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40話

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40話


「買い物も久しぶりな気がするのう」


「うーん、まあいろいろあったからねぇ。最近は濃かった気がする」


大魔王様と寧は、ただいま買い物に向かっている。


買うものは、ひとまず数日分の食材と、いちごの実家からの『案件』のための付け合せ類。

今回はなにか特別な牛を一頭買いしたらしく、それのPRを兼ねてのお裾分けとして、極上のステーキ肉をいただいた。

たしか、最新の特別な飼料のみで育成された黒毛、だったか。


「良い肉には、なにがいいんじゃろう」


「うーん……たまねぎ?」


「たまねぎか……?良い所でステーキを食べたことがないんじゃよな……」


「いつも行ってるようなところだと、コーン、ポテト、たまねぎ、パセリ……とかじゃない?」


「うーむ。そんなもんで良いかの。あとは良いバターと、良いソースを買うのじゃ。ちいと贅沢にいこう」


「折角の良いお肉だからねえ。飲み物はどうしよっか」


「酒は控えたいのう。寧は飲んでよいが。ワシは……クラフトコーラかのう」


「あら、好きな物入りかな?」


「んむ。甘すぎず、炭酸で、美味いのじゃ。ジンジャエールも好きなんじゃがの」


「私も今日はクラフトコーラにしようかな。同じの飲もうね」


「んむんむ。あとは……」


スーパーまでの道中、ふたりは仲良くお話しながら歩いている。

……大魔王様はふと、なにかが揺れたような、そんな気がした。


「……?」


「どしたの?」


「なんぞ……揺れたかの?」


「いや、まったくわかんなかった。地震とか……?」


「いや、地面じゃのうて空間が……うおっ!?」


「きゃ!なに?揺れてる!」


突如として大きな揺れが襲う。揺れは長く、立っていられなくなり、2人とも地面に膝をついた。

……しかし、よく観察すると、電線なんかは揺れておらず、建物の軋む音も聞こえない。生体にのみ影響するような、空間の揺れという感じだ。


「なんじゃあ……?魔力も感じんぞ?こっちにきてから空間のみの揺れなんぞ感じたことないが……建物には影響無し、人体、いや、生体のみへの影響かの?なんじゃなんじゃ……?」


「お、おさまった……?ううん、なんかきもちわるい……」


ひとまず、立ち直ったふたり。

この件はレインや他の人にも連絡はしておこう、と思う大魔王様だった。


この時の揺れが、まさに世界を揺るがす大事件だった事は、当分知ることはないだろう。

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