがたく使わせてもらおうぞ」
「問題ないならいいか……ありがとね、やみちゃん、リンも」
「んむ。冬前には寒冷耐性の魔道具も作っておきたいのう」
「それほんっとにお願いね!」
「キュイ?」
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