45話
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45話
「うーん、どこかで見たことがあるような……」
「お知り合いなのです?」
「んや、多分ワシが一方的に知っとるだけじゃろうが。うーむ……誰じゃったか」
いちご宅の倉庫にできたラビリンスの最奥、なにもないと思われた広間に、人間が倒れていたのである。
うっすら魔力を帯びた高価そうなドレス、艶やかな金の髪、白磁のような肌。えもいわれぬような美少女である。
人間に知り合いなどいるはずもない大魔王様が、一方的に知っているかもしれない人間なんて数人いるくらいだ。だがこちらに来て数年、あちらの世界の、関わりのあったもの達ならともかく、関わりのない人間の事なんて、朧気にしかおぼえていない。
「んん……っ」
「うごいたのです」
「お、ちゃんと生きとるのかのう?ラビリンスに乗っ取られたりなんぞしとらんか?」
「ラビリンスそんなことするのです?」
「いやしらん」
もぞもぞと動き始めた人間。
そして、ゆっくりと、まぶたを開いた。
「ルビーとサファイアのオッドアイ……ああ、あの呪いの王女様じゃな!」
すっきりした!と大魔王様が大きな声をあげる。
ビクッと、人間が怯えをみせる。
「ど、どなたでございますの……?あれ、わたくし、死ねていない……?ラビリンスは……?」
「……複雑みたいなのです」
「ワシらは敵ではないぞ、多分な。話ならきくのじゃ」
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